(2008年3月15日 読売新聞 京都)

 京都市立中学校全75校で14日、一斉に卒業式が行われた。不登校生と夜間学級の生徒が共に学ぶ場として今年度開校した洛友(らくゆう)中(下京区)でも初めての卒業式があり、中学生3人と夜間学級の生徒10人(63~75歳)が、1期生として卒業証書を受け取った。

 この日の卒業生を含め、同校には不登校生7人と、高齢者や在日韓国人、中国残留孤児ら、様々な事情で小、中学校を卒業できなかった夜間学級の生徒43人が在籍。13歳から87歳までの、世代も、国籍も様々な生徒たちが、夕方から一緒に授業を受けている。

 卒業生の一人の長谷川公威さん(15)は、別の中学の2年生の時、同級生からのいじめが原因で不登校になったが、不登校相談支援センター(中京区)の紹介で、開校したばかりの同校に転校してきた。

 差別を受けてきた人、戦争を経験した人……。それぞれに重いものを背負いながら、それでも笑って、頑張っている夜間学級の生徒たちに日々接するうちに、人を思いやる優しさを学び、元気をもらった。「僕はこんな事で悩んで、何をやっているんだろう」。次第に学校にも溶けこみ、毎日が楽しくなったという。

 「普通に勉強するよりも大事なことを学べた。たった1年間だけど、今までにないくらい充実して、自信がついた」と長谷川さん。卒業式では生徒代表として「洛友中学校で学んだ大事なことを忘れずに、未来へと力強く歩んでいきます」と答辞を読み、春からの高校生活への決意を語った。

 西寺正校長は、「無事卒業式を迎えられて、本当に良かった」と長谷川さんら卒業生たちの姿に、目を細めていた。



夜間学級の生徒に見守られながら、答辞を読む長谷川さん(右、下京区の京都市立洛友中で)