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「お家に帰ろう」

有名な言葉かわかりませんが、「家に帰るまでが登山」と学生の頃、山の先輩が良く言ってものです。

23日24日と山の先輩と、トレーニングで甲斐駒ケ岳黒戸尾根ルートを登ってきました。

23日24日はちょうど冬型の寒気が来ており、北アルプスも悪天候でダメ、八ヶ岳も悪天候でダメということで、天候をみてかろうじてギリギリいけるかもしれないと、山が深くて大きい甲斐駒ケ岳(2967m)に向かいました。

標高差2500mは、長くていいトレーニングになりますが、山小屋到着して、翌日はかなりの強風。

立っているのも厳しい風が吹いている・・・。
時おり風が止むのを待って動きだしたりしていましたが、まるで呼吸をするかのような風が一番危険です。

風が止んだとホッとした瞬間に、ズトンと突き押されて滑落する恐れがあるからです。

山頂付近はさらに強い…。

8合目手前で下山することにしました。

下山している途中で、山の先輩と何で下山を「敗退」と呼ぶのでしょうかという話になりました。

山では昔から「下山」を敗退と呼ぶ人がいます。
しかし、僕は昔から「敗退」という言葉に違和感を感じてました。

人間は自然には勝てません。下山しなければいけないことが沢山あります。敗退とは負けて去るです。

自然の前では、登頂したから勝ちではなく、自分の努力を自然が良い形で迎えてくれただけ、下山を選ぶ時は、どれだけ努力しても悪天候や様々な条件で迎えてくれなかったというだけです。

「そうだね。勝ちもおかしいもんね。」

下山途中には「下山したら久しぶりに子供の顔(産まれたばかりの赤ちゃん)が見れるよ」と嬉しそうな先輩の背中がありました。

家に帰るまでが登山。

皆さん、きちんとお家に帰りましょうね。