今年、育児休業はじめました。 | 三茶農園/きむらさとる

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といっても6月16日からなのですでに3週間ほど経ってるんですが、会社の制度を利用して約1ヶ月の育児休業を取得しました。社員数900人ほどの規模の会社に所属しているわけですが、これまで男性の育休取得者はゼロだったそう。男性の育休取得実績は会社の大小に寄らずどこも似たような状況なのではないでしょうか。自分の育休がどんなであったかを共有することでどなたかの参考となればと思い、育児休業に至った話を公開してみます。


【当方スペック】
赤坂の広告代理店(鉄道会社系)の事業企画開発局に勤めているサラリーマンです。渋谷を中心にメディア開発/ソリューション開発を通じた街づくり、というとわかりにくいので、街の盛り上げを創出すべく頭をひねったり、課題収集をして提言したりしています。山形生まれで、山形15年酒田3年仙台で1年浪人、大学で東京にきて働いて17年。3年前に静岡へ移住したので、現在は毎日赤坂へ通勤しています。家族4人、長女4歳(年少)、次女0歳1ヶ月、妻は杉並生まれの杉並育ちの東京人。


【次女誕生!】
6月9日に次女が産まれました。メッセージやお祝いをいただいた皆さまありがとうございます。次女誕生まではなかなか思い出深い日々がありまして、3月~5月に妻が緊急入院し(産道が短くなり動くと産まれちゃういわゆる切迫早産)、そのため長女4歳(年少)と突然二人暮しになったわけです。飲んだくれるのは得意だけど、これまで子育てなんか一切やったことない。幼稚園の送り迎えと家事と育児を会社と両立させるのはなかなか痺れました。上司や同僚には時間的精神的に多大なるサポートをいただきましてありがとうございました。そんな数ヶ月を経てやっとこ誕生。母子ともに健康でよかった!


【休業取得にいたった理由】
地理的と家庭的理由です。よくある出産パターンとして、妻が実家に戻り、出産後1~2ヶ月程度は親御さんに手伝ってもらうことが多いように思われます。夫はそのあいだ「最後のシングルライフ!」などといって自由を満喫したりしなかったりですがw、しかし今回、切迫早産で静岡の病院に緊急入院したため東京の実家へ戻ることができず、そのまま静岡で産むことになりました。親御さんにお手伝いいただくためには仕事をわざわざ休んで東京から静岡へ来てもらわなくてはならない。であれば自分が休職するのが順当であり「仕方ない。やるか。やむをえない。」というのが当初の気持ちでした。


【会社の制度】
育児休暇、育児休業、育児休職、いろいろな呼び方があれど、また休職と休暇の違いもよくわかってませんが、当社では休職扱いです。初の男性育休取得のためか単なる未整備なのか、(男性の)育児休職ボタンはイントラネット(社内システム)になかったですw そこで紙で書類申請提出しました。それと給料はでません。休職扱いなので。ただし20日以上休むと失業保険よろしく厚生労働省から給与の50%が給付金としてもらえます。申請は所属会社からしてもらいます。


【休職直前の気分】
広告代理店はけっこう夜が深いお仕事が多いです。近年減ってきたといえ徹夜は序の口。二徹三徹夜討ち朝駆けあたりまえ。時期の波はあれど。そんな生活を長年送ってきたので、育休が始まるにあたり夏休みでもない正月休みでもない新しい種類の休みに入るのが、一方で「すごく新鮮!」な気分でした。そういったなかで、出産から1週間経った退院の翌日から、育児休職しました。


【1日の時間の使い方】
  • 7時 起床、朝食、長女の幼稚園の準備、洗濯1回目
  • 8時半 幼稚園送り
  • 9時~11時 掃除、洗濯物干し、買い物
  • 12時 昼食を作って、
  • 13時~14時 ちょっと時間があく
  • 14時 幼稚園迎え、帰ってきて着替えさせる
    長女のかまってかまって攻撃スタート
    ひとつひとつのあいまに、
    「パパこっち来てー」「なんで?」「あのね!聞いて!」
    がありながら、
  • 15時 補助輪付自転車で(時間をかけて)スーパーに夕飯の買出しに行き、
  • 16時 夕飯作り、
  • 18時 夕飯食べて、
  • 19時 お風呂、頭乾かして、パジャマ着せて、歯を磨いて、
    次女の授乳を囲みながら家族団欒しつつ、ツメ切ってあげたり、
  • 20時 絵本読んで、長女就寝
  • 20時半 本日2回目の洗濯機を回して干して、
    朝の洗濯物取り込んで、たたんで、
    明日の幼稚園の持ち物用意して、
  • 21時ぐらい 本日業務終了。



【当初想像してたより自分の時間がない】
本読んだり、ブログに綴ったり、もっと自分の時間が作れるかと思ったけれど、ほとんど作れてないのが実情。もう少しうまくやれば作れるのかもしれないけど、朝昼晩の上げ膳据え膳、幼稚園の送り迎え、掃除洗濯買出しがあるとまとまった時間が作れない。食事の準備で鍋のお湯沸かしながらツイートしたりRSS覗く時間はあります。それから長女のかまって攻撃はすごいので、復職後に、妻が次女と長女の面倒をひとりで見ることを想像するといろいろと引き続きお手伝いしてあげなくては、という気持ちになってます。ひとりとふたりでは面倒がぜんぜん違うですね。


【妻サポ】
世に言うイクメンや育パパをやってる気は少ないです。赤ちゃんの世話はすべて妻なので。一方、ご飯など炊事と家事はすべて担当なので、いわゆる上げ膳据え膳役。妻のサポートです。家事をして知ったことといえばとにかく洗濯物が多い。赤ちゃんはおっぱいやミルクでガーゼたくさん使うし、よく汗をかくし、バスタオル(おくるみ?)の量が半端ない。そこに長女の幼稚園の着替えが加わって1日に2回の洗濯でも足りないぐらい。あとほこりがよく溜まる。共働きで家を出て普段いなければ週末掃除でなんとかなるかもしれないけれど、人がいるとそれだけでほこりがたまりやすい。赤ちゃんのためにこまめに掃除しなきゃならない。長女の幼稚園送り迎えやお風呂は一応育児か。


【夫に育休を取って欲しいと思っている女性の方へ】
素直に「取って貰えると助かる」と伝えるのが良いです。女性自身が休みたいのもさりとて、男性の休職が家族全体の希望だと思えているので、男としては「さあやってやるぞ!」という気になってます。

最後に、男性が積極的に育児休業を取得しない理由を考えてみたいのですが、その前にデータ。


【男性の育休実態】
厚生労働省「雇用均等基本調査」によると、平成24年に育児休業を取得した割合は、
  • 女性 83.6%
  • 男性 1.89%

です。1000人で19人。さらに取得日数となると、
  • 「1~5日」が8人(41.3%)、次いで
  • 「5日~2週間」が4人(19.4%)。
  • 両者を合わせると2週間未満が6割


だそう。月に20日以上育休を取得した人に支払われる「育児休業給付金」を受けた男性の実数は4067人(平成23年)。この年の出生児数は107万人なので、男性で20日以上の育休を取得した人は1000人に4人いないという計算。ちなみに、日本生命は男性の4週間以上育休取得率が100%らしいです。大企業では聞いたことない数字。ちょっと驚き。

そんな男性育休が少ない実情を幼稚園の行事に参加するとたいへん思い知るわけです。4クラス100名弱の幼稚園なのですが、たとえば保護者会に参加すると全員ママで100人ぐらい、そのなかに男性ひとり。バザーの打ち合わせに参加すると全員ママで40人ぐらい、そのなかに男性ひとり。親子遠足に参加すると全員ママでバスの中にパパひとり。幼稚園行事への男性参加が珍しいからか、はたまた心細さが伝わったのか、たいていのママが覚えてくれていて声を掛けてくれます。ママ友がめちゃめちゃ増えました! こちらは覚え切れてないのでごめんなさい。バザーを一生懸命手伝ったのでママ主体の打ち上げにもお誘いいただきましたw


【育休デメリット(不安)】
  • 給与が減ってしまう
  • 休業中のブランクが心配
  • 会社の査定が下がってしまうことが気になる

そんな理由でためらってしまう方が多いのではないでしょうか。実際自分がそうでした。

・給与が減ってしまう
月に20日以上育休を取得した人に支払われる「育児休業給付金」で給与の50%は補償されますが、ありがたいけれど結構厳しい金額です。であれば、有給休暇を利用する、休業期間を短くするなど、実際は育児休みにもかかわらず、給与を減らないため工夫をしている男性が多く、育休取得が少ないのではと思います。これだけ共働き夫婦が増えても、一家の大黒柱として家計を支えるのは「夫」という意識は、結構深く刷り込まれている気がします。

・休業中のブランクが心配
当社に関していえば、暖かいメールをたくさんいただき、ありがたい。戻る場所があるって。

がんばって上げ膳据え膳してきてください。
K池部長

兆候があるとのこと、ご心配ですね。
健やかな赤ちゃんが生まれることをお祈りしております
労務担当女史

>仕事が早くしたいです・・・
⇒あわてなくても。
めんどーな仕事、たくさんキープ(寝かして)おきます。(笑)
家族孝行してください。
F原部長


・会社の査定が下がってしまうことが気になる
この件では、「育児」よりもむしろ「介護」が深刻で大変なのだそうです。育児休暇や休職は復帰が見込めるが、介護休職ではいつ戻ってこられるかわからない。そこで出世競争からはずされることが多く、言い出せないひとが多いと知りました。小さい会社であれ大きな会社であれ、制度があるのないのといって取得するわけではないようで、厚生労働省の雇用均等基本調査によると、大会社のほうが取得者が少ないわけで。

「女性が働き続けられる社会を目指す」といった成長戦略を打ち出し、男性も育児参加!女性が活躍できる社会にするには男性の理解と協力が必要!といった女性の働き方には積極的な一方、男性がわずか2週間の育休だけでは子育てにさほど参加できないので、ホントに女性たちを支援するのであれば、男性の育休取得率が低いこと、期間が短すぎることに言及すべきなのでしょうね。

女性が活躍している国として上げられるノルウェーでは、1993年に世界に先駆けてパパクオータ制が導入されて、所得補償率100%で42週間の育児休暇を保障し、その間、男性に最低4週間の休暇を義務付け、休暇を取らない場合にはその分の休暇は差し引かれます。結果、取得率は5%から80%以上まで上昇したそうです。


【メリット】
妻負担が減れば余裕ができて喜び倍増。妻と夫の役割分担は各家庭で異なるのでしょうが、イクメンであれ、妻サポであれ、いずれにしてもこれがイチバン。

かつてない刺激。新しい価値観という武器を手に入れた気がします。ママ友ネットワークにリサーチをかけることも今後はできます。仕事に復帰するモチベーションになってきました。

成長を見ていられるのが嬉しいです。その時々の見かけやしぐさは変わっていく(消えていく)のが成長というもの。かわいかった頃の思い出を後々語り合えるのは、ともに子育てをした夫婦ならではであり、それは宝物になるんだろうと思うようになりました。。

金銭的には外食費が減った。飲み歩くのが減るので必然的にw 飲んだくれて家族で過ごす時間が少なかったのでいい機会になりました。

男性が育児家事の分担をしない限り、女性の活躍推進が飛躍することは少ないのだと思います。女性活躍の推進に多くの企業が取り組んでいますが、特に育児休業の分担が、女性のキャリアアップに対する精神的/実質的なボトルネック解消につながるはず。若手人口がドンドン減り、さらに人材の流動化が増していくわけで、企業にとって男性育休の推進はブランドイメージ向上につながり、とりわけ採用ブランディングでは大事と思います。厚労省認定の子育てサポート企業の証くるみマークというのがあるわけですが、男性1名以上の育休取得が取得要件のひとつとして必要とのこと。今回で要件をクリアできたのであれば、ぜひ当社にも取得してもらえたら嬉しいです。子ども主催の「新春恒例!聞いてあのねなんでイベント」は凄まじいわけで、同時並行的に捌く母親のハウスマネジメント力はすごいと感服しますし、会社復帰したら相当な戦力なはず。


【休職中の活動】
常葉大学の学生がキャリア開発論という授業で「男性から見た育児休暇」というグループ課題に取り組んでおり、男性の育児休職者がいないということで、ヒアリングに協力しました。

また、浜松の子育て支援センターで「男性の育児休業」についてお話させていただく機会を得ました。今回得た経験でお手伝いできることがあれば、社内外問わず、ご協力させていただければと思います。


【おまけ】
旦那ご飯です。
麺が多いのは、昼は麺がいいという妻の希望によりw





















































では社会復帰して出会う日まで。
先生、仕事がしたいです・・・!


参考:妻が入院しました。
参考:静岡に引っ越しました。