キムビアンカ「SEXは物事の中心よ」 -6ページ目

ウタ様とお呼び 56

さよならフランダース。

アタシは人に甘える術を知らず、
内心ドギマギしてるうちにこうして、
それを知る機会を永遠に逃すのだ。

店を出ると見覚えのある黒塗りのクルマ。

窓が開き女がこちらを見た。

ウタさん。中村登志子です。

無視して歩き出す。

クルマがゆっくり並走してくる。

ねえあなたに話があるの。


$キムビアンカ「SEXは物事の中心よ」




2012年1月18日(水)0時 Twitter更新
http://twitter.com/KimBIANCA

ウタ様とお呼び 55

あの、一緒に暮らしませんか?

… 男の顔を見る。

寝るとか寝ないとかじゃなくってなんて言うか、
た…助けになりたいんです。
決心した横顔だ。

ありがと…
でもあんたとは住んでる世界が違いすぎる。

席を立ってレジに向かう。

自分で言っておきながら分からなかった。

アタシが住んでる世界って何なんだ?


$キムビアンカ「SEXは物事の中心よ」




2012年1月17日(火)0時 Twitter更新
http://twitter.com/KimBIANCA

ウタ様とお呼び 54

潮風のにおい。

男と並んで海を眺めながらコーヒーを飲む。

ここに来たかったんですか?

男の声に我に還る。

…そう、
ちょうど今座ってる場所には花壇があったの、
毎年母が葉牡丹を植えてたの。
冬に咲く紫と白のキャベツ。

それきり会話は途切れた。

幸せだった記憶ほど、
どうしてこんなに断片的なんだろう。


$キムビアンカ「SEXは物事の中心よ」



2012年1月16日(月)0時 Twitter更新
http://twitter.com/KimBIANCA