「大切なものは目に見えない」

10年くらい前に、
有名大学卒のインテリの知人に
今までどんな本を
読んできたのか聞いてみた。

「今まで読んだ本の中で、
1番好きな本を教えてください」

どんな学術的な本が聞けるのか
どんな経済学の本が聞けるのか
どんなビジネスの本が聞けるのか
ものすごく楽しみにしてたら、

「『星の王子さま』です。」

って返ってきた。
『星の王子さま』に対する
熱い思いを添えて。

その意外すぎるセレクトに、
びっくりしたんだ。


『星の王子さま』は、
学生の頃、読んだ事がある。
正直、意味を理解していなかった。


今、机として使っている
大きなダイニングテーブルの上に、
置きっぱなしにされていた
『星の王子さま』を手にとった。

私はこの本を、理解していない。

少し読み進めていくと、
王子さまの小さな星に咲いている
たった1つの花と、
王子さまとの会話のシーンで
心が溜まった。


1週間前にこの話を
読んでおけば良かったんだ。

あなたが発した言葉に対して、
それを受けて
「感じ悪い」とか
「面倒くさい人だ」とか
「こうすればいいのに」とか
「私ならこうする」とか
色んなことを思った私がいたけど、
それは私が勝手に見た
色眼鏡で見た世界でしかなかった。


その言葉や言動に
引っかかるのは
私の世界が勝手に作った妄想。

その言葉に
一喜一憂したり
苛々するのでなく、
もっとその奥にある
あなたの存在そのものを
あなたの魂そのものを
見るだけで良かったんだ。


例えばモコは言葉を知らない。

言葉を発することがないから
魂そのままの存在のモコが、
ただただそこにいるだけで。

そのままの存在が
どんなに愛おしいか
感じることができる。

きっとそれと同じで。


今まで私は存在以上に
そこに紡がれる言葉を
それだけがまるで全てなように。

目に見える事だけを
信じていた気がする。


言葉が邪魔してることって
きっとこの世の中には
たくさんたくさんあって。

言葉を失った時初めて、
その人の魂の輝きを
感じることができるなら、
それは悲しすぎるから。


誰でもいい
誰かの言葉の写す世界は
私のエゴで満たされていて、
私の考えそのものを
反映してるだけだってことを
私は本当は知っていたよね。


言葉なんかじゃない、
その人の内側にある
その人の瞳の奥にある
魂そのものの輝きを、
大切にしていけたら
それでいいではないか。