2008/03/27 河北新報社


 仙台地裁で続いていた中国残留孤児国家賠償東北訴訟は27日、原告側が訴えを取り下げ、国側も同意し、終結した。原告・弁護団は、残留孤児への新支援策を盛り込んだ改正帰国者支援法が1月に施行されたことで「政策転換を求めた訴訟の目的をほぼ達した」と評価した。

 東北訴訟は2005年5月―06年12月、山形を除く東北5県などの計85人が提訴。国に1人当たり3300万円、総額約28億円の損害賠償を求めていた。原告らの年齢は62―77歳で、平均67.67歳。

 取り下げ後、仙台市で記者会見した山田忠行弁護団長は「新支援策で残留孤児らが求めてきた老後生活の保障が大きく前進したが、日本社会の一員として尊重され、自信と誇りを持って生きていくための『尊厳の回復』は道半ばだ」と述べた。

 東北5県の原告らも会見で「闘いは終わっていない」と強調。東北訴訟原告団長の角張紘さん(67)=仙台市青葉区=は「新支援策には感動したが、配偶者ら孤児本人以外の家族への支援など、問題が残っている」と指摘した。

 青森原告団長の中山栄二郎さん(67)=青森市=は「支援策にはさまざまな条件や制限がある。(今後も闘うため)原告団は解散できない」と語った。

 残留孤児への新支援策は(1)国民年金(老齢基礎年金)の満額6万6000円の支給(2)単身世帯で最大8万円の生活支援給付金の支給(3)一定の条件で住宅や医療、介護の費用扶助―などが柱。

 東北訴訟とは別に、山形県の残留孤児34人が国に計約11億円の損害賠償を求めた訴訟も昨年12月、原告側が訴えを取り下げ、山形地裁で終結した。