ウンゲ北海道紀行①
2017年度の北海道戯曲賞にて僕の書いた「動く物」が大賞を受賞した。3/11(月)に札幌で行われる北海道戯曲賞主催のリーディング公演のアフタートークと3/16(金)に行われる授賞式に招待を受けた。
折角だから3/10~3/17の一週間、北海道に滞在することにした。初めての北海道ってことで胸が高鳴る。日記を書いてみることにした。
3/10(土)
9:00成田発の飛行機に乗る為、6:00過ぎに家を出る。体調があまり良くない。喉が痛いのと、寒気がする。明らかに風邪気味。まぁでも旅の高揚感で脳みそはハッキリしてた。羽田ではなく成田。そっちのが航空券が安かったからだ。
北海道戯曲賞大賞の授賞。それが追い風になってか。つい先日までやっていた演劇公演「転職生」は名だたる評論家、アーティストが見に来て。お客さんも本当沢山来てくれて。千秋楽の拍手を聞いて僕の頭にエンドロールが流れて。あ、俺の人生これで終わったら程よい映画だなぁなんて考えた。今年に入ってから本当めまぐるしい。しいたけ占いによると僕の今年上半期は兎も角運が良いらしい。しいたけ恐るべし。
長いこと、先の見えない洞穴を歩いて来て様な気がする。やっと小さな光が差し込んだ。家族も前より肯定的な空気になった。ようやったさ。ようやった。今回の北海道旅行は、自分へのご褒美だ。
山手線で日暮里に行き、京成本線に乗り換えようとした時、財布がないことに気づく。ない、ない、ない、、、
財布には現金4万円とキャッシュカード、保険証、PASMO、等々が入ってる。勿論電車の乗り換えができないので成田へは行けない。飛行機に乗れない。こういう時って意外に脳は冷静である。「あーあ、何やってるかなぁ、、」位のテンション。なんだかんだ、財布をなくしたのは生涯初めてだと思う。こういう日に限ってこういうことをやらかす。
どうしよう、、とりあえず駅員さんに聞いてみる。
僕「すいません、財布落としたかもで、、今さっきの山手線の中だと思うんですけど、」
駅「あー、、(なんかもう無理っぽい空気)
何番目の車両とかわかります?」
僕「あー、、解らないですね、」
駅「それが解らないともう問い合わせセンターに電話して頂くって感じですね、」
僕「あ、なんか、車椅子とか用の広めのスペースがある車両だったんですけど、、」
駅「そういった車両いくつかありますので。こちらの方に電話してもらっていいですか。多分今から90分~2時間位してからじゃないと反映されないと思います。」
なんでそんな冷たいのだろう、、こちとら今にも泣きそうなのに、、まぁそりゃ忙しいのでしょうけど、、
一先ず落し物センターに電話をかける。届いてないそう。9時半に掛け直してくれとのこと。飛行機は9時成田発。あーあ、、、
母が日暮里までお金を持って来てくれることになった。8時半に日暮里着。飛行機は間に合わないのでキャンセル。格安のやつ(一万円前後)なのでお金は戻ってこなかった。その後、12時成田発の飛行機を予約。一万八千円位。母が到着するまでの30分、お金がないのでお店に入ることもできず。駅構内のベンチで待つ。寒い。風邪が悪化してくのを感じる。横になりたい、、
母が来て、お金を借りて一旦駅を出る。ガストに入り、朝食を食べる。9時半になり、再度落し物センターに電話する。届いてないとのこと。思い返してみても財布を落としたり忘れたりしてない気がする。スリって可能性もあるのかな、キャッシュカードを止めた方が良さそうだ。嫌だなぁ、
10時前にガストを出て、成田へ向かう。11時10分過ぎに空港第2ビル駅着。去年末のニュージーランド旅行を思い出す。それがあってか、時間や地図を全然確認せずに歩く。あ、なんやかんや時間が危うい、、チェックインを済ませようとしたら自分の予約してる航空会社の看板が見当たらない。係の人に聞いてみると「あ、第3ターミナルですね。ここを真っ直ぐ15分位です。」、、え?15分?既に11時20分。チェックインは30分前。あー、成る程成る程、、
やっとこさチェックインカウンターについたのは11時35分。カウンター、列ができてる。待ってる間、兎も角暑くて。北海道なのだからと厚着をしてきた。その自分にイライラする。後、ウクレレを持ってきてて。リュックからウクレレのヘッドが覗いてて。その間抜けさにも只管イライラした。
並ぶこと10分。やっと自分の番。「すいません、12時発の飛行機なんですけど」「すいません、もう次の飛行機ってことになりますので、また改めて予約して頂く感じになります、」「お金って戻ってこないですよね、」「そうですね。」
下呂を吐きそうになった。なんなのだろう。いや、全て自分が悪い。悪いのだが、、つまり僕は今日半日で6万近くのお金をドブに捨てたのだ。ここ最近の幸運は借金だったんだろうな。そう考えるとこれからもっと酷いぞ。
15時発の便をその場で予約。出発を待ちながらこれを書いている。最近の名誉を考えれば6万なんて端金かもしれない。でも、きっとどんな幸福であろうとも。小さなことで気になったり食らったりするものなのだろうな、ってことも少しわかって来た。
最後にもう一度落し物センターに電話。届いてない。銀行に電話してキャッシュカードを止めた。