モコがお泊まりに行っていた夜。

モコがいたら、
一人でゆっくりする時間なんて
一瞬もないから、
それは月に1回の、
特別な夜。

ソファの上に横になって、
足を放り出してスマホしていた。
そのぐうたらな姿が心地よい。


横になったまま
ごろんとそのまま、
「床に転が落ちたいなぁ」

と思ったまんま、
どてっと床に落ちてみた。

それを見ていた子供たち、
一瞬なにごとか⁈と驚くも、
「ただむいちゃんは落ちただけ」
に気づくと、大爆笑し始めた。

「そんなこと、大人はしないよ!」
と、腹の底から面白ろそうだ。


だって私は
ソファから落ちたかったんだもん!
単純で純粋な動機。

そう思ったから、
そうしたかったから、
そのままそうしただけ。


ああ、確かに、
そんな大人はいない
かもしれない。

「そんな大人はいない」
「そんな子供っぽいこと大人はしない」
「そんな事したら恥ずかしい」

なんて理性が働くのだろうか。
いや、そもそも
そんな事したい、なんて
思わないのかもしれない。
思い付きもしない、かも。

でもきっと、
子供だったら。

子供の頃だったら
何でもやりたい事を
そのままやっていたよね?


汚れちゃうなんて思わないから
目の前の水溜りに入ってみたり、
ちょっとした高さのある所に
登ってみたり、飛び降りてみたり。

鯉のぼりを探しに
チャリンコで走ってみたり、

クローバー畑に寝転んで
風に動いていく雲を眺めたり、

レンゲ畑を見つけたら
中に入って蜜蜂に刺されたり、

小さなつむじ風に踊る落ち葉を
追いかけて一緒に踊ってみたり、

真っ白い雪景色を見たら
雪の中にダイブしてみたり。

(※全部今もやるけど)


子供のころは
もう思ったままに、
体が勝手に動いてたよね?

それをやったら痛いとか
それをやったら恥ずかしいとか
そんな事しても意味がないとか。


そんな事
なんにも考えずに。

なんで私達はいつの間にか、
誰かの視線を気にしたり、
意味がないことを
やらなくなったんだろう。

それが大人になることならば、
なんだか少し寂しい。


「やったらいいんよ」

そこに
なーーーーんも意味がなくても。
誰かが見ていたとしても。

あなたの「魂」が
それをしたいと思ったら、
全部許可。

瞬間に許可。


「大人はそんなことしない」
そんな制限、外してみたら。


きっと面白い世界が、
始まるかもしれない。