みちのくプロレス20周年イヤー記念大会 by megane1964 | 熱闘!後楽園

みちのくプロレス20周年イヤー記念大会 by megane1964


熱闘!後楽園-image  試合開始直前、リングの上には、←こんなオジサンふたりがいた。見りゃわかるけど、ザ・グレート・サスケと新崎人生、みちのくプロレスのトップ2である。肩甲骨骨折のサスケはともかくとして、あれまあ、人生センセイまで足にギプスを付けている。聞けば、練習中に骨折したのだそうだ。せっかくの20周年大会、なのに「飛車角」抜きの布陣。いやあ、大変ですねえ。


 本日は6試合。北側の後ろを締めて少し座席数をコンパクトにした会場は7割程度の入りである。「飛車角」抜きにしては健闘、というべきだろうか。


 みちのくの後楽園大会は大体年に2,3回である。冬は「宇宙大戦争」なので、通常興行は1,2回ということになるが、見ていて感心するのは、ちゃんとプロレス興行のスタンダードにのっとったマッチメークをしてくれることだ。この日もそう。詳しい結果はこちらの公式サイト(http://www.michipro.jp/ )を見てほしいが、初心者からコアなファンまで楽しめるカードがそろっているのである。


熱闘!後楽園-image  第一試合の小柳vs郡司は典型的な若手の試合。地味なグラウンドとガツンガツンと音が響いてきそうな打撃を中心にした質実剛健な試合。まあ、ところどころでみちのく=ルチャ・リブレらしい飛び技も入ったが。


 第二試合は「楽しいプロレス」。ヤッペーマン1~3号、めんそーれ親父、カツオ、男盛りが、それぞれネタを披露しあう。→こちらは、親父の拝み渡りだが、ここ何か月かでこの姿を何回見ただろうか。まあ、それだけ、親父がいろんな団体で重宝されている、ということの証拠でもあるけどね。


 ちなみに第一試合はエルボーから延髄斬りのコンビネーションで郡司を捉えた大柳が腕を極めてギブアップを奪い、第二試合は、ヤッペーマン1、2号が、男盛りのナマケツに圧殺されたのであった。



熱闘!後楽園-image  第三試合は中堅、ジュニア実力派の試合。ラッセ、剣舞の場外ダイブから始まった試合は、タイガー・ジェット・シンのミニミニ版みたいな「サーベルを持ったインド系」のアリが正統派のファイトをし、日向寺がラフファイトをする、という華やかな展開。アリの決め技がキャメルクラッチというのも、何となくオールドスタイル。


 で、休憩前の第四試合、南野タケシの復帰試合は、あのバカ兄弟が登場したのであった。


 バラモンが登場した、ということは、問答無用、阿鼻叫喚のハードコアマッチなのであって、交通標識やらイスやらラダーやら、いろんなものが飛び出しての大騒ぎ、な試合である。


熱闘!後楽園-image  さすがみちのく、と思ったのは、試合途中から「和桶」が登場したこと。「宇宙戦争」を見たことがある人なら、サスケ先生が和桶をかぶって走り回っている姿はおなじみだよねえ。バラモン兄弟も大日本に定期参戦しているうちに、すっかりアイテムの使い方も手慣れたものになってきて、ホームリングのこちらでも、イスを持ってのチャンバラやら、相手選手の股間にスーツケースを押し付けて、さらにボーリングのボールを転がしてぶつけるやら、おなじみのムーブが次々に飛び出した。


 で、最後は本日の主役、タケシがバラモン・ケイをラダーの上にパワーボムで打ち付けてKO。復帰戦はめでたしめでたし、で終わったのだった。


 前半4試合は、こんな風にエンタメ色が強かったわけだけど、後半は打って変わってマジモード。そりゃそうだ。セミファイナルはみちのくタッグ選手権、メーンはみちのくジュニア王座戦なのだから。


熱闘!後楽園-image  とはいっても、セミの方は、ウルティモ・ドラゴン&気仙沼ジローラモが王者で、挑戦するのがスペル・デルフィン&シーサー王なのだから、カラフルなルチャ仕様である。ちなみにシーサー王は、けがをした人生の代役。


 ジュニアの3人に囲まれると、体重140㎏のシーサーはデカいよねえ。ウルティモ校長も「これは反則だろう」という顔。といっても、正確な表情はマスクの下なので、わかりませんけどね。最後はジローラモがデルフィンを抑え込んで3カウント。それにしても、デルフィンは今や普通にみちのくに上がるようになったのね。2年前、ディック東郷の「みちのくラストマッチ」で後楽園ホールにサプライズ登場したときは、なんか感慨深いものがあったんだけどねえ。


熱闘!後楽園-image  で、メーンが王座戦。トップ2がいないみちのくを支えるのが、フジタjrハヤトである。対戦するのは金本浩二のアニキ。


 このふたり、新日本のスーパージュニアとかで何度も闘っていて、「手が合う」ことは十分わかっている。離れて蹴り、近づいて絞め、という基本的なスタイルはよく似ているし、小柄だけどもんのすごく気が強い、というところもよく似ている。バチバチの蹴り合いがみられるんじゃないかなあ。


 …と思っていたら、いきなり最初からグラウンドの攻防でした。これはこれで、スタイル的にナットクできるところはあるけどね。目についたのは、アニキの気合いが入っていることで、この人が本気を出すと、リングに「血の匂い」が漂ってくるのである。クールでハードボイルドな、ゴルゴ13のような殺戮マシーンのたたずまい。いきなり出すアンクルホールドに、アニキのホンキが感じられたのだった。


熱闘!後楽園-image  ロープ際のブレンバスターでハヤトを場外に叩き出し、ファルコンアローで床にチャンピオンをたたきつける。リング上に戻ったハヤトの左足に、絡みつくようなアンクルホールドをかけ続ける。何とかハヤトは打撃で流れを取り戻そうと、蹴り10連発で反撃するが、ヒジの打ち合い、蹴りの入れあいを続けるうちに、アニキがペースをつかんでいく。


 全日本マットに上がるようになって、往年の輝きを取り戻してアニキだけど、この試合も内容ではチャンピオンを圧倒してたね。みちのくMANIAの間からも、「ハヤト、お前チャンピオンだろ」というヤジが飛ぶぐらい。ハヤトのフロントチョーク、つまりKIDを返して、そのままアンクルホールドに持って行ったあたりは、本当に「血の匂い」の凄味があった。


 試合は終盤、顔面への膝蹴り、つまりヘルムを連発したハヤトが何とかペースを取り戻し、最後もヘルムでアニキをフォールしたのだけど、まあ、それは結果でね、本日の主役がどっちか、ってのは、見ていたヒトみんながわかっただろう。


 トップ2がいない今、団体を双肩に背負ったハヤトは、プレッシャーだとかなんだとかいろいろあるんだろう。だけど、ハヤトのプロレスは、これまで戦ったレスラーたちの「記憶」も背負っているんだから、それに負けずに頑張ってほしい。じゃないと、「やりすぎぐらいがちょうどいい」のタオルが泣くぜ。大変なのはわかっているけど、みちのくのエースはハヤトしかいないんだから。