就活自殺は5年前の3.3倍増、就職失敗による大学生の自殺率は日本平均の2.6倍にものぼる | すくらむ

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国家公務員一般労働組合(国公一般)の仲間のブログ★国公一般は正規でも非正規でも、ひとりでも入れるユニオンです。

 きょうから新年度がスタートし新社会人が働き始めるわけですが、そうした日に重いテーマではありますがエントリーします。


 一昨日、NPO法人ライフリンク 主催の就活自殺の背景にせまる就活生の意識調査報告会 に参加しました。参加するなかで気がついた、就活自殺にかかわるデータについて、グラフ化してみました。


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 上のグラフは、就活自殺の推移です。警察庁が発表している「自殺の概要資料」にある「就職失敗」が原因・動機となった自殺者数を私がグラフ化したものです。5年前の2007年の16人から2012年の54人へと3.3倍も増えています。


 これは絶対数ですが、自殺率(人口10万人当たりの自殺者の数)で見てみるとどうなるのか、大学生に限ってですが試算してみました。


 厚生労働省が毎年発表している「大学等卒業予定者の就職内定状況調査」 によると、2012年3月大学卒業予定者のうち就職希望者数は40万6千人で、そのうち就職できたと予想される内定者は32万7千人となっています。そうするとその差となる7万9千人が「就職失敗」をしたと推計されることになります。


 この「就職失敗」をした7万9千人のうち、上のグラフにあるように、45人が「就職失敗」によって自殺に追い込まれてしまっているわけですから、これを自殺率にすると56.96という数字になります。


 2012年の日本全体平均の自殺率が21.8ですから、「就職失敗」による自殺率56.96は、2.6倍にものぼることになってしまいます。これを私がグラフにしたものが以下になります。


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 同様に5年前の2007年の数字を試算すると、「就職失敗」による自殺率は26.0です。2007年の日本全体平均の自殺率は25.9ですから、5年前はほぼ同じ水準だったのです。


 この5年間で大学生の就活自殺率が2.19倍と倍増してしまっている背景には、昨日のライフリンクの報告会の冒頭でも紹介されたアニメ「就活狂想曲」 のような就活生の異様な生きづらさの蔓延と、ブラック企業や非正規雇用の増大などの雇用・労働状況の劣悪化とともに、昨日の報告会のフロア発言で全労働の仲間が指摘していたように、就活を失敗した大学生への社会的な支援・援助がないことなども関係しているのでしょう。


 そして、今回ライフリンクが実施した「就職活動に関わる意識調査」で興味深かったところを私がグラフ化してみました。


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 上のグラフにあるように、就活生(意識調査の対象は昨年12月1日の就職活動解禁日時点で就職活動を行っていた大学生121人)の半数以上は、日本社会はいざという時に何もしてくれず、やり直しがきかい社会で、正直者がバカを見て、あまり希望を持てない社会だと感じているということです。


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 そして、上のグラフにあるように、「自己責任」の傾向があり、いま現在、本気で「死にたい」「消えたい」と考えている学生は10.0%で、「以前は考えたことがあったが、今はない」が27.3%、あわせて37.3%の学生が本気で「死にたい」「消えたい」と考えたことがあるという結果になっています。


 そして、就職活動について、納得できないことや不満に思うことがある学生は74.8%にのぼり、自由記述欄には、「新卒一括採用でほとんど将来が決まってしまうこと」「不透明な採用方法」「就活のための大学生活になってしまっている」「みんなが同じ格好をして、同じあいさつの仕方を身につけることが前提となっていること」「面接官との相性が運に左右されてしまう点」「学生一人ひとりの人間性をもっとよく見てほしい」「選考から外れるたびに自分という人格が否定されているように感じる」「資金がとてつもなくかかる」「学歴差別が未だにあること」などが就活への不満としてあげられているのです。


 ★相談機関の連絡先
 電話:よりそいホットライン(24時間) 0120-279-338
 ネット:いのちと暮らしの相談ナビ
http://lifelink-db.org


(byノックオン。ツイッターアカウントはkokkoippan)