価値観の転換は必ず歴史的痛みを伴う。
生身の人間心理と組織集団に変革を求めるからだ。
だが、一つの価値観にどっぷり漬かっている人びとや集団には、そもそも激震(明治維新、第二次世界大戦での敗戦、そして東日本大震災)の意味がわからないだろう。それどころか、変革への不適応を引き起こし、いっそうの泥沼化をもたらす。

今、日本を泥沼化させているのは、日本社会に巣食う社会的リスクが感知できず、改革の手だてを打てない日本中枢のリーダーたちである。・・・

多くの国民が直感的に感じている「日本病」治癒に挑戦したい、という思いで2006年に滋賀県の知事職に挑戦し、この6年の間、知事として何ができたのか、できなかったのか、その挑戦の結果を自分の言葉で記したものである。

『知事は何ができるのか:「日本病」の治療は地域から』2012年

嘉田知事は卒原発について、季刊地域2012年秋号にこう書いています。

今年5月にはいってからは、地元企業からいっせいに「電力不足は中小企業を倒産に追い込む」「海外に移転せざるをえない」といった悲痛な声が毎日のように私の耳にはいってきた。・・・

その裏には、どうやら4月以降、「計画停電」の恐怖を個別に企業に触れ回る電力会社の動きがあったようだ。「代わりに県が電力供給できるのか」とまで迫られたが、残念ながら、これまでエネルギー政策は国策であり、電力会社の独占だった。

そして今、本当に大飯再稼働が必要だったのか、改めて疑問に思っている。

今必要なことは3点だ。ひとつは、「被害地元」として、万一の事故の時に被害を最小化する政策を国に提案することだ。・・・

二つ目は、できるだけすみやかに原発から卒業するための「卒原発」のカリキュラムづくりである。
・・・

そして三つ目は、原発にかわる再生可能エネルギーの供給をできるだけすみやかに実現することだ。・・・

環境問題の何たるかを学んできた研究者としての経験をもち、自治体を預かる知事という立場にある者として、決意と覚悟をもって社会的にも発信していきたい。
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これが現在の自治体を預かる首長さんの実態なのだと思います。
「計画停電」という脅しをかけてまで、原発再稼働を強行させた電力会社。
結局、振り返ってみれば、関西電力管内の夏場の電力は有り余ってしまい、火力発電所を止めて調整したわけですが、それについての反省の弁は一切聞こえてこないし、県知事さん達が組織した関西広域連合からも、公式に釈明を求める要求が出て来ていません。

こんな茶番を一体いつまで続けるのでしょうか?

大飯原発再稼働に反対する官邸前デモで、一体どれだけのエネルギーが消費されている事か・・・。

12月16日の都知事選挙と衆議院選挙は、間違いなく「脱原発選挙」です。

みなさん、必ず投票に行きましょう。