古い写メが入ったCD(昔、僕は携帯で撮った写真をCDに保存していたのです)を何となく見ていたら、こんな写真が出てきました。
これは、一昨年に大田区で撮影したものです。
僕は19歳で東京に出てきて、約20年間、品川区の大井町に住んでいました。
その後、5年間大田区の大森に住みました。
写真の京浜急行バスは、大井町駅と大森駅を結んでいた路線バス「井19」系統です。
昔はよく乗ったものです。
大井町駅を出ると、駅前の商店が並ぶアーケード街を通って、仙台坂を下ります。
アーケード街には、僕が生まれて初めて入ったとんかつ屋さんや、裏の路地には、美味しい洋食屋さん、気軽に一杯できる立ち飲み屋さんなどがありました。
駅前には、今はなき牛友チェーンが、どでかいスタミナカレーを、薄汚れた店先で立ち食いさせてくれてました。
大井町が、今みたいにお洒落な駅ビルや大型スーパーなどがなく、スーパーは路地裏にあって、競馬帰りのおっさんたちが主役の街だった頃。
駅舎も平屋でした。
仙台坂を降りきった青物横丁からは、第1京浜国道を南下。
青物横丁で思い出すのは、テレビのバラエティー番組で、最も人気がある車のナンバーが、「品川」だというアンケートが出た時。
あるサングラスがトレードマークの芸人さんが、
「青物横丁の八百屋のおばさんが乗ってるのも、品川ナンバーなんだけどなあ」
と、ツッコミを入れていたのを、今でも覚えています。
バスは、大森駅の少し手前で右折して、国道と平行している桜新道に入り、春ならば見事な桜並木の下をくぐるように、大森駅に向かったのです。
隣り同士の駅を結んで、電車なら僅か3分の区間を、20分くらいかけて走ってました。
でも、電車より遥かに変化に富んだ車窓を楽しませてくれたのです。
今も地元の足として走り続けているバスですが、乗客数が少なかったのでしょう、写真のような可愛い小型バスが時々使われていました。
上の4枚は、古い携帯で、おそらく平成10年前後に撮ったものですから、画素数が少なくて粗い写真なのは、御勘弁を。
でも、まるで、玩具のチョロQみたいな可愛いバスでしょ?
後ろの車輪を大きくして、後ろにグイッと引っ張れば、ピューッ!
なんてね。
ちょっと急ブレーキをかけたら、コロコロコロ、って前に転がっていったりして。
どんな乗り心地なんでしょうか?
もともと京浜急行バスの車両は大型なものが多くて、この小型バスがちょこん、と広大な大森駅東口ロータリーの片隅に止まっている様は、なかなかいい風情がありました。
塗装も、他のバスと違っています。
下は、その頃の自宅のすぐ近くの交差点で撮影した、京浜急行の普通の大型路線バスです。
「井19」系統の小型バスの塗装は、京浜急行の長距離高速バスと同じでした。
と、言えば、たかだか数kmを走る路線バスの分際で、ちょっぴり背伸びし過ぎじゃないかと感じますが、爽やかな風をあしらったような素敵な塗装ですよね。
でも、1度も乗る機会に恵まれませんでした。
「井19」系統に乗ろうとすれば、普通の大型バスばかり。
チョロQバスを見かける時は、他の用事がありまして。
でも、大井町、大森時代を振り返る時、様々な思い出とともに忘れることのできない、僕にとってはこよなく懐かしいバスなのです。