訪問介護の身体介護「共に行う家事の調理と買い物」の経験から
味のおいしさ、盛りつけの美しさ、この材料からどんなものができるのかわからないからこそうまれるたのしさやおもしろさ、健やかさがあった
共に行う家事は、生活をデザインしなおして家事を自分でやり続けられるようお手伝いする仕事
訪問介護という在宅生活者のケアは、アートの塊であり、ブリコラージュ(あり合わせの材料で何とかする)の連続
その人ならではのもの
他の掃除や洗濯、片付け、整理整頓などの家事も暮らしの中でたのしみなりうるもの
便利な現代社会では、お金でサービスを買うことで、暮らしの中で自分でするというたのしみを簡単に手放して、他の人たちに外注してきた
いよいよ高齢者、要介護状態になると、介護保険サービスもあり、在宅生活で自分ですることを自らあきらめてしまいやすい状況が揃っているのかもしれない
デイサービスに通っていても、やりたいことを"なかったこと"にして、みんなと同じように過ごす時間が大半になっている方々が多いだろう
それこそ、訪問介護の身体介護「共に行う家事」の出番ではないか
日々の暮らしの中のたのしみでもあるはずの家事
要介護・要支援者自分自身でできることはするということが最大の介護予防、重度化予防になる
"よくする介護"
そのお手伝いを真っ先にできるのが、訪問介護の身体介護の見守り的援助、共に行う家事だろう
要介護・要支援者と一緒に、台所に立ち、必要あれば、買い物にも同行し、在庫も確認しながら、ありあわせの材料で、美しいものを作って、おいしく食べる
そして健やかに暮らす
そこからうまれるのは、暮らしのたのしさしかない
たのしさは継続するための原動力にもなる
たのしさがあれば、ケア者と被ケア者という関係性もぼやけて溶け合うような感触がある
訪問介護の利用者さんから逆に元気をもらうことの方も多い
そこには、ケアする・されるの関係に逆転もありうる
そして、お互いの成長がある
互いが互いを必要とする関係性、この相互依存的な関係性こそがケアの醍醐味
訪問介護の仕事は、専門性が高いというより奥深すぎる
訪問介護と暮らし、ケアとデザインやアートはつながりあっている