ウクライナ支援などの予算がアメリカ上院で23日、やっと可決されたが、「やっと」というもう1つの新法案が同日、上院で可決された。すでに下院で通過しているから、翌24日にバイデン大統領が署名して成立した。

​​ TikTok(ティックトック=下の写真の上)規制法である。この法律で、TikTokを運営するバイトダンス(字節跳動=下の写真の下)はアメリカ事業を廃止するか売却を義務づけられた。​​

 

 


規制案たびたび、そのつど生き延びてきたTikTok​

 ネットの国家支配を認めるスターリニスト中国のバイトダンスの運営するTikTokの規制については、過去何度も、本日記で書いた(23年3月20日付日記:「今度こそアウト! 動画投稿サイトTikTok、アメリカ各界からの包囲網狭まる:FBIも捜査」、22年12月27日付日記:「TikTok(ティックトック)、ユーザーの記者の個人情報を不正入手の危険:米政府機関で禁止、米国内から追放の声高まる」、20年8月20日付日記:「TikTok以前に政府から売却を命じられていたトンデモないネット企業」、及び20年8月5日付日記:「ユーザー6500万人の動画投稿サイトTikTok(ティックトック)ついにアメリカで頓挫」を参照)。

 そのタイトルを一覧しただけでも、「なぜ、また?」と思えるが、アメリカ政界の巧みなロビー活動や法廷活動で、そのつど生き延びてきた。しかし、ついに年貢の納め時がきた。


偏向した投稿内容、スターリニスト中国の意を受けてか?​

 TikTokはアメリカのみならず世界の若者に利用されているが(アメリカのTikTokユーザー数は今年1月時点で約1億5000万人)、これはスターリニスト中国の影響を受けてか、かなり偏向している。

​ ある研究者が調べたところ、ガザ戦争開始以来、イスラエルを支持する投稿より数十倍もハマス支持・イスラエル批判の投稿が多かった。スターリニスト中国を批判する香港やウイグルなどの人権問題を取り上げた投稿はほとんどなかったという。スターリニスト中国にデータが筒抜けになり、不都合な投稿は目に触れられないようにされている可能性が強い(写真=バイトダンス創業者の張一鳴)。

 

 さらに最近は、青少年のTikTok中毒が、欧米諸国でも問題視されている。EUも、青少年の過剰利用が問題視され、バイトダンスは一部のアプリの利用停止に追い込まれた。


売却かさもなければ禁止​

 成立したTikTokの新たな規制法では、何よりも運営がスターリニスト中国のバイトダンスにあることが問題視され、1年以内にバイトダンスはTikTokをスターリニスト中国以外の外部資本に売却するか、さもない場合は禁止される。

 売却せず法に違反した状態が続けば、ユーザー数に最大5000ドルをかけた額の制裁金を課される。1年という期限内に間に合わなかった場合も、最大500ドルを乗じた額の制裁金がかかる。バイトダンスがスルズルとTikTokを運営できないようにした。


法廷に訴えて規制逃れか​

 これで万歳かと言えば、バイトダンス側は言論の自由を盾に法廷に訴えて、規制法律を無効化する動きもある。あらゆる自由を抑圧するスターリニスト中国に居ながら、言論の自由もないものだが、合衆国憲法に照らすと予断はできないともされる。

 自由世界は、スターリニスト中国によるネット支配という厄介な問題を抱え込んだものだが、速やかにTikTokの「死」が実現することを願っている。


昨年の今日の日記:休載​