2024/04/20 信濃毎日新聞朝刊 


 研究家らの「学ぶ会」千葉で7月催し

 戦時下の満州(現中国東北部)で教員を務めた故塚田浅江さん(1910~2000年)=現千曲市出身=の日記から戦争について考える催しが7月6日、千葉県八千代市で開かれる。生前の塚田さんから日記を預かった女性史研究家、島利栄子さん(79)=現筑北村出身、八千代市=が主宰する「女性の日記から学ぶ会」が企画。塚田さんを取り上げた本紙連載「鍬(くわ)を握る」の紙面も会場に並べる。

 催しは、学ぶ会の「28周年のつどい」。戦後80年の節目を前にした今回は「1冊の日記帳が伝える戦争」と題した部を設け、塚田さんの日記から読み取れる平和への思いなどを考える。日記の原本も見られるようにする。

 塚田さんは、現在の長野市南部や千曲市から渡った更級郷(ごう)開拓団の国民学校で教壇に立った。1945(昭和20)年8月のソ連の対日参戦で開拓地を追われ、多くの子どもたちが命を落とす中、3人の教え子を守って帰国した。本紙連載は、この経緯を戦後も子どもたちに伝えてきた塚田さんの姿などを紹介した。

 島さんは生前の塚田さんに聞き取りをし、書きためていた日記の中から94年の1冊だけを預かっていた。満州時代や戦後の教え子たちとの交流や、開拓団殉難者の50年忌法要を終えてほっとした心境などがつづられている。島さんは「塚田さんは教え子のことが心から離れず、交流を大事に生きた」と話す。

 学ぶ会は1996年に発足し、会員は長野県など全国の約170人。一般市民の日記の価値を再認識しようと、これまでに約3千冊の日記を収集、内容をひもといてきた。

 28周年のつどいは午後1時から、八千代台東南公共センター。問い合わせは島さん(?047・459・9464)へ。