空海を知る19 長安までの長旅 | 絵本作家 ふじもとのりこの「絵本がもっと楽しめる!絵本製作裏話」

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絵本に関わり、早や40年。
ママと子が一緒に楽しめる絵本を4冊、工作本も出版!
絵本作家しか知らない、絵本の創り方、絵の技法、親子で作るキッズアート大公開
描いて、読んで、親子で絵本を10倍楽しもう♪

空海を知る19 長安までの長旅

やっと長安に行けることになった一行ですが、中国でも南の端に漂着していたので、長安までの道のりはかなり遠かったのでした。

一行は中間目標だった杭州の町まで強行軍で急ぎました。
まだ星があるうちに出発し、休むのは星が出るころであったと記述があります。水路、険しい陸路を繰り返して進みました。



体力の限界を超えて歩けなくなる者、足腰に故障が出る者もいたでしょうが、空海はむしろ体調がよくなったくらい、頑丈な体をもっていました。その人たちは、杭州で手当てを受けました。

ここからは、煬帝が築いた大運河があり、東洋のベニスともいわれる美しい水の都「蘇州」を経て、汴州にたどり着きました。



ここで、迎賓館で一休みしたのちは、厳しい陸路になります。
馬車を用意してもらっても悪路に揺られ、一睡もできない強行軍が続きます。有名な アップダウンの厳しい「函谷関」も通過しました。


12月21日、
空海一行は、やっと長安にたどり着きました。

 

空海が知った中国仏教

折々に宿泊した土地で、空海はたくさんのお寺に参拝しています。
仏典や書画を求め、土地の僧侶とも交友関係を持ちました。
お寺だけでなく、道教など、他の宗派の信仰も中国の現状をつぶさに体感しようとしていました。また中国の広大な自然に感銘をうけています。

そして、空海は、中国の仏教がどんなものが知り、驚きを隠せなかったのです。天台も華厳も密教もなく、奈良仏教の中核である法相も三論もなく、禅が盛んになっていたのでした。


当時大伽藍だったお寺は近年まで荒廃していましたが、日本から空海の足跡をたどるツアーがあるので、最近復興されているところもあり、そういう場所は今空海像が祀られているようです。