描きたい絵しか描かない覚悟。。。 | Cozo Cobun Official Blog

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公式YouTubeチャンネルとの連動記事が中心にはなりますが、動画では語られなかった内容や裏話等も書いています。本人に代わりスタッフが管理・運営しています。

昔々あるところに。。。

男の子に産まれてしまった女の子がいました。。。

「私は女の子!」って言うと周りの大人は困ったり怒ったり叱ったりする。。。

自分らしさを許されない子は、大好きなお父さんやお母さんに嫌われたくなくて。。。

やっぱり愛されたくて。。。

次第に意に反した行動や、嘘が本当になっていきました。。。



本当はそっちじゃないのに。。。

本当はこれが好きなのに。。。

我慢が日常になり、どんどん自分が嫌いになっていきました。。。

窮屈で不自由な毎日。。。

1人で絵を描いてる時だけ自由になれた。。。

普段は頑張って男の子の演技をして、夜中に1人で本当の自分になって空想の世界を描いて、描いた作品は屋根裏に隠した。。。

絵で生きていきたい。。。

自由になりたい。。。

男性のふりして偽者のまま人生を終える事になっても、絵があれば大丈夫。。。



運良く絵描きになれた。。。

子どもの空白の時を埋めるように、淡く綺麗な色で「可愛い」を表現した。。。

作品は売れ、展覧会の予定で埋め尽くされた。。。

絵は飛ぶように売れた。。。

色んな人が色んな評価を勝手にくだす。。。

「この絵が好き」「この絵は嫌い」

「もっとこんな作品描いて欲しい」

「こんな絵は描かないで!」

「この作品こそあなたらしい」

「こんな色の絵はあなたらしくない」

「素敵な幼少期を過ごされたんですね」

「今回の個展は大好き」

「今回の展示はガッカリ」

「ご両親に愛されて何不自由なく育った人の絵」

「売れるためだけに綺麗な色で可愛い子どもを描いただけの中身のない絵」

「傷付いた経験のない人の絵だ」

「何の苦労も知らずに売れっ子になったから絵が薄っぺらい」

「綺麗なだけの内容のない作品」

画廊やデパートからは売れる絵だけを求められ、同じ絵の色違いを流れ作業のように量産させられ、次第に描く事が苦痛になり、それでも私は絵を生み出す機械なんだと自分に言い聞かせて「売れる絵」を量産した。。。



表現者としてもっと自分とも過去とも向き合って本当の自分で描く事なんて絶対許されない。。。

結局。。。私の人生は。。。自分らしさや正直である事は許されないのか。。。

これ以上偽者で生きていくのは無理かも。。。

全ての仕事をキャンセルして行方不明になった。。。

過去を捨てて女性として埋没して生きていく。。。

誰も私の過去を知らない人の中で、新しい生活が始まった。。。

親しくなった人にも本当の事を話さず、嘘の自分を装った。。。

子どもの頃周りに合わせて、男の子のふりをしてた私と何も変わってない。。。

本当の私ってどこにいるの。。。?

やってみたかった編み物を習っても、ダンスを習っても、ネイルアートを習っても満たされない気持ち。。。

次第に息が出来ない苦しさに襲われるようになり、苦しさが限界になり、再び人生を終わらせてしまおうと思った時、Ryuが一声吠えて私を見つめた。。。

曇りのない真っ直ぐな瞳だった。。。

我が子を置いて無責任に死ねない。。。

この子を全うさせてからでも遅くないかも。。。






仕舞い込んだ画材を取り出して、貪るように描いてみた。。。

やっと深く呼吸出来た気分。。。

描く事は生きる事そのものだったんだ。。。

Ryuも私の周りを嬉しそうに走り回る。。。

やっぱりこれしかない。。。

もう過去も隠さない。。。

元男子に生まれた事は私の欠点ではなく大切なアイデンティティなんだ。。。

2度と見たくなかったけど、あえて男性名のまま活動を再開させた。。。

もう誰にも媚びない。。。

描きたいものしか描かない。。。

誰に何て言われても、嫌われてもその時描きたい絵を描いて生きていく。。。

生きる全てをかけて、命懸けで描きたいから片手間に趣味で描く事はしない。

これでダメなら2度と描かず廃人になる覚悟でコンセプトやテーマを決めて描き溜めた。。。



運良く銀座の画廊が展覧会を企画してくれて、その個展中に次の展覧会が決まった。。。

昔と大きく変わった作品を受け入れてくれる人が1人また1人と増えていった。。。

人生で初めて私は私のままでも良いと思えた。。。

活動を再開させたら描いてみたいモチーフがあった。。。

ずっと欲しかった「ぬいぐるみ」作品。。。

憧れの象徴であり、夢そのもの。。。

ぬいぐるみやお人形は女の子にとって母性の疑似体験を学べる存在でもあり、友達でもあり私のための私だけの私専用の依存も独占も許される特別な存在。。。

どんなに求めても絶対許されなかったあの頃。。。

幼少期の私に今の私がプレゼントするように描きたい。。。

でも記憶と向き合う事は痛みと向き合う事でもあり、なかなか解禁出来なかった。。。

過去の記憶をテーマにした展覧会で「ぬいぐるみ」作品を解禁したら魔法が解けたように多様な「ぬいぐるみ」が次々に生まれた。。。














そのぬいぐるみ作品は「cocoくま」「coco mini」としてもう一つの名刺代わりのような作品になった。。。

cocoくまが入り口になり、人物画を迎えてくれる人が増え、同時に様々な意見が飛び込むようになった。。。

でも私は誰に何を言われても、私がその時描きたい作品を描き、描きたくない作品は描かない。。。

描きたくない時には別の何かで自己を表現する。。。

私は私。。。

自分に素直に正直に自分を愛し描き続ける。。。