2023/10/19 信濃毎日新聞

泰阜村は18日、戦没者と満蒙(まんもう)開拓犠牲者の追悼式を村内の平和宮で開いた。遺族や泰阜中学校の全生徒ら計約90人が出席。生徒は満蒙開拓について学んだことを発表した。

 平和宮には戦没者233人、開拓団犠牲者638人をまつっている。横前明村長は「戦場で散ったり、満州へ渡って尊い命を失われたりした皆さまに哀悼の誠をささげる」と述べた。祖父がビルマ(現ミャンマー)で亡くなった村遺族会会長の宮下利一さん(66)は式後の取材に、県内の遺族会青年部で戦争体験を語り継ぐ新たな動きがあるとし、「二度と悲劇を繰り返さないために継承していく」と話した。

 泰阜中の3年、籔下結奈さん(15)は開拓について学んだことを振り返り「国に裏切られ厳しい生活を送ることになった人たちや、『満州をつくるから』と追い出された中国の人たちの気持ちを想像すると、苦しいという感情だけでは表現できない」と発表。世界中で絶えない争いに触れ、「直接止めることはできないが、満蒙開拓のように学び、どんな原因で起こっているのかを知り、考え、行動していきたい」と話した。