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今回は、資生堂 IHADA(イハダ)薬用UVスクリーンの解析の2回目として、 処方解析の前編をお送りします。
関連エントリーはこちら。
2020.4.23資生堂 IHADA(イハダ)薬用UVスクリーンの「解析1 概要編 を追加
2020.45.8資生堂 IHADA(イハダ)薬用UVスクリーンの解析2 処方解析編(前編) を追加
この製品は医薬部外品なので、裏面の原料名も医薬部外品名称になってます。
今回はこれをとりあえず、化粧品の名称に変換します。いわゆる表示名というヤツです。
これをやらないと、解析出来ないのです。
この作業は結構大変で、細かいことも色々考えなければなりません。
例えば、化粧品は「成分を多い方から順番に書いていく」と言うルールがあります。
これは薬事法という、法律で、決められているので、守らないと大変なことになります。
意図的でなくても、誤字などで間違えたりするだけで、厚労省から回収を命令されたりします。
このルールと言うか法律は、実は医薬部外品にはありません。
一応あるんですが、業界自主規制となっており、罰則もありませんし、特許的に表示したくない成分は書かなくていいなどの抜け道も多いです。
まあ、化粧品業界は村社会なので(^_^;)、よほどはぐれた会社でない限り、大体この自主ルールに沿っているのですが、世間的には大きな会社であっても従わない会社もあります。
例えばDHCなんかは、平気でこのルールを破ります(^_^;)
家書遺品兼ブログでの、関連エントリーは以下です(^_^)
ファンケル×ローソン 無添加化粧品 番外編(マイルドクレンジングオイル特許訴訟) 2015.9.25追加ファンケル×ローソン 無添加化粧品 番外編2(マイルドクレンジングオイル特許訴訟の続き)
前置きが長くなりましたが、今回資生堂さんもこのルールにあまり従っていない点があります。
DHCは、実は化粧品業界では、かなりのはぐれ会社なので仕方ないと言う面もあるのですが(^_^)
資生堂さんが化粧品業界の盟主なので、あまりそういう事はやって欲しくないのですが、そうしてでも隠したかった点があったということなんでしょう。
資生堂が隠したかった事は何なのか?
この辺がこのイハダの日焼け止め処方を見ていく上でのポイントです。
まあ今回は解析の前半だけ。
製品裏面に書いてある、医薬部外品名称を、分かりやすい化粧品の表示名称に直すところまでですが隠したかったことは分かります。
それでは早速行きます。
製品裏面に書いてある名称は以下になります。
(医薬部外品名称)
グリチルリチン酸ジカリウム*,常水,ワセリン,デカメチルテトラシロキサン,メチルポリシロキサン,メチルフェニルポリシロキサン,濃グリセリン,ジプロピレングリコール,ポリアクリル酸アルキル,セバシン酸ジイソプロピル,PEG-9 ポリジメチルシロキシエチル ジメチコン,ビスブチルジメチコンポリグリセリル-3,ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体,N-ラウロイル-L-グルタミン酸ジ(フィトステリル・2-オクチルドデシル),水酸化アルミニウム,含水ケイ酸,無水ケイ酸,ステアリン酸,低粘度メチルハイドロジェンポリシロキサン,ジメチルジステアリルアンモニウムヘクトライト,クエン酸,クエン酸ナトリウム,メタリン酸ナトリウム,ピロ亜硫酸ナトリウム,フェノキシエタノール,酸化チタン,低温焼成酸化亜鉛
*は「有効成分」無表示は「その他の成分」
上記は製品に書いてあるとおりに写したのですが、すこし分かりにくいので解説すると、「*」の印が付いているのは「有効成分」で、今回で言えばグリチルリチン酸ジカリウムになります。
それ以外は全て、「その他の成分」です。今回で言えばグリチルリチン酸ジカリウム以外の全成分ですね。
化粧品と違って、「有効成分」は配合量が少なくても、大抵は先頭に書かれることが多いです。
厳密に言えばルール違反ですが、有効成分を明確にするという、マーケティング的な要請ではないかと思います(^_^)
これは大抵は微量だし、そうで無い場合も量が分かっているので、いいとしましょう「。
まあ、この程度の、ちょい反則なら良いですよね。
また医薬部外品の場合は有効成分は配合濃度を測定し、その濃度が40℃6ヶ月間の高温試験の期間、濃度が維持されていなければなりません。
「その他の成分jは、安定性維持の必要は無いのですが、医薬部外品に使われるこの「その他の成分jは何でも使えるわけではありません。
安全性などを事前に厚労省で審査され、使用可能リストに登録されていなければなりません。
例えば、濃グリセリンなんていうンなんてこと無い成分も、審査・登録されています。
この審査・登録作業が、結構キツい。
審査には、動物試験必須だったりするので、特に新規素材にはハードルが高いです。
最近の動物試験忌避の風潮では、回答が不可能な問いですよね。
この場合、原料メーカーとしては、欧州を相手に商売するか、欧州市場は捨てて、国内で医薬部外品に使ってもらう商売をするか、二択を迫られます(^_^;)
何ともおかしな話なのですが、笑えないことに真剣な話です(^_^;)
まあ、それはそれとして。
医薬部外品名称を、化粧品の名称に変換します。
どうでしょうか。
結構似ている名称だけど違っているところもまた多い、というのがわかると思います。
興味深いなポイントを見ていきましょう。
まずNo.4のデカメチルテトラシロキサンと、No.5のメチルポリシロキサン。これらは両方とも化粧品の表示名称はジメチコン(^_^;)。
大抵の場合、医薬品医薬部外品の名前の方がその成分を詳しく表している場合が多いのです。
化粧品の名称は海外と合わせるために簡略化されている場合が多いです。
またNo.9も曲者。
医薬部外品ではポ リアクリル酸アルキルと言う漠然とした名所なのに、化粧品になるとメタクリル酸メチルクロスポリマーなんて言う、やけに細かい名前に変わります(^_^;)
ちなみにですが、このポリマーは高分子増粘剤のような名前をしていますが、実はプラスティックパウダーなんです。いわゆるPMMA粉体と言われているものです。
ここは成分を解析する上では、ちょっとクセがあるところです。
あと難問としては。
化粧品表示名のNo.11の
No.11 PEG-9ポリジメチルシロキシエチルジメチコン
と言う成分と、化粧品表示名のNo.13の
No.13 PEG-12ジメチコン
と言う成分は、似た分子構造で名前の似ています。
しかしこれが医薬部外品名称になると。No.11はまだよくて、以下です。
No.11 PEG-9 ポリジメチルシロキシエチル ジメチコン
という似た名称なんですが。
No.13の方は全く違った物になっていて。以下の名称になっています。
No.13 ポリオキシエチレン・メチルポリシロキサン共重合体
全く違った名前ですよね「(^_^)。
特にNo.13が酷い変わりようです(^_^)
このあたりは表に起こさないと、化粧品犬でも初見では解析出来ません。
そして最後に、資生堂がやらかしていることを書いておきます。
この製品は、ノンケミカルでSPF50+、PA+++なので、当然、酸化チタンと酸化亜鉛が大量に配合されています。
おそらく両方とも10%前後は配合されているんじゃないかと思います。
しかしこの裏面表示上では両方とも最後です。
防腐剤であるフェノキシエタノールよりも配合量が少なく書いてあるのです(^_^;)
フェノキシエタノールは0.1〜0.3%程度しか配合されないものです。
これより少ないと言う事は無いですね。
明らかに配合量を隠してあるのでしょう。表示を変えても、特に罰則もないし(^_^;)
しかし化粧品業界の人にとっては、大体10%前後だろうなと推測できるし、分析業者に出せば25,000円位で分析してくれるので、そう大したコストではありません。まどちらかというと、この不人気製品にそこまで金だすか?というのが問題になるくらいです。
これは資生堂さんはちょっと自意識過剰かな、と思いますね(^_^;)
さてこれで、 処方解析編の前編終了。
後編に続きます。