コラムニスト・小田嶋隆さんのことば

「志らくってバカだよねっていちばん言いたいんだけど、それはツイートしないで紙に書く。それで丸めて捨てる」



小田嶋隆さんは武田砂鉄さんとの対談でこう述べている。

小田嶋 いちばん素朴な感想のどうでもいいものは、なんとか書かないように努力しているんですよ。たとえば「志らくってほんとバカだよね」みたいなベタな雑感とか。その工夫のなさが許せないから「毎朝目覚めて俺は自分が志らくじゃないことに安心する」とか、せめてその程度には書きたい。

武田 そのアレンジが、非常に小田嶋さんっぽいですね(笑)。でも、どうでもいいことを言いたい欲はあるわけですよね。テレビ観ていて、勢い任せに言いたくなる、っていう。

小田嶋 「志らくってほんとバカだよね」っていうのはそのとおりだし、いちばん言いたくなるのはそれなんですけどね。だから、俺は絵を描くためにいつも白い紙を置いてあるんですけど、「志らくってバカだよね」っていうのはツイートするのではなくて手書きで紙に書く。

武田 自分のためだけに書く。

小田嶋 うん。それで丸めて捨てる。

(リテラ記事2020.11.22より)



料理研究家のコウケンテツさんのことば


毎日、同じおかずでもいいやん!

   ここ数年、講演会や料理ショーで、「ごはんを作るのがしんどい」という声を聞くようになりました。(…)なぜ、しんどいのか、どうしたらいいのか。

   要因として真っ先に考えられるのは、日本の家庭料理のレベルが高すぎることです。世界の食卓は驚くほど質素で、取材で訪れたフランスのご家庭では朝はバゲットやシリアルだけでした。平日は料理をしないという。日本のように毎日違う献立ということもなかった。

   肉じゃがだったら大量に作れば数日は食べられますし、日本には鍋という肉も野菜もとれる最高の料理もある。毎日肉じゃがでも鍋でもいいやん!    現実はそうはいきませんが(笑)。

   僕も、僕のマネジャーをしている妻と、3人の子育て中です。家事は分担していますが、疲れて食事を作る気になれないときは宅配ピザも利用します。栄養も毎食毎食バランスをとる必要はないと思っています。

(朝日新聞2020.11.18夕刊)



なんで仕事ってするんだろう

   結論から言ったら、人間というのは、やっぱり24時間遊んで暮らせてね、それで好きなことやって好きなとこ行って、というのが理想なんだと、僕は思うんだけど。

 「労働が人間の価値だ」みたいなこと言っても、ウソだっていうことでね。

   それじゃ人間ってのは何だっていうと、要するに子供がいちばんの基準だと思いますね。子供って、1日24時間、全部遊びじゃないですか。生活イコール遊びなんですよ。あれが理想でね。

   つまり、働くってことは、あんまりいいことじゃないってことを言いたいわけです。

(吉本隆明『悪人正機』朝日出版社)





遊んで暮らせて、やりたいことができてっていうのが一番いい。

それでも仕事をするのは、「しょうがないから」。そして吉本さんがものを書くのはそれが「自分への慰め」だったから。

仕事が遊びになれば文句はないが、そんな仕事ばかりではないだろう。

やはり、生活イコール遊びであるような「子供の暮らし」が理想ですね。