障害者施設の歯科に
通うことになったモコ、
初めての治療の日。
(虫歯はないので歯石除去のみ)

モコは心臓の根治手術をしている為、
感染症予防に事前に抗生物質を
処方されていた。

受診前日の夜と朝に
抗生物質を内服してから臨む。

その日の受診は11時。
朝は普通に学校へ向かい、
受診に間に合うように
学校へモコを迎えに行った。

歯科に到着してからは
完全予約制であることから、
そんなに待つことなく
治療室へ呼ばれた。

モコは治療が難しいので、
麻酔をする予定になっていた。
用いられるのは、精神鎮静法。
点滴から麻酔薬を入れ、
軽く眠らせた状態で治療をする。

本人は治療中の記憶はないので、
怖がったりトラウマになる事も
ないとのこと。

診察台に乗せるまでは
暴れていたモコも、
すぐに眠りについた。

「お母さんは外で待っていて下さい」
そのまま私は診察室の外に出る。

その間、
学校に様子を伝える為の電話。

学校にお迎えに行った際、
もし給食に間に合うように
麻酔も切れて戻って来れるなら、
給食を用意しておいてくださる
との嬉しい配慮をいただき。

診察に入って直ぐに確認すると、
麻酔が切れるまで1時間は
飲食は控えるように、との事。

残念ながら時間的に
給食は食べられそうにない。

その報告の電話を一件。

更に待合室で
なんと地元のお友達に偶然会う!
いつも私たち親子を気にかけてくれて
いつも優しく励ましてくれる
大切なお友達。

久しぶりの偶然の再会が
とっても嬉しい。

お友達が診察室に入り
一旦お別れ。

更にこの治療中に、
もう一件、予定を入れてた。

この時間に合わせて
モコの相談員さんが
ここに来てくださるとの事で、
そのまま待ち時間に落ち合い、
モニタリングを受ける。

最近もモコが
放課後等デイサービスでも
相変わらず楽しそうなことを聞く。

どこに行っても楽しそうなので、
もうそれは天性のもの。

モニタリングが無事終わり、
帰りがけのお友達を
追いかけて行ってお見送り。

すると、
モコの治療も終わったとの事で
直ぐに診察室へ。

溜まっていた
大きな歯石を取って頂き、
口元には綺麗になった
小さな歯が並んで見えた。

モコは麻酔で寝ているので、
こんなにちゃんと全くの抵抗なく
口の中を見られるのは、
何だか不思議な気分。

次回の検診は4ヶ月後、
今現在虫歯はないけど、
虫歯になりやすい歯はあるから、
歯磨き頑張ってね、と説明を受ける。

一通り聞いてから、
モコを診察台から下ろす。
看護師さんがモコに優しく声をかけ、
起こしている。

目が覚めて起き上がったものの、
まだ麻酔が効いているようで
ふらふらしている様子だ。
足元がおぼつかないので
モコを支えながら連れて行く。

診察室から出ると、
それでも一目散にふらふらと
イタズラしようと目掛けて標的物へ
向かっていく。

麻酔が効いて
どんだけふらふらしていようと
イタズラの方が勝るなんて
やっぱりモコは只者ではない。笑

麻酔も徐々に切れていき、
30分を過ぎた頃には
完全に通常モード。
(もう少し効いておいて欲しかった)

ご飯も食べてご機嫌に帰ってきた。



モコは重度知的障害があるから、
とてもじゃないけど
普通の歯科には通えない。

しかも全身麻酔のできる歯科、
となると、限られる。

更に「麻酔」という響きが、
治療は入院になるのだろうか?など
心配事がてんこ盛りで
「歯科に通う」ハードルが、
私の中ではいつの間にか
高くなっていた。

今回ここの障害者施設の
歯科に通えるようになり、
専門の先生方や看護師さんの
慣れてる手際の良さと
どんと構えた優しさと安心感に
胸を撫で下ろした。

しかもお友達にも会ったように、
他のお友達も含め、結構みんな
ここに通っていたことを知った。笑

私の中では
モコは最重度の知的障害で、
他のお友達は普通の歯科に
通っているのだと思い込んでた。

思い込みは、時に
解決方法へ辿り着く
ルートを断つものなんだ、
と反省の意を込めて。

今度は思い込まずに、
ちゃんと欲しい情報は聞いてみようと、
当たり前のことを発見しつつ、
また新しい世界を知れて、
また新しい体験をできたことで、
こうしてシェアしたり、
この体験がまた、
誰かの役に立っていく。

それが嬉しいんだな、
たまらなく。