Mは、小学校2年生からの数年間、茂兄(三男)が家計のたしに始めたイタチ捕りを手伝った。
兄のイタチ捕りは次のようなものだった。
①11月末から1月の中頃までの早朝の仕事・・・イタチが暖かい冬毛に換わる季節を狙う。雪が降るとスキーを履いて。
②炭鉱では、地下にトンネルを掘って採炭する。このトンネルが落盤で埋まらないようにカラマツの丸太組を作る。この丸太が野積みされた坑口近くの土場にネズミが多く住む。これを追いかけてイタチが集まる・・・北海道にイタチは3種、棲息しているが、捕らえるのは一番体の大きなニホンイタチ。
③ワナは、3枚の木の板で出来ている。餌のイワシをイタチが引っ張ると支え棒がはずれ、重い石を載せた天板が落ち、イタチを押しつぶす仕組み・・・このワナは占冠で長男の稔が使用していたものを真似たという。Mは最近、アイヌ博物館でこのワナと同じ仕組みのワナの原型を発見した。
④前夜に仕掛けてあった数個のワナを早朝、見て回り、かかっているイタチを集める・・・ワナを仕掛けた場所に近付くと、イタチがかかっている場所では、10メートルも先から“最後っ屁“の匂いがしてくる。
⑤帰宅して、イタチが凍っているうちに皮を剥ぎ広げて乾かす・・・兄のイタチの皮むきをMは手伝う。鼻に綿栓をして“最後っ屁“を避けながらイタチの体を握って・・・兄はその頃、小樽の毛皮貿易商に、タテ約30センチ、ヨコ約15センチの毛皮一枚を1円ほどで卸していたように思う。(現在、ネズミの天敵としてイタチの捕獲は法律で禁止になっている)
↓アイヌの使った捕獲罠
↓兄の作ったイタチの罠
手稲山・発寒川からの手紙 No.2 2020年1月26日 発行