2024/04/21 熊本日日新聞朝刊
 中国の養父母支援団体来熊 再会に笑顔「来年も会いたい」

 中国で旧満州(中国東北部)の日本人残留孤児の養父母を支援してきたハルビン市の民間団体「ハルビン養父母連絡会」などの一行7人が19日、熊本市北区武蔵ケ丘の元孤児の庄山紘宇[こうう]さん(86)を訪ね、近況などを語り合って交流した。

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 庄山さんは1938年に和水町で生まれた。41年、教員だった父が赴任した満州に母と渡った。ソ連が対日参戦した45年8月から状況が悪化。同年冬、寒さの厳しい避難生活で母を亡くし、庄山さんは孤児となって中国人夫婦に引き取られた。庄山さんはその日から「郭鳳祥[かくほうしょう]」の中国名で養父母に育てられた。

 85年、日本政府による中国残留孤児の訪日調査に参加し、自身のルーツが和水町にあることが判明。87年に47歳で家族6人と日本に帰国した。熊本県内で日本語学校の寮の管理人、公民館の中国語講座の講師、農業などに従事してきた。

 ハルビン養父母連絡会の会員らはこれまでも日本の元残留孤児を訪ねており、庄山さんも久しぶりに訪問を受けた。満州での苦労や帰国後の境遇を振り返り、近況を伝えた。今回の訪問には九州の元孤児らでつくる「中国帰国者九州連合会」の副会長、川添緋砂子[ひさこ]さん(88)=福岡市=も参加。川添さんは特技である切り絵の作品を庄山さんらに贈った。

 庄山さんは「連絡会の胡暁慧[こぎょうけい]名誉会長とは7年ぶりの再会。顔を見ることができてうれしい。来年も会いたい」と笑顔で語った。

 訪問団の一人、大連外国語大の崔学森[さいがくしん]教授(49)は「高齢の参加者も多く、全員が熊本まで来ることは難しかったが、庄山さんに会えてよかった」と話した。

 ハルビン養父母連絡会の一行は今回の訪日で、東京や長野、福岡、長崎など各都県も巡った。(遠山和泉)