2018年度のプライマリーバランスの赤字幅を、GDP比1%程度にする中間目標を掲げる方針になりました。
12日の経済財政諮問会議で、民間議員が提案する予定です。
今日は、このニュースを扱います。
5月7日の本コラム「プライマリーバランス 楽観的すぎる計画」で、このような内容を扱いました。
「消費税10%を超える引き上げを当面検討しない代わりに、2018年頃に、健全化計画自体を見直す」
今回の提案は、この2018年の見直しを、より具体的に数値化したものです。
さて。
2020年にプライマリーバランスは黒字化「しなければならない」のが、現在の日本の命題です。
この命題のために、2018年のプライマリーバランスの赤字幅をGDP比1%程度にする、という今回の提案。
果たして現実的なのでしょうか。
現在、日本の潜在成長率は1%未満です。
仮に、この成長率1%を達成できたとしても、2018年度のプライマリーバランスの赤字幅は、GDP比3%です。
そのまま2020年まで、1%成長を続けたとしても、やはり3%の赤字が残ります。
これは、消費税10%になることを織り込んだ数字です。
にもかかわらず、政府は「2%」の成長率を計算し、発表したのが、先日のコラムでした。
とんでもない成長率です。
どんな計算をしても赤字は残る。
そこで財務省は、歳出を抑制するための具体策をほぼ固めました。
下記1・2は特に、私たちの生活に直結する、非常に厳しい内容です。
1、公立の小中学校の教職員の数を、4.2万人抑える
2、救急車で搬送した患者が軽症だった場合、本人にお金を払ってもらう
3、2008年の金融危機後に設けた、地方向けの特別予算を廃止する
小中学校の先生は、そうでなくとも忙しいはずです。
小中学校時代は、特に目をかけて育てなければならない時期ですが、それを「大人の都合」で削減するというのが、今回の内容です。
まさに「大人の都合」です。
毎年1兆円ずつ増えていく年金などの社会保障費が、どうしようもない状態にあるためです。
今回の内容の中に、年金減額はありませんでした。
いびつな日本の財政状況は、常に子どもが犠牲になる。
怒りとともに今日はお伝えしました。
パキスタン北東部で8日、各国の大使を乗せた軍用ヘリコプターが墜落しました。
今日はこのニュースです。
死亡したのは、ノルウェー大使、フィリピン大使のほか、マレーシアとインドネシアの大使夫人。
また、パキスタン人パイロット2人と、軍人1人も死亡しました。
ケガをしたのは、ポーランド大使とオランダ大使でしたが、このニュース、扱いが非常に小さいのです。
この墜落は、パキスタン外務省が主催した3日間のツアー内に起こった出来事で、招かれた大使らが4機のヘリに分乗。
うち、17人を乗せた1機が墜落したものです。
墜落の後、反武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」が犯行声明を出しました。
TTP報道官は、
「TTPの特殊部隊が地対空ミサイルで、パキスタン軍のヘリを撃ち落とした。」
としており、パキスタンのシャリフ首相を狙ったものだと主張しています。
「彼(シャリフ首相)は別のヘリに逃れたが、我々は今後も特に、シャリフ首相と彼の仲間を標的にする。」
と警告しています。
問題は、ここからです。
パキスタン政府は、今回の事件を、「墜落」「事故」「技術的欠陥」とする記者会見を開きました。
日本の報道では、これ以上のことは報じられていませんし、後日談も報じられていません。
一体なぜ「事故」と片付けるのか、真相が分からないままです。
今日はこのニュースです。
死亡したのは、ノルウェー大使、フィリピン大使のほか、マレーシアとインドネシアの大使夫人。
また、パキスタン人パイロット2人と、軍人1人も死亡しました。
ケガをしたのは、ポーランド大使とオランダ大使でしたが、このニュース、扱いが非常に小さいのです。
この墜落は、パキスタン外務省が主催した3日間のツアー内に起こった出来事で、招かれた大使らが4機のヘリに分乗。
うち、17人を乗せた1機が墜落したものです。
墜落の後、反武装勢力「パキスタンのタリバン運動(TTP)」が犯行声明を出しました。
TTP報道官は、
「TTPの特殊部隊が地対空ミサイルで、パキスタン軍のヘリを撃ち落とした。」
としており、パキスタンのシャリフ首相を狙ったものだと主張しています。
「彼(シャリフ首相)は別のヘリに逃れたが、我々は今後も特に、シャリフ首相と彼の仲間を標的にする。」
と警告しています。
問題は、ここからです。
パキスタン政府は、今回の事件を、「墜落」「事故」「技術的欠陥」とする記者会見を開きました。
日本の報道では、これ以上のことは報じられていませんし、後日談も報じられていません。
一体なぜ「事故」と片付けるのか、真相が分からないままです。
欧米の報道も、日に日に小さくなり、昨日の段階で、報じる記事がありませんでした。
特段、上記以上のことは報じられていません。
日本の大使は無事でしたが、この事件、各国の大使を巻き込んだものです。
欧米では速報で流れましたが、小さなニュースではないように感じます。
日本の大使は無事でしたが、この事件、各国の大使を巻き込んだものです。
欧米では速報で流れましたが、小さなニュースではないように感じます。
4月9日に扱った「英国の総選挙」。
5月7日に投開票が行われ、保守党が過半数を超える議席を獲得しました。
今日はこの選挙結果について、みていこうと思います。
議会下院の議席数は、定数650席で、5年に一度選挙が行われます。
5月7日に投開票が行われ、保守党が過半数を超える議席を獲得しました。
今日はこの選挙結果について、みていこうと思います。
議会下院の議席数は、定数650席で、5年に一度選挙が行われます。
今回、圧勝したキャメロン党首率いる保守党は、この定数650席のうち、331議席を獲得し、最大野党・労働党に大差で勝利しました。
キャメロン首相は、2期目に突入する宣言を出しました。
事前予測では、過半数に届く政党はなく、「二大政党制の終えん」とまで言われていました。
また、4月9日のコラムで扱ったように、小政党が躍進するとも言われていました。
しかし結局、有権者は、現政権の継続を選びました。
なぜでしょう。
様々な分析がされていますが、ひとつは、経済運営の成功にあったようです。
緊縮財政に取り組みつつ、法人税は引き下げ、ビジネスを後押ししたことや、それにより、GDP成長率が先進7ヶ国の中で、最も高かったことなどが挙げられています。
保守党は今回の選挙で、主にこんな公約を掲げていました。
・2017年までに、EU離脱を問う国民投票を実施する。
・構造的な財政赤字を2017年までに削減する。
・2018年までに、財政黒字を達成する。
このような公約でした。
今後焦点になるのは、最初に挙げた「EU離脱を問う国民投票」です。
キャメロン首相個人は、EU残留を望んでいるとも報じられていますが、反EU機運は、英国内で根強く、予断を許しません。
最後に、4月9日のコラムで扱った小政党の選挙結果です。
スコットランドからの独立を掲げる、スコットランド民族党は、現在の6議席から56議席と、大幅に議席数を増やしました。
大躍進です。
EUからの離脱を主張している、英国独立党は伸び悩み、1議席の獲得にとどまりました。
どの国も、小政党はなかなか運営が難しいようですが、それでも、スコットランド民族党の躍進は、すごいものがあります。
一体これは、何を意味しているのでしょうか。
無視できない結果のように感じます。
今日は、フランスの企業、アレバを扱おうと思います。
フランスは、原子力発電が約8割を占める原子力大国で、その最大手がアレバです。
そのアレバが、不振にあえいでいます。
フランス政府はアレバの雇用を守るため、救済に乗り出す方針ですが、連日報道されるアレバの動向は、世界の注目を集めています。
アレバの経営が不振になった背景は2つあります。
まずひとつが、福島第一原発の事故です。
この事故により、原子力発電への不信が募ったこともそうですが、もうひとつ、日本をはじめ、世界中での事業機会が大きく縮小したこともあります。
そして、背景のもうひとつが、最新鋭の原子炉に相次いで問題が発生したことです。
最新鋭の初号機は、フィンランド南西部のオルキルオト島というところで建設途中ですが、設計ミスや部品の強度不足などが相次いで発覚。
2009年に完成する予定が大幅にずれ、2018年に完成予定になりました。
この最新鋭の原子炉は、民間航空機の衝突にも耐えられる強固さがあり、仮に電源が失われても、自動停止する安全設計なのだそうです。
この安全性を売りに、2番目の建設も請け負っています。
場所は、フランス北西部フラマンビル。
しかしここでも強度に問題が発生し、完成予定が2017年にずれこんでいます。
そのような状況のアレバは、原子力分野の雇用約40万人をどうするか、困っている状態です。
そこでフランス政府が、フランス電力公社にアレバを救済させる方向で詳細を詰めているとされています。
雇用を守らなければ、ただでさえ低い政権支持率や、高い失業率に批判が集まるためですが、これが、難航しているもようです。
アレバ側は人員を減らしたいと考えており、最大6000人の人員削減を労働組合と協議すると、7日に発表しました。
対して労働組合とフランス政府は、「強制的な解雇はすべきではない」と反発しており、協議は難航が予想されます。
福島の事故後、世界的に原発離れが進んでいる昨今。
この世界企業アレバでさえ、今後の行方が分からなくなってきました。
フランスは、原子力発電が約8割を占める原子力大国で、その最大手がアレバです。
そのアレバが、不振にあえいでいます。
フランス政府はアレバの雇用を守るため、救済に乗り出す方針ですが、連日報道されるアレバの動向は、世界の注目を集めています。
アレバの経営が不振になった背景は2つあります。
まずひとつが、福島第一原発の事故です。
この事故により、原子力発電への不信が募ったこともそうですが、もうひとつ、日本をはじめ、世界中での事業機会が大きく縮小したこともあります。
そして、背景のもうひとつが、最新鋭の原子炉に相次いで問題が発生したことです。
最新鋭の初号機は、フィンランド南西部のオルキルオト島というところで建設途中ですが、設計ミスや部品の強度不足などが相次いで発覚。
2009年に完成する予定が大幅にずれ、2018年に完成予定になりました。
この最新鋭の原子炉は、民間航空機の衝突にも耐えられる強固さがあり、仮に電源が失われても、自動停止する安全設計なのだそうです。
この安全性を売りに、2番目の建設も請け負っています。
場所は、フランス北西部フラマンビル。
しかしここでも強度に問題が発生し、完成予定が2017年にずれこんでいます。
そのような状況のアレバは、原子力分野の雇用約40万人をどうするか、困っている状態です。
そこでフランス政府が、フランス電力公社にアレバを救済させる方向で詳細を詰めているとされています。
雇用を守らなければ、ただでさえ低い政権支持率や、高い失業率に批判が集まるためですが、これが、難航しているもようです。
アレバ側は人員を減らしたいと考えており、最大6000人の人員削減を労働組合と協議すると、7日に発表しました。
対して労働組合とフランス政府は、「強制的な解雇はすべきではない」と反発しており、協議は難航が予想されます。
福島の事故後、世界的に原発離れが進んでいる昨今。
この世界企業アレバでさえ、今後の行方が分からなくなってきました。
ゴールデンウィーク中の5月4日、政府が財政健全化計画の基本方針を発表しました。
今日はこのニュースです。
現在政府は、2020年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字にする道筋を検討中です。
2015年には、プライマリーバランスの赤字を半減させることも目標に掲げています。
「プライマリーバランス」とは、社会保障などの必要な経費を、新たな借金に頼らず、税収だけでどのくらいまかなえているかを示す指標です。
日本のプライマリーバランスは、2010年度に6.6%でした。
これを、2015年度に半減させる(3.3%)ことが、最初の関門です。
2015年はギリギリ達成できそうな状況ですが、3.3%ちょうどになりそうで余裕がなく、予断を許しません。
2020年に向けた検討は夏までに行い、「財政健全化計画」として、この夏に発表する予定なのですが、今回発表されたのは、その「財政健全化計画」の基本方針です。
その基本方針は、このような内容です。
1、経済成長による税収増で、7兆円をまかなう。
2、歳出削減などで、9.4兆円をまかなう
3、消費税の10%を超える引き上げは、当面検討しない。
4、3の代わりに、健全化計画自体を、2018年頃に見直す規定を盛り込む。
以上が、基本方針として発表されました。
問題は、この基本方針が、「実質2%以上」の高い成長率を前提にしたものである、という点です。
日本の潜在成長率は、実質1%に届かない状態です。
現在の日本の成長率は、2014年で実質1%前後。
にもかかわらず、このように「実質2%以上」の成長率を前提にするとは、なんとも楽観的です。
過去を振り返ると、同じように楽観的に作った計画が、ことごとく失敗に終わっています。
たとえば、1997年成立の財政構造改革法では、2003年までに、「名目3.5%」の高成長を想定しました。
しかし、結局、アジア通貨危機や不良債権の問題があり、この期間中は、マイナス成長でした。
また、2006年に作ったいわゆる「骨太の方針」も、高い成長率を掲げましたが、失敗に終わっています。
そして、今回です。
2020年までに日本のプライマリーバランスを黒字化することは、国際公約になっており、「できなかった」では済まされないものです。
本当に、どうするつもりなのでしょうか。
今日はこのニュースです。
現在政府は、2020年までにプライマリーバランス(基礎的財政収支)を黒字にする道筋を検討中です。
2015年には、プライマリーバランスの赤字を半減させることも目標に掲げています。
「プライマリーバランス」とは、社会保障などの必要な経費を、新たな借金に頼らず、税収だけでどのくらいまかなえているかを示す指標です。
日本のプライマリーバランスは、2010年度に6.6%でした。
これを、2015年度に半減させる(3.3%)ことが、最初の関門です。
2015年はギリギリ達成できそうな状況ですが、3.3%ちょうどになりそうで余裕がなく、予断を許しません。
2020年に向けた検討は夏までに行い、「財政健全化計画」として、この夏に発表する予定なのですが、今回発表されたのは、その「財政健全化計画」の基本方針です。
その基本方針は、このような内容です。
1、経済成長による税収増で、7兆円をまかなう。
2、歳出削減などで、9.4兆円をまかなう
3、消費税の10%を超える引き上げは、当面検討しない。
4、3の代わりに、健全化計画自体を、2018年頃に見直す規定を盛り込む。
以上が、基本方針として発表されました。
問題は、この基本方針が、「実質2%以上」の高い成長率を前提にしたものである、という点です。
日本の潜在成長率は、実質1%に届かない状態です。
現在の日本の成長率は、2014年で実質1%前後。
にもかかわらず、このように「実質2%以上」の成長率を前提にするとは、なんとも楽観的です。
過去を振り返ると、同じように楽観的に作った計画が、ことごとく失敗に終わっています。
たとえば、1997年成立の財政構造改革法では、2003年までに、「名目3.5%」の高成長を想定しました。
しかし、結局、アジア通貨危機や不良債権の問題があり、この期間中は、マイナス成長でした。
また、2006年に作ったいわゆる「骨太の方針」も、高い成長率を掲げましたが、失敗に終わっています。
そして、今回です。
2020年までに日本のプライマリーバランスを黒字化することは、国際公約になっており、「できなかった」では済まされないものです。
本当に、どうするつもりなのでしょうか。