(前編の続きです)
1件目で精神的ダメージ(笑)を受けた私たちは、足取り重く2件目の仏壇店へ。
電話で行く旨を連絡していたので、お店に到着すると早速私たちを売り場に案内してくれました。
1件目(A店とします)と同様、2件目(B店)のこのお店でも、色々と説明を受けながら、気に入ったものを探して回ります。
A店と違うのは、最初に「今回のご予算は仏具込みでどれくらいをお考えでしょうか?」と聞いてくれたこと。
私たち仏壇素人はA店に出向くまで、「仏壇のほかに仏具も必要で、しかもそれは宗派によって異なる」ということ。また、「仏具一式を揃えるとどれくらいの金額になるのか」ということを全く知りませんでした。
なので、B店のように最初に「仏具込みの予算」を聞いてくれると大変助かります。
また、探している間B店の担当者は余計なおしゃべりはしません。
仏壇選びに必要な話ばかりです。
それなのに冷たくよそよそしい雰囲気は不思議とありません。50代くらいの男性でしたが、表情が柔和で、声のトーンや言葉に優しさが感じられました。
他に、どこの店のものを検討しているのか、などの質問も一切ありません。
「ここに来る前にA店にも見に行って来たんですよ」とか、「A店でも同じようなものがありました」と、私から意地悪に話を振ってみましたが(笑)、「そうですか」と穏やかに微笑むだけでA店の批判は全くしません。
こうして、提示した予算の範囲で購入できる仏壇をいくつか選定してもらい、色々と家族で話し合いながら気に入った1つを選びました。
その時、B店の担当者はこう私たちに言ったのです。
「この仏壇はとても人気があるんですよ。ただ、平均的な仏壇と比べて中の奥行きが2cmほど少ないので、中が少し狭く見えるかもしれません。…もちろん、仏具を置く分には全く影響はありません。落ち着いた色合いでコンパクト。素材も良い木を使っているので、私もこれはお勧めです。」
この言葉を聴いた私たちは、顔を見合わせ全員同時に「これにしよう」と言いました
最初に提示した金額ちょうどで、仏壇と必要な仏具が手に入り(ちなみに、きっと皆さんが想像するよりもかなり安い金額だと思います)、満足して家路につきました。
B店に決めたポイント。
まずは「他店(他人)の悪口を言わないこと」。
モノを売る営業マンでもたまにいませんか?
「あそこは、~なのでダメですよ」的なことを言う人。
たとえそれが真実だとしても、そういうことを客に対して言う人はあまり信用できません。
自社の商品に自信があるなら、自社の商品の良さを伝えることに尽力すればいい。
他社批判をしてのアピールは聞いていてどこかイヤな気分になります。
次のポイントは、「良いことばかりを言わないこと」。
「うちの商品は万能です!」
「うちの商品を買わないと損するよ」
…と言わんばかりに、自社商品を褒めたたえる営業マンがいます。
たとえ、どんなに自社商品に自信があったとしても、こんなふうに「良いことばかり」を言う人から私はモノを買わないようにしています。
人間も同じですが、どんな商品であっても「利点」と「欠点」は少なからず存在するもの。
商品に関しては「欠点」とまではいかなくても、「こんな人には向かない」とか「こんな場面では使えない」とかは、きっとあると思います。
「100%これは良い」という物言いの販売をするよりも、欠点も織り交ぜて説明するほうが説得力があって、信頼できる情報になります。もちろん、致命的な欠点を言ったら「買いません」ときっぱり断られるでしょう(笑)。
でも、「それくらいだったら大丈夫、許せる」という程度の欠点を言われたら、逆にトークに真実味が加味されて話し手を信頼しやすくなるものです。
「この時計はデザインは良いのですが(+)、普通の時計と比べて時刻が多少見えにくいかもしれません(-)。…でも、慣れたら大丈夫ですし、現に若いビジネスマンにも人気があります(+)」
「この印鑑はモノがいいです(+)。金額は高めですが(-)、材質がしっかりしているので長く使えますよ(+)」
こんな感じです。
プラスの事柄→ちょっとしたマイナス→プラスの事柄
の順番で説明するとよりプラスが印象に残る説明になります。
ダメな例として…
「この時計はデザインもいいし、軽いので圧迫感を感じません。でも、すぐに止まります」
…これは完全にアウトです(笑)。致命的すぎます。そんな時計いりません。
「この空気清浄機はとてもお買い得な商品です。フィルター部分が割れるということで返品が多いのですが、外す時に細心の注意を払ってさえ頂ければ何も問題ありません。コンパクトだし僕はお勧めします。」
…これもあまり買いたくないなぁ。「返品が多い」もかなりのマイナス情報ですよね。
あくまで、「これくらいなら許せるというマイナス」に留めたいものです。
B仏壇店の担当者も、「平均的な仏壇と比べて中の奥行きが2cmほど少ないので、中が少し狭く見えるかもしれない」というマイナスポイントを話してくれました。それくらいのマイナス、私たちにとっては何の問題もありません。むしろ「この人は正直な人だな」という好印象を持ちました。
最後のポイントは「客の心の状態に合わせた接客態度」です。
仏壇選びは、洋服を選びに行くのと違って決して楽しい買い物ではありません。
母にはもっと長生きしてもらいたかった。
まだ63歳なのに、こんなに早く仏壇に入ってしまうなんて。
…今回は、そう心沈みながらの仏壇選びでした。
足取りも口も重い私たちに、聴きたくもない悪口や歯の浮くようなお世辞をうんざりするほど浴びせたA店。
私たちの歩幅に合わせ、気持ちを同調させながら接客してくれたB店。
価格云々の問題も確かにあります。
でも、たとえ全く同じ仏壇がA店より高かったとしても、私はB店から購入したと思います。
そんなこんなで仏壇も無事に購入でき、一安心の我が家です!