グローバルタッグリーグ決勝戦 by megane964 | 熱闘!後楽園

グローバルタッグリーグ決勝戦 by megane964


熱闘!後楽園-image  プロレスリング・ノア恒例、グローバル・タッグリーグ戦の決勝である。A、Bリーグを勝ち上がってきたのはこの4人。佐々木健介、中島勝彦、高山勝広、KENTAであった。


 あれ? ととあることに気付いたのは、バチバチにらみ合い、この瞬間である。


 あれ、この中で、ノアの選手って、KENTAしかいないじゃん。


 健介と勝彦は、レギュラー参戦しているとはいえ、ダイヤモンド・リングの選手。高山も昔から関係は深いがフリーである。気になって、参加チームと所属を調べてみたら……。


 合計10チーム、20人のうち、ノアの所属選手は6人だった。詳しくは、試合結果とともにこちら(http://www.noah.co.jp/ )をご覧あれ。


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 しかも、「所属」の中には、第一試合で、こんな風に→ボコられていた小峠とモハメド・ヨネもいる。まあ、ヨネさんはバトラーツ出だとはいっても、もう10年以上いるから、ほぼノアって感じだけど、小峠はどうしても「大阪プロレス」って感じだよね。つまり、20人のタッグリーグ参加選手のうち、ノア、あるいはその前身の全日本の生え抜きは4人しかいない、のである。


 いったい、いつの間に、ノアはこんなに層の薄い団体になってしまったのだろう--。


 思わず、そんな感慨にふけってしまったのである。


 これが新日本ならたぶん、10チーム中、3チームぐらい外国人勢を入れるとしても、「外敵」は「鈴木軍」ぐらいにとどめるはずである。6チーム、自団体でタッグチームを作っても、たぶん出番がない、あぶれた選手がたくさん出てくることだろう。



熱闘!後楽園-image  「層が薄い」ということでは、全日本もひけをとらない(変な表現かな)が、それでもゲット・ワイルドとか、チームびちっととか、カラフルなチーム構成になる。曙、浜ちゃんのSMOPなんて、フリー+所属選手のタッグでも、他の団体にはない個性で定着しているチームもある。


 まあ、杉浦+丸藤、が今回、ひとつのメーンで、丸藤がケガをしてしまったのは不運でしかないのだが、その丸藤の穴を埋めるのが、小峠ぐらいしかいない、というところに、今のノアの現状が見えたりもするのである。


 同じ層が薄いメジャーでも、全日本はもともとの成り立ちがそうだから(プロレスビギナーで、「なぜ、そうなのか、わからない」という方は、身近にいるプロレスに詳しいお友達に聞いてください。ものすごく克明に説明してくれます)、こういう状況に慣れていて、他団体からあぶれた選手、フリーの選手、外国人、インディーの選手を、実にうまく組み合わせてリーグ戦を構成するし、ファンの方も「ここはそんなもんだ」と思って見ている。


 だから--。どちらかというと、「純血主義」だったノアが、こういう風になったことに、ワタクシなんぞは違和感と危機感を持つ、のである。



熱闘!後楽園-image まあ、試合の方は、まずまず面白かったですよ。大日本の「ストロングBJ」の三番手と四番手、佐々木義人と石川晋也が筋肉ファイトを見せ、DRの2トップ、健介&勝彦が充実のストロングスタイルで戦い、飯塚&矢野が新日本きってのヒールぶりを見せ…安定した戦いぶりだったからね。


 ただ、飯塚&矢野以外、派手なケレンが試合ぶりにないんですよ。もともとノアは「質実剛健」な試合ぶりで、それが本格派の味わいとコクを出していたのは確かだけど、これだけ「外敵」を導入しているんだからね、もっとカラフルな戦いも見せてほしいわけですよ、ディープなノアMANIAではない、こちとらといたしましては。生え抜きの選手が少ないのに、同じようなファイトが続くのでは、外の選手を入れる意味は何? 員数合わせなの? って思ってしまうぐらいなんですよ。


 で、結局、決勝が高山&KENTAvsDRコンビ、ということになると、いつもの大会と何がどう違うのか、という思いも少ししてくるのである。



熱闘!後楽園-image  いや、試合自体は見ごたえのあるものでござんした。


 勝彦とKENTAのバチバチの蹴り合いから始まって、序盤有利に立った勝彦が、KENTAの右足を壊しにかかる。何度も危機に陥るKENTAを、高山がベテランらしい、うまい試合の読みで救う。


 健介さんは、相変わらず「年甲斐もない」(表現が悪くてごめんね)パワー全開のファイトだし、昨今衰えが目立つとはいえ、高山の巨体にはまだまだプロレスの凄味を感じさせる存在感がある。

 

 最後は勝彦の蹴りラッシュを耐え抜いたKENTAがお返しとばかりに顔面、首筋に蹴りを浴びせ、「GO 2 SLEEP」を見舞って3カウント。休憩時にタバコ部屋でディープノアファンの面々が「決勝はいい試合になるぞ」と言ってたけど、まあ、その予想にたがわない試合だった。



熱闘!後楽園-image  中でも目立ったのは、勝彦の充実ぶりで、試合中盤、後ろ蹴り7連発の重さ、鋭さには惚れ惚れしたし、バックドロップもジャーマンも、思わず見とれてしまう切れ味と美しさがあった。(→この写真は関係ないけどね)重くて強くて厳しい、ノアの伝統はここにある、と言いたくなるようなファイトぶりだったのである。


 でもね。


 だからこそ、今の団体の状態はなんなんですか、と言いたいわけなんですよ。


 KENTAはエースとして奮闘しているし、杉浦は相変わらずゴツゴツとした「この人ケンカ強いだろうなあ」オーラを出しまくっているし、森嶋は巨体を生かした肉弾戦をちゃんと見せている。なのに、選手がどんどんいなくなり、新しい選手が育ってもいない、という現状をフロント、経営陣はどう考えているんですか、と言いたいわけなんですよ。



熱闘!後楽園  ロビーに田上社長がいた。背広姿である。小橋も三沢も川田も…四天王はだれもリング上にいない。明らかに時代が変わったノアのリングで、これから何を見せていこうというのか。


 秋山も潮崎も金丸も、いなくなった。でも、いなくなった人の名前を数えていても仕方がない。残ったメンバーに新しい要素を加えた方舟の行先を、早く見せてほしい、と思ってしまうワタクシ、なのである。


 ゴールデンウィークに入ったばかりなのに、なんだか絡むようなことを書いてすいません。でもね。これが、本音なのよ。