映画『リスタート』公開を祝して | 品田誠ブログ

品田誠ブログ

1992年3月2日生まれ
俳優やってます。
品田誠

映画『リスタート』(品川ヒロシ監督)
いよいよ今日から北海道で先行上映される。

東京は1週間後の7/16(金)から。

遡ること2年前。
品川ヒロシ監督に声をかけていただいた日から撮影までは、言葉じゃなくて芝居で恩を返したいと内心思ってやってきた。

会ったこともない僕に対して他の映画(『飢えたライオン』緒方貴臣監督)で見つけてくださって、物語を左右する大切な役に声をかけてくれたこと。
たまらなく嬉しくて光栄な気持ちだった。

初めて会った衣装合わせの日、
「野村が裏の主役だと思ってる」
と語ってくれた品川さんの目に信頼と本気を感じた。
実のところ会うまではどんな温度感なのか半信半疑だった。でも「企画でなんとなく撮る」なんて作品じゃ全然なかった。品川さんはめちゃくちゃ本気だった。

必ず期待に応えようと思った。
大事なのは感謝の言葉じゃなくて、何を映画に残すかだろうと。
それが僕なりの恩の返し方だと信じて取り組んでいた。
素晴らしい機会をいただいたことに改めて、感謝を込めて。
(品川ヒロシ監督、相棒・小橋役のかんたと。かんたにも感謝)

普段、僕はあまり言葉を尽くすことはしない方だ。
1番更新してるTwitterでも去年の12月から今年の4月頃まで半年近く一度も書かなかったり。
役者である自分が言葉をガンガン発することにどこか若干の抵抗があるというか、
役者はどんな人間がわからない方が良いんじゃないか、あまり自分というものを出さずに、作品だけで判断してもらえるのが1番役者として良いことなのではないか、という思いがずっとある。気取って言うと沈黙の深遠さに惹かれている。

でも今はそんなこと言ってられない。今映画を見てもらうためには、言葉を尽くさなければ始まらない。黙っていたら存在すら気付かれないかもしれないから。

コロナで他の業種と同じように映画も大ダメージを受けた。いや受けている。めっちゃ現在進行形で。

『リスタート』も2度延期になった。
よし、ようやく満を持して公開だ!と思ったら、このタイミングでの緊急事態宣言。

マジか。
「ああ残念だった。タイミングがタイミングだから。仕方ないね」と諦めそうにもなる。
でも違う。負けていられない。
上映がある限りそこで戦うしかない。
1人でも多くの人に届けたい気持ちは何一つ変わらない。むしろ増している。劇場に人が入って欲しい。

今必要なのは沈黙じゃない。「見て欲しい」と声を上げることじゃないか。
せっかくこうして伝えられる場があるなら、小さなか細い声でも言葉を尽くしてこの作品を見て欲しいと伝えたい。

主演のEMILYは声を上げまくっている。
自腹で会場を借りて前売りチケットの手売り会を何度も開いて、一昨日は劇中のアイドルの服装もしていた。(恥ずかしがってた割に結構ノリノリだった)

品川ヒロシ監督はなんと自腹で前売りチケットを1000枚(!)買っていた。
なんだか聞いたらここ数ヶ月は途方もないスケジュールと仕事量の中、合間を縫って手売り会にも参加して、なぜか同じ映画なのにEMILYとどっちがチケットを売れるか対決をしていた。

そしてそこに、キャスト陣(と音楽のHONEBONE川口さん)が案内や会計といった作業をしに駆けつけた。
純情のアフィリアさんやバクステさんなどアイドルグループも手売りの会場として協力があったり。
コロナ禍でなんとかできることを懸命に。

協力を振り返ると、品川さんの芸人仲間の小杉竜一さんや西野亮廣さん、松田大輔さん、相方の庄司智春さんらは、出演もさることながら脚本ができる前からクラウドファンディングで協力があったそうだ。SWAYくん以降キャスト陣も多く参加した。

他クラウドファンディングに協力してくださった全ての皆様の話は欠かせない。

そうだ、リスタートは出会いの映画だった。
少なくとも僕はそう思っている。

コロナ以降、誰かとの出会いが制限されている。孤独は人の精神を蝕む。
本来は1人じゃ辿り着けない場所、周りの誰かがいなければ辿り着けない場所はたくさんある。

映画『リスタート』はそんな人との出会いの賛歌だと思ったし、同時に映画を取り巻く現実ともすごくリンクしていった。
北海道下川町と品川さんの出会いから映画が始まり、EMILYをTVで見つけ、僕もその輪に加えてもらって。出会いがどんどん生まれて。

色んな人の思いが乗った映画。
撮影中も各々の思いがかけ合わさって、それはそれは熱い時間だった。

だからなんというか、この映画が生まれ、これから新たに観客の皆さんと出会っていくことを心から祝福したい。
そう思ってこのブログを書いた。

言葉を尽くすといってもこんなに長く書く必要はないじゃないか、と思うけれど、目撃してきたことを記したいと思った。記者の役がまだ抜けてないのかもしれない。

映画はここから。
作って終わりじゃなく見てもらって初めて完成する。
まずはロケ地の北海道。
ご無理のない範囲でどうぞよろしくお願いします。

『リスタート』はまだ始まったばかりだ。










p.s
撮影の時の裏話は下の品川さんのチャンネルで少し語られています。鑑賞前でも後でもよかったらご覧いただけたら。ちなみに爆笑しました。