立川談四楼さん独演会 | 「読む!ことぴよでいず。」

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先日のブログ「1冊の本との出会い。」で、立川談四楼さんの本『談志が死んだ』について書きましたね。はい。タイトルにもあります通り、なんと、わたし、立川談四楼さんの独演会へ行って参りました!
立川談四楼独演会」は下北沢にある北澤八幡神社にて、毎回偶数月の15日に開催されておりまして、わたしは今年最後の独演会へ、初参加、でした。



下北沢の商店街を抜け、意気揚々としていたわたしの気持ちとはうらはらに、北澤八幡の空気は凛としていて、暗がりの中に街灯の灯りがポッと目立つのですね。そんな階段をのぼっていると、気持ちがいくらか、冷静になり、気持ちよくなってくるのです。空には星も、東京なりにいくらか見えていて、立川談四楼さんはどんな落語をしているのだろうなぁなんて思いながら、わたしは神社の奥にある灯りの中に足を踏み入れるのでした。


会場は全て畳になっていて、前半分が座布団、後半分が椅子に座るというかたちでした。フローリング世代のわたしですが、やっぱりこう、靴を脱いで畳に上がるとリラックスしますね。空気があたたかくなるような気がします。
座布団席は全て埋まっていたので、わたしは後ろのほうの、真ん中にある椅子に座りました。

この日(2018年12月15日)のプログラムは
一、開口一番     立川半四楼  転失気
二、落語            立川縄四楼  寿限無
三、落語            立川只四楼  時そば
四、落語            立川談四楼   お楽しみ
(仲入り)
五、ゲスト         坂本頼光      活動弁士
六、落語           立川談四楼    文七元結
でした。


ゲストに活動弁士という文字があり、歴史の教科書や博物館での資料でしか活動弁士を知らなかったわたしは、この世にまだ活動弁士を名乗る人物がいたことに驚きました!
活動弁士の坂本頼光さん。すっごく面白くて、たくさん笑いました。前述した通りわたしは活弁を見るのは初めてでしたから、全てが興味深かったです。白黒の無声映画に合わせて、スクリーンの隣で1人、全ての登場人物、そしてナレーションの声を発するのです。声だけではありません。活弁士、かなり身体を動かしています。舞台を右往左往するわけではないのですが、映画に合わせて身体を動かしています。その時のスピード感や、勢いを、映画だけではなく、活弁士からも感じとれるのですね。活弁士がいることによって、会場が一体となり、さらに盛り上がっていくような空気を感じました。
坂本頼光さん自ら作成したアニーメションに合わせての活弁も見ることができました。アニメを作るだけでもさぞ大変なことでしょうに。活動弁士への愛がないと、できないですよね。
このアニメがまた笑わせるんです。あれで笑わない人はいるのでしょうか?テレビから流れるアニメーションも良いですが、その場の空気を感じ取って、観客と一体となって作り上げてゆく活弁も、アトラクションのようで、たいへんに楽しい時間でした。



そんな活弁が終わっての、立川談四楼さんの落語です。わたしの心は、ほかほかしていました。


めくりがめくられ、座布団を正し、ついに立川談四楼さんの登場です。
活弁の前に「お楽しみ」で立川談四楼さんの語りがあり、一度高座では拝見しております。またこの語りもとてもおもしろかったのです。政治家のことなどにもふれていましたが嫌な感じは全くせず、このやうな笑いが、もっと今の日本のテレビジョンで見られたら良いのにな。と思いました。


この日、話されたのは「文七元結」
名前は聞いたことがありましたが、どのような話かは知らない状態でした。
わたしは、落語が、こんなにも人を感動させるものだと初めて知りました。
これまで、人情噺はあんまりおもしろくないな、なんて思ってしまっていたのですが、わたしは大きなあやまちを犯しておりました。
ああ、わたしはなんにも知らないのです。知らないことだらけです。肉体が死ぬまでに、心がうごく体験を、もっと知ってゆきたい!



もう、本当に感動しました。ああ、良い話を聴けた。聴けて良かったと、素直に思うことができたのです。わたしにもっと語彙力があれば良いのに。涙がでるんです。お父さんが、娘のことを思う気持ちが、女将さんの心遣いが、わたしにはとても切なかったのです。表情と声が、全てをあらわしているのです。みなさんにも見せてあげたい。お父さんは博打に溺れて、自らが蒔いた種だけれど、全く憎めないんです。文七元結という話が大好きになりました。色んな人の文七元結を聴いてみたいです。
言い合いになる部分の呼吸が、とても丁寧で、見ていて楽しかったです。立川談四楼さんの声は、決してとても大きい声を出すわけではありませんが、ボソッと言う言葉も、全て全部ちゃんと聴こえるのです。すごいです。


わたしはまだ知識もなく、登場人物の名前も分からないけれど、登場人物たちの違いは、わかろうとしなくてもわかりました。
登場人物が2人以上の落語を聞いていると、今誰が話しているのかついていけなくなってしまう体験が多くあったのですが、全くそんなことはありません。そういう体験をした方も多いのではないのでしょうか?わたしのような落語初級編の方々に、是非立川談四楼さんの落語を聴いていただきたいです!!そして談四楼さんの本も読んでいただきたい!!

今さらですが、落語は、たった1人の人間が、座って話しているだけなのですよ?豪華なセットも、サウンドも、なにもいらないのです。すごいことだと思いませんか?!いやはや本当にすごい。そう思わせる立川談四楼さんがすごい。

談志さんの落語も、生で聴いてみたかったな。




終演後、忘年会にも参加しました。
『談志が死んだ』に、サインしていただきました!!うれしい。良かったですね、ことりちゃん。
わたしはド緊張していまして、うまく話すことができませんでしたが、かろうじて自分の名前を言うことには成功したようです。


良いでしょう。自慢です。ふふ。


写真も撮っていただきました!
わたしはド緊張ゆえにうまく笑えていませんが、立川談四楼さんはこんなに良い笑顔をする方なのですよ。



緊張というものは、厄介ですね。元々話すことが得意ではないわたしですが、余計に言葉が出なくなってしまうのです。きっとみなさんにも、そんな経験がありますよね。


わたしが勝手に緊張していただけで、談四楼さんは、とても優しい方ですよ。



さまざまな話を聞きました。その中には私が知らない単語の方が多かったですが、おもしろかったのです。わたしは本当になんにも知らないのですね。でも良いのです。その時聞くことによって、知らないことを、なんでも知ることができるのですからね。

知らないからといって、遮断することは、最も悲しいことです。



また聴きに行けたらいいな。




ことり。