2024/03/26 信濃毎日新聞

 松本地域の中国帰国者の会 活動19年で一区切り、今後もつながり願う

 中国から帰国して松本地域に暮らす元残留日本人やその家族らのグループ「陽(ひ)だまりの集い」は24日、「ふれ愛の集い」を松本市で開いた。市内の守安威象(もりやすいぞう)さん(84)が核となって19年にわたり帰国者の支援活動を続けてきたが、今春いったん区切りを付け、4月以降は規模を縮小して行う予定。70人余りが集まってこの間の取り組みを振り返りながら、中国舞踊や歌などで交流を楽しんだ。

 設立から関わる副代表の山東(さんと)房子さん(60)=白馬村=が冒頭にあいさつ。県の帰国者支援相談員をしていた際、「憧れの祖国」に帰っても文化や風習が異なるため孤独に過ごす帰国者の姿に直面し、守安さんらと活動を始めたという。「(文化を)教えるのではなく、理解し合う姿勢が帰国者の信頼を得られた。共に成長できた」と話した。

 体験発表で、夫が残留孤児の中村みどりさん(73)=松本市=は、来日から間もない頃にスーパーでトイレの場所を「トイレはいくらですか」と間違えて尋ねたが、店員が案内してくれたと紹介。「日本の人はとてもいい人たちだと思った」とした。母が残留孤児の竹内潔子さん(65)=同=は、活動で農作業や旅行に出かけ「私たちの生活がカラフルになり、気分もすごく明るくなった」。今後もつながりが続くことを願った。

 色鮮やかな衣装を身に着けた中国舞踊で集いを締めくくった。守安さんは「日本語の上達に向けた支援など、これからもできる限りお手伝いしたい」と話していた。