先日、
モコの通う特別支援学校の
高等部入学説明会がありました。

モコは最重度の知的障害があり、
重複クラスに在籍しています。
知能は1〜2歳くらい、
体格は6歳くらい。
小学部、中学部とずっと
特別支援学校に通っています。

高校もそのまま在籍している
特別支援学校の高等部への入学を
希望しています。

特別支援学校の多くは、
小学部→中学部→高等部に進むにつれ、
在籍の児童生徒の人数が増えます。

その理由は、小中学校まで
地域の公立の小中学校の
特別支援学級に通っていたお子さんが、
中学部や高等部になってからの進路で、
特別支援学校を選ぶケースが
多いからです。

先日の高等部入学説明会にも、
在校生の中学3年生以外にも
公立の中学校に通う生徒さん達が
多くいらっしゃいました。

公立の中学校で頑張ってこられた
生徒さん達の、落ち着いた
立派な後ろ姿を見ると、
少し胸が痛む思いがしました。

特別支援学校は
高等部を卒業しても、
高校卒業の資格は取れません。

高卒の資格が取れないと
当然その先の進路にも影響してきます。
特別支援学校を卒業する
生徒さんの多くは、
就労継続事業所や
生活介助の事業所に就労されます。
その他、障害者枠の一般就労や
特例子会社への就労も行っています。

もし、卒業後の進路を
それらに定めるなら、
就労に向けたカリキュラムが
在籍中にしっかり組まれ、
事業所とのパイプが出来ている
特別支援学校は最適だと思います。

中学部から様々な作業を体験し、
社会人になった時に必要な
基本的な挨拶やマナーなども
きちんと指導してくださいます。

その辺は特別支援学校は
かなり手厚いと感じています。

でももし、違う道を選ぶなら。
高校卒業の資格が必要なら、
また違う選択肢を選ばなければ
なりません。

どんな卒業後の進路を目指すかで、
おのずと高校選択も変わってくる。

「高校選択」の時点で
もう既に未来を見据えて
おかなければならないということは、
それは健常のお子さんよりも
早い段階で将来の選択を
迫られるということなんだな、と、
改めて感じました。

健常のお子さんでも
まだ中学生の時点では、
高校卒業後の具体的な進路を
定めているお子さんは
多くはないと思うのに。

更に成長がゆっくりな
障害がある子は、
その選択が早く訪れるなんて、
なんだか切ない。


先生のお話をしっかり聞いている
後ろ姿を見ながら、
色んな思いが交差していました。

ご本人もだけども、
付き添われている親御さんの
お気持ちを想像すると、
きっと色んな思いを
今、抱えてここにいるのだろう。
色んな葛藤があるだろう、と。


何処に進む選択をしても、
お子さんにとって
最良の選択ができますように。

それが1番、望むこと。



さて、
そんな思いは知る由もなく
説明会中のモコは、
私の首から下げた保護者の名札を
ひらひらイタズラしながら、
時々イタズラがすぎそうになると
側で監督している担任の先生に
小さく阻止されていました。

特別支援学校での毎日は、
本当に楽しそうで。

それでも在校生が合流してから
説明会が終わるまでの15分の間、
席を立つことなく、
私の隣に設置された椅子に
ずっと座っていられました。

こんな姿は見たことがない。

ちゃんとしないといけない場面では
少し大人しくできるくらい、
成長したのね。
それは凄いことだよ。

更にその後にも、
私の心を温める出来事がありました。

説明会が終わり、
一足先に子供たちと先生が
教室に戻る時のこと。

その時真っ先にモコに
駆け寄ってくれたお友達がいました。

「一緒に教室戻ろうよ〜」とでも
言っているように(お互い発語なし)、
2人ともにこにこ笑いながら、
先生と一緒に去って行きました。

モコよりほんの少し大きいくらいの
6歳児くらいの体格しかないモコと
あまり変わらない体格のお友達。
2人並ぶ姿は何だか愛おしい。


特別支援学校に入学した時、
モコは周りの子よりもかなり小さくて、
知能もかなり劣るので、
対等に接してくれるお友達は
多分この先も、できないだろう。
と、思っていた。

それが今目の前で
お友達と笑いながら
一緒に教室に戻っていく。

その姿を見て、
なんだか胸が熱くなりました。

普通に楽しく学校に通って、
普通にお友達がいて、
「普通」なんてないと思ってたし、
望むことすらとっくの昔に忘れていた。

いや、モコが生まれて
障害が分かった瞬間から、
最初から望むことすらなかったんだ。
普通に、忘れてた。

なんだかそんな感覚が
蘇った瞬間。


「普通」って、
なんだろうな。

当たり前にあったら
気付かないもの。

当たり前になかったら
それはそれで、いいもの。

みんな1人1人違うから
本当は「普通」なんて枠は
いらないのかもしれないね。