2023/12/08 中国新聞朝刊

中国残留邦人ケア続けて
無職 井守文男 70歳
 広島市による中国残留邦人たちの生活支援事業の一部が休止したという。11月3日付中国わいど面で記事を目にした。

 国の本年度の補助金が大幅に減額され、中国地方では自主財源を充てて事業を維持する自治体が目立つのに対し、広島市は自主財源による穴埋めをしないためだという。国や広島市から納得できる明確な理由は説明されていないようで、その姿勢に疑問を持った。

 これにより、日本語や手芸などの交流教室の運営が休止され、当事者から「孤立が深まる」との声が上がっているという。教室は部分的に自主開催されたが、講師料や参加者への交通費が払えなくなっているという記事もあった。

 中国残留邦人は終戦時の混乱で旧満州(中国東北部)などに取り残され、帰国後も言葉や習慣の違いが壁となり苦難が続く。交流教室はその支えになってきたようだ。

 国や広島市は、そうした人たちの存在を重く受け止め、心のケアにも最後まで責任を持つべきだと思う。誠意ある姿勢を望む。(広島市安佐北区)