耳介が脳の放熱機関だという視点 



 ゾウの耳をはじめ動物の耳は、放熱という重要な仕事をしている。翻って人間の耳に鍼をするために毎日観察していると、やはり人間の耳も放熱の役割があるのではないかと思えてくる。 


 生命の活動は熱である。物を食べ消化することも、ものを考えて思考することも、全て熱を生ずる。そうした胃腸からの熱と、脳からの熱が、耳を通して放出されているのではないかと思えてくる。 


 耳介へ伸びる神経は、まさに内臓の情報を伝達する脳神経と脳の中枢を結んでいる。 臨床の場で聞く胃腸の状態や体の症状と、耳介に現れている反応は、非常に分かりやすくリンクしていることが観察される。


脳の疾患も含め、多くの疾患の原因が熱が関わっていることから考えても、耳介からの放熱は大きな意味を持つように思える。


 耳を動かせる人も割合多いだろう。動物の頃にあった機能が失われずに、今も密かに使われている。その一つが耳介の放熱だろう。頭を冷やすと言うが、脳を冷ますのは、耳が一番いい。