6月に入り、紫蘇(しそ)が旬入りします。6~7月はしその本来の旬です。
梅干しに赤しそを入れることが多いですが、なぜでしょう。
しそには解毒作用・殺菌作用があります。体内に溜まった毒素を外へ排出してくれます。昔の人はこういう働きを経験的に知っていました。腹痛や頭痛があれば、現代では医療や薬品によって対処できますが、昔の一般庶民の方々は病院もほとんどなければ高価な薬を買うこともそうできなかったはずです。入手しやすい野菜や野草の効能を多く知っていたのです。
お刺身には青しそ(大葉)がつきますね。今でこそ年中お刺身についていますが、本来はしそが旬である夏場に、刺身のような生ものに対して殺菌効果を高めるために付け合せていたものでした。これは刺身にのっている菊の花(冬)も同様の理由です。
そこで、この解毒作用をもつしそを年中保存できないかということで、塩分と梅干しの酸(クエン酸の防腐作用)を利用して、梅干しに漬けあわせることで保存することに成功したわけです。同時に梅干しの殺菌作用や疲労回復効果も相乗り、最強の組み合せが完成されたということになります。
梅干しに、青しそではなく赤しそを使用しているのは、赤の方が見た目がよく、心理的にも食欲を増進させるためだからでしょう。
有史以来の日本人の伝統食には、こうした理にかなった素晴らしい効果があるのです。ぜひ手作りの梅干しに挑戦してみてください。