DRAGON GATE No.1 CHAMPIONSHIP 2011 by megane1964 | 熱闘!後楽園

DRAGON GATE No.1 CHAMPIONSHIP 2011 by megane1964


熱闘!後楽園-megane1964 ドラゲーは劇団四季に似ている、と思うのです。


劇団四季は、ご存じ、あの年間ステージ数が3000を超す、国内きっての巨大劇団です。「キャッツ」や「ライオンキング」など、海外ミュージカルの「輸入版」とで有名だが、日本の演劇界の中で、いくつかほかにない特徴を持っています。


 ①俳優の技量が高い

 四季に入団するには、「歌」の役者なら音楽大学の声楽科卒業、「踊り」の役者ならバレエ歴10年以上、に相当する技量が必要と言われる。


 ②独自の観客層を開拓している

 「四季の会」というファン組織を持ち、数多くのリピーターを地方にまで獲得している。「他の劇団は見なくても、四季は必ず見る」という人も多い。


 ③独自のスタイルを確立している

 自前の劇場を持ったうえで、ミュージカルを中心にしたロングランシステムを確立させた。また、ロングランを行うために、特定のスターに頼らない興行形態も確立させた。


 ④基本的には、役者、スタッフは自前で養成している

 一部例外はあるが、四季の俳優は、大学などを卒業後、ここでプロになった人が多い。したがって、演技、歌、踊りなどの共通理解が高く、舞台に高い統一感がある


 どうです? ドラゲーもそうだと思いませんか?


 もともとプロレスラー養成学校「闘龍門」の出身者中心の団体だから、④はその通りですよね。ルチャ・リブレを基本にしたスピーディーで立体的なスタイル、という意味では③、神戸に拠点を置き、女性を中心に独自のファン層を開拓している、って意味では②。 ①もそうでしょう。ドラゲーの選手たちは、みんな高い運動能力を持っています。しかも、それを表現するために肉体を磨きあげている。劇団四季をある種の演劇エリート(というかミュージカルエリート)の集団とするならば、ドラゲーはプロレス界のある種フィジカル・エリートの集団なのです。


 ドラゲーナンバー1を決める「KING OF GATE」トーナメントの初日にあたるこの日、そのフィジカルエリートぶりを見せつけたのが、セミの六人タッグマッチとメーンの望月成晃対鷹木信悟戦でした。


 CIMA、土井成樹、リコシェ組とB×Bハルク、横須賀亨、スペル・シーサー組が対戦したセミは、「これぞルチャの真髄」ともいうべき空中戦。CIMAがシーサーを目の敵にしていた理由はナゾですが、素早いタッチワーク、全員の技術を誇示するようなスピーディーな飛び技で20分を超す試合をあっという間に見せました。ドラゲーの飛び技はすごいですよ。トップロープからのダイビングヘッドは2回転、3回転しているし、ドロップキックもスピアーもハイスピードの上に、異常に切れがある。丸めこみの技も多彩で、とにかく展開が早くて目まぐるしい。土井対ハルク、リコシェ対横須賀、CIMA対シーサーと次々と対戦相手が入れ替わり、終盤はシーサーがオリジナルの丸め技(ヨシタニックというのだそうで)を連発するのですが、一瞬の隙をついてリコシェがフォールを奪う。ルチャにはあまり知識のないワタクシでも、思わず拍手、拍手です。


 メーン出場の望月は、現在のオープン・ザ・ドリームゲート選手権保持者で、ベテランの人気選手。空手出身だけに、蹴りが得意。もちろん、空中殺法もです。一方の鷹木は、この団体には珍しく、アニマル浜口ジム出身とか。スマートで細マッチョなレスラーが多い中で、筋肉ムキムキの体は異彩を放っている。ジュニアヘビーではありますが、パワーファイトが得意なんだろうな、と思います。


 試合はその鷹木のラリアットと望月のハイキック、ふたりが得意技をぶつけあう展開になりました。何と言いましょうか、ジュニア時代の長州(力)さんと若いころの金本(浩二)アニキが戦ったらこんな感じになったかな、という試合。望月は鷹木の腕を責めつつ、あらゆる角度から蹴りを入れる。ラリアット(バンビングボンバーという名前だそうです)で応戦する鷹木は望月の三角蹴りを阻止しつつ、腕十字固めに来た望月をそのまま持ち上げるなどのパワーを披露する。最後は蹴りとラリアットでダブルノックダウンのすえ、10カウントまじかに望月が何とか立ち上がってKO勝利。18分を超す試合を終えたのでした。ま、そのあとは、CIMAら「ブラッド・ウォーリアーズ」の面々が乱入。次回、後楽園大会のカードを決める、というマイクパフォーマンスとなったのですけどね。携帯で撮った写真なので、分かりにくいかもしれないけでど、マイクパフォーマンスの様子も貼っときますね。


で、劇団四季に戻りますが、実はこの巨大劇団にも欠点がいくつかある、
熱闘!後楽園-ドラゲーマイク

と思うのです。①レベルは高いけど、個々の俳優の個性に乏しい②独自のスタイルを築いたがために、他の劇団との交流があまりない――。


 こんなところもドラゲーに似ているとおもうのですよ。アスリート性は高いけど、例えば全日本プロレスの浜ちゃんみたいな、ある種「規格外」の選手はいないのです。それに、望月選手以外に、他団体に出ている選手はあまり思いつきませんよね。鈴木みのる先生が、今週の「週プロ」に書いてますが、ドラゲーのファンには、ドラゲーしか見ていなくて、天龍源一郎先生が参戦した時に、このプロレス界のレジェンドを知らなかった人も多かったのだとか。そんなファン気質も、ちょっと四季に似ている気がします。


 そういうところ、実はワタクシは少し不満があるんですよ。芝居だってプロレスだって、ワタクシは舞台やリングの上に「異形の者」を見たくて通っているわけです。常識人がフツーの人にできることをしていても、ゼニを払う気にはならない。ここでしか見られないスーパーな人が、常識を超えた技を披露するからこそ、高い金を払う気になるのです。もちろん、四季やドラゲーにはスーパーな技はあるのですから、「個人的な好みだろ」と言われれば、おしまいなんですけどね。


 ドラゲーの公式ページに結果がアップされていないので、「スポーツナビ」を参考に見てくださいね。

http://sportsnavi.yahoo.co.jp/fight/other/live/2011/2011051202/index.html