SNSを通じての投資詐欺が、社会的問題になっている。しかも多くが人生で多くの経験を積んだ高齢者が被害に遭っている。高齢者に金融資産が偏るという日本型資産構成を表す一側面でもある。


7億円も騙し取られた70歳女性​

 ただ金融リテラシーの高い人なら誰でも見破れる投資詐欺に、簡単にひっかかる方もどうかしている、と思う。被害話を聞いても、「気の毒に」という同情心がどうにも湧いてこない。

 特にこの4月に判明した去年11月に茨城県南部に住む70歳の高齢女性が詐欺に遭った件は、その額の大きさから驚く以上に呆れてしまった。

​ この70歳女性は、ネット広告で経済アナリストの森永卓郎氏を語るLINEに誘導され(写真)、それに勧められるままに金の投資資金を振り込んだという。そうした諸々の振り込み金額は、約7億円!​

 

 

 さらに現金に換えるためという手数料を稼ぐために別の投資詐欺にひっかかり、さらに1000万円を取られた。


安直に儲けられる話など無い​

 かくも安易に、7億円も振り込むというこの安直さに呆れてしまう。7億円など、普通の投資家でも稼げない大金だ。ましてサラリーパースンなら夢で見るしかない金額でもある。

 世の中には投資だけで1億円の資産を築いた「億り人」はいるが、そうした人たちは自ら経済分析を重ね、損失を繰り返しながら(時には眠れない夜を過ごしつつ)も何とかそこまでたどり着いたのだ。安直に儲ける道など存在しない。

 いくら有名人だからといって、本人かどうか定かでない者の言いなりに巨額のカネを送金するなど、本人にも問題がある。

 また70歳女性がひっかかった森永卓郎氏は、そんな投資指南などする人物でないことは、ちょっと経済知識があれば容易に見分けられる。


絶対の儲け話を他人に教える人などいるはずもないのに​

​​ しかし、その種の安易な行為で投資詐欺にひっかかる連中は、後を絶たない(写真)。それどころか激増中だ(=2023年中のSNS型投資詐欺の認知件数と被害額)。​​

 

 

 滋賀県の60代女性がネットでの投資詐欺で6700万円取られただの、兵庫県西宮市の自営業の男性(69歳)が村上世彰氏を語る人物から6600万円を騙し取られるなど、だ。

 額も数十万円などでなく、億に近い巨額だ。これなら詐欺師にとって止められないだろう。

 そもそも世の中に、絶対儲かる儲け話を赤の他人に教えてくれる人などいるはずがない。確実な儲け口があるなら、誰だってこっそりと自分だけでそれをするだろう。

 そんな基本中のキ、常識中のジョも忘れて、いい歳をして巨額のカネを騙し取られるなど、信じられない。いったいその年齢までどんな仕事・経験を積んできたのだろうか。


昨年の今日の日記:「函館の旅(3):西欧風城郭の五稜郭は幕末のペリー来航に刺激されて造られた、タワーから眺めた函館山」https://plaza.rakuten.co.jp/libpubli2/diary/202305020000/​