2024/04/10 信濃毎日新聞
 阿智の満蒙開拓記念館ボランティア、京都の2館訪問 戦後79年、あの歴史を若い世代へ

 阿智村の満蒙開拓平和記念館で活動するボランティアグループ「ピースLabo.(ラボ)」は8、9日、ともに京都府にある舞鶴引揚記念館(舞鶴市)と立命館大国際平和ミュージアム(京都市)を研修で訪れた。各館のボランティアグループとそれぞれ交流。戦後79年がたち、満蒙開拓や引き揚げの直接の体験者が減る中、若い世代に歴史を伝えていくための取り組みについて意見を交わした。

 ピースラボは歴史継承に携わる他館の活動を知ろうと不定期で研修を実施。今回は長野、岐阜、京都、福岡各府県のメンバー11人が参加した。

 8日は舞鶴引揚記念館を訪れた。舞鶴には戦後、ソ連や満州(現中国東北部)などからシベリア抑留者や避難民たちを乗せた引き揚げ船が入港。同館は舞鶴市が運営し、NPO法人「舞鶴・引揚語りの会」が案内や継承活動を担っている。同法人理事長の勝島勝彦さん(65)は「体験者の一言一言には重みがあり、話を聞いてもらう機会は大切だ」とし、証言を映像や冊子で記録していると紹介した。

 市教育委員会や学校に働きかけ、現在は市内の全小学校の児童が6年生で記念館を訪れ、中学1年では、どうしたら多くの人が館を訪れるかを考えてもらう形ができたという。市は小学生以上が対象の語り部養成講座も開いている。研修を企画した松尾達二さん(58)=松川町=は「子どもたちに継承する仕組みがシステムとして定着しており、参考になる」と話した。

 9日は、昨年9月にリニューアルした立命館大国際平和ミュージアムを訪問。展示は「あなたにとって平和とは何ですか」との問いかけで始まり、世界と日本の動きをリンクさせながら、アジア各地を植民地とした帝国主義の歴史から紹介している。最後に再度、平和について一人一人に問いかける構成だ。

 ピースラボのメンバーの菅沼節子さん(飯田市)は「コンセプトがしっかりし、視覚的にも工夫された展示。自分はどう生きるか、歴史を深掘りしながら考えることができる」。福岡市から参加した田中ゆかりさん(57)は「戦争や平和について学んだことを、福岡に帰ってから友人たちと話し、さらに学びを深めたい」と話していた。