住んでいるマンション自治会の会員数の減少もあり、いつもより随分と早くバトンが回ってきた自治会役員。

この4月からの役回りは、地域のまちづくり協議会の自治振興委員会にマンション代表の一人としての参加である。

2018年度はマンション自治会長を拝命したが、意外なほどマンション外の地域活動を知る機会があまりなかった、いや、正確にいうと知ろうとしていなかった。

今年は地域活動のなかにどっぷりと入れそうで、まちづくりについてとても良い勉強になりそうだ。


先日は委員会の会議に初参加した。

平日の夜7時半から小学校区の役員の方々数十名がコミュニティセンターに集まっていた。

今年度から役員としては初参加となった60歳代のある方から、ほぼ怒号のような大声での質問⁈苦情⁈文句⁈

「地域の見回り、子ども達の見守り、ごみ拾いとか、そんなんせなあかんのですか?💢」

おそらく数10年とボランティアで地域活動に従事されてきたと思われる80歳代の現役員の方々数名が、各々包み込むような佇まいで穏やか丁寧に説明し、質問者に応対する姿を見て感心した。

こんな方々が長く永くいてくださってるから、この地域、まちがつくられてるんやなぁ…と。

その一方で新しく役員になった方々からすると、地域の仕事を担わされたという負担感や不満がどうしても拭い去れないようだ。

きっと地域活動の内容ややり方には、なにかしら改善できるところもあるだろう。

それにしても、自分たちのまちに暮らしていても地域活動については知らなさすぎる。

わたしも含めて日頃はそもそも知ろうともしていないし、知らないことだらけではないだろうか。

なぜなら普段の生活が送れている時はそれでも全く問題ないからだろう。

災害や急な病気で、もしも普段の生活が送れなくなるような状況になってしまった時はどうだろうか。


自治会や町会などの地縁型組織は任意加入であることや加入のメリットがないことなどを理由に、高齢化も伴い加入者数は年々減少し、全国的に組織自体が弱体化してきている。

任意加入ではあるが未加入の方々は、自分たちが住む地域、まちのはずなのに…

地域の町会・自治会員、役員の良心、ボランティア精神だけに頼りすぎてはいないだろうか。

会員数減少を、もし活動内容がその原因とされるようなことがあると、さらなる会員減少や役員を務められる人がいなくなり、町会・自治会自体の持続可能性はもっと低くくなるのでは。

などと思ってしまう。


よくある町会や自治会加入のメリット、デメリットの二元論思考的な話しには、都市的で個人主義的な志向が背景に強くありそうだ。

つながり自体のめんどくささも相まって、デメリットばかりが大きくなってしまう。

それにより、本当のメリットをほとんどの人が知ろうとしていないだけなのではないか?

ゆるやかなつながりとは、何かを考えて動いていないだけなのでは?

ただ、適度な距離感を保ったゆるやかなつながりを育むことは、たしかに少々めんどくさいことでもある。


その上で、本当のメリットとはなにか?


自分たちの現在や老後の暮らしだけでなく、その後に続く自分たちの子供や孫の世代も、つながりが希薄で助け合う共助意識もない世知辛い地域、まちでの暮らし、そんな世の中、まちづくりでいいのだろうか。


「ネイバーフッドデザイン」荒 昌史著、英治出版にて、ゆるやかななつながりについて、以下のように記している。


◉いざという時に助け合える関係性と仕組みを育むことができる

◉自宅に近いところに見守ってくれる存在があること

◉人と会うことの価値を感じられること


これらの3つが本当のメリットではないか。

さらに、

日頃からの関係性を育んでおかないと、災害などのいざという時に、すぐには助け合える関係性にはならない。
とあり、確かにそのとおりだ。


コロナ禍で、どの人も人とのつながりは散々だったはずだ。

オンラインで新たなつながり方を見つけることができたが、オンラインの限界もあることも知った。

それでも、どの人も少なからず地域のなかでの孤立化を体感したのではないか。

これらを忘れずに良き経験としていくには…

他者への単なる監視ではなく関心をもって、
そのめんどくささを少し超えて、
ゆるやかなつながりや関係性をつくっていく、

住んでいる地域のこと、まちのことをいかに自分ごとにしてもらうか。

それは、他者の未来ではなく自分たちの未来でもあるということ。

行政や町会、自治会、マンション管理組合、管理会社がしてくれるというお客さま感覚をなくす、自分たちで、まちをよくするというとらえ方に変えていく当事者意識をもってもらうことが不可欠だ。


まずは住んでいる地域、まち、マンションの歴史を振り返ることもよさそうだ。

地域、まち、マンションを歴史を知ること、誰のための、どんな地域・まちづくり、マンションコミュニティづくりがいいのか、住んでいる人たちが互いにとってより良い未来像がみえてくるのではないか。

また、集会所などは、防災や減災の拠点として、情報収集やメーリングリスト等の連絡手段の確立などにおいて、インターネット環境整備(Wi-Fi環境も)、オンライン環境の整備は不可欠ではないか。

などなど。

もう一度、町会、自治会の加入のメリットについて、ゆるやかなつながりとはなにか、地域活動やまちづくりの中に飛び込んでみて、現在なされているやり方や慣習をまずはよく知って、たった今から自分にできること、やってみたいことを考えて動いてみたい。