2023/12/21 中日新聞朝刊

 【長野県】阿智村の満蒙(まんもう)開拓平和記念館は、同館がかつて映像で記録した満蒙開拓団員の証言を文字に起こした冊子「証言映像書き起こし集『それぞれの記憶特別版』」の第2弾10冊を、完成させた。5月にまとめた第1弾分を含め計20冊を館内で閲覧できる。(近藤隆尚)
 証言者34人がインタビューに答える形で話した証言映像は1人当たり2~3時間あるが、館内での放映は数分に編集してある。活字で全内容を読めるよう、ボランティア組織「ピースLabo.(ラボ)」、松川高校ボランティア部の協力を得て、2020年から文字起こしに取り組んでいる。冊子はA5判。

 第2弾は県内のほか岐阜県から中国に渡った人などが対象。開拓団での生活、終戦時・戦後の経験が記されている。かっこ書きで、証言者の表情を記録した部分もある。残留後にようやく帰国できることになったものの、日本にいる親族から敬遠された経験、子どもたちを開拓団員として送り出した元教師の自責の念など、活字からも証言者の心情が伝わる。

 いずれも学習ルームに置き、来館者が自由に手に取って読むことができる。残る証言者の冊子は順次、完成した分を追加する予定。

 (問)満蒙開拓平和記念館=0265(43)5580