2024/01/21 中部読売新聞

 1945年の敗戦後、満州(現中国東北部)で自身の開拓団を守るため、ソ連兵に性的な「接待」をしたと証言し、平和の大切さを訴えてきた郡上市の佐藤ハルエさんが18日、老衰で死去した。99歳だった。告別式は21日午前11時、郡上市白鳥町恩地394の1セレモニーホール天昇で行われる。喪主は長男、茂喜さん。

 佐藤さんは、黒川村(現白川町)から満蒙開拓団として満州に渡った。敗戦後の混乱の中、ソ連兵に団を守ってもらう見返りとして、団の幹部らの要請で、他の女性団員らとともに接待を強いられた。「二度と戦争が起こらないように」「女性が犠牲にならないように」と、県内外での講演やメディアの取材で体験を実名で証言してきた。

 昨秋から体調を崩し、年明けに一度入院したが、「家に帰りたい」と希望し、自宅療養をしていたという。茂喜さんは、「つらい体験を勇気を持って証言した母は、立派だったと思う」と話した。

 写真=満州での体験を証言する佐藤さん(2020年8月、郡上市で)=中村亜貴撮影