技術革新が進む昨今

情報は大量に回ってきて

仮想空間だって

どんどんリアルになる昨今ですが、

 

それでもやはり

聞くと見るは違っていて

さらに言うと

観ると住むとは違うものです

 

観光地は観るところで

必ずしも住むところではない

 

なんてよく言われますよね

 

その通りだと思います

 

特に若いうちは

一箇所で生活するのではなく

 

様々な場所で生きて

一つの事象を

様々な角度から見て

学ぶのが大事だと思います

 

ですが、

お仕事を始めると

中々そんなことができませんよね

 

そんな中

強制的に住居が変わるイベントがあります

 

転勤ですね

 

昨今はコロナ禍もあり

各々の会社も先行きが不安になり

縮小傾向が強くなっているので

転勤そのものが

減ってきているのかもしれないですね

 

さて

 

実は医者にも転勤があります

しかも、かなり強制的に・・

 

特に大学病院というところでは

それが当たり前のようにあります

 

大学病院という場所の特異性については

過去の記事をぜひご覧ください

私が小説家を目指す前の記事です

今となっては貴重ですよ(笑)

下矢印下矢印下矢印

 

さて、大学病院の異動

少し仕組みを説明すると

 

大学病院の医者って

病院で働いていることになっているけれど

実際に属している会社は

医局という

いわば、〇〇科っていう場所です

 

私の場合は

順⚪︎堂病院 産婦人科医局

というわけ

 

そして

大学病院の医局は

ジッツと呼ばれる

関連病院をいくつも持っています

 

皆さんの近くにある

総合病院も

そこで働いているお医者さんは

実は〇〇大学××科医局から

派遣、いわば転勤になっているお医者さんかもしれません

 

総合病院も

自前で医者を揃えるのは中々難しく

大学病院の医局と

契約を結ぶことによって

安定的に医者を派遣してもらうわけです

 

言ってみれば

総合病院が会社

医局が派遣会社

なわけで

 

一昔前は

医局がいかに多くの取引先を持つかが

その派遣会社(医局)の力を示していたわけです

 

派遣先=ジッツ

なんて呼ばれていました

 

ジッツが沢山ある=働き口には困りませんよ

いずれ大学に残らなくても

ジッツの診療部長になれますよ

 

的な感じで

力のある医局は

医者を沢山確保していたわけです

 

いまは時代がだいぶ変わって

派遣会社の医者そのものが少なくなって

取引先に医者を派遣できない状況なんですけどね

 

だからどこの大学医局も

総合病院も大変です

 

医師不足

 

まあ、

もうそろそろジッツからの派遣

というシステムも限界なのかも

 

話が逸れましたね

 

さて、私の医局の話

 

若い頃は

突然の異動が多いものです

 

医者になって

最初の10年は勉強の時

 

同じところにいるのは

半年から長くて3年くらいでしょうか

 

勉強のための異動と称して

医者が足りない施設を

行ったり来たりしていたのです

 

でもまあ

私の病院は、ほとんどの関連病院が

首都圏にあったため

 

そこまで頻繁に引越しすることもなく

ああ、来月からあそこの病院か

 

くらいの感じで

辞令を受け入れていたのですが

 

大学関連病院で

唯一とても遠い場所がありました

 

それが

順天堂静岡病院

です

 

昔は、

伊豆長岡病院

という名称でした

 

私も医者になって

4年目くらいの時

突然の辞令を受けたのです

 

来月から

伊豆長岡ね

 

まさに青天霹靂

 

都内で異動になるのとは

全く事情が異なります

 

なにせ

東京から新幹線で1時間

さらにそこから

私電で30分

 

テレビで見たことしかないような

観光地が新しい職場になるのですから

 

そこでの生活は

もちろん首都圏とは

まったく異なるものでしたし

楽しくもあり

不便だったこともあり

 

そして、

医療者として

観光地に従事してきたからこそ

見えてきた景色がありました

 

その経験は

間違いなく私の医者としての経験に

厚みを持たせてくれるものでした

 

若い医者というのは

とかく先進的な医療に

携わりたいと思うものですが

やはり首都圏外の医療も

経験した方がいいよと

後輩たちにも話すようになりました

 

それほどまで私にとって

大切で充実した経験だったのです

 

いつかブログにも書きたいな

なんて思っていましたが

 

なんとその経験が

このたび、書籍となって世に出ることになったのです

 

新潮社の担当さんと

初めて顔を合わせて打ち合わせをしたとき

 

美味しいご飯が出てくる医療ものがないから

美味しくて、でも本格的な医療ものを書いて欲しい!

 

なんて無茶な話を受けて

 

美味しい+医療

ってなんぞや

 

って頭を捻っていたのですが

意外や意外

自分の経験の中に

しっかりとあったじゃないですか

 

そこで

私が静岡に異動になって

働いていた頃の話をしてみたら

 

それ面白いです!

 

って感じで

トントン拍子で話が進んだのです

 

あれから約1年

とても魅力的な小説が出来上がりました

 

そこに住んで

実際に病院で働く医者たちを

間近でみたような臨場感を

得ることができると思います

 

もう直ぐ発売です

是非よろしくお願いしますね