北海道上陸初日。歴史ある街と海猫。 | ママゲリア聖子の大阪ロマンチック

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北大阪在住、食いしん坊で呑んべえのなかよし夫婦のいろいろを記録しておきたいと思います。こんなに楽しい毎日、本当に感謝しています。

2018年8月13日。月曜日。

北海道上陸初日。
フェリーは4時に小樽港に到着しました。
5時に下船。
なにしろ涼しい。



港の近くには、朝4時から開いている鱗友市場や24時間営業のマックスバリュがあって、下船した人たちはそこで朝ごはんを買い込むようです。
私たちも、鮭とイクラのおにぎりや、北海道では一般的だという金時豆をトッピングしたなまら鮮やかなピンク色のお赤飯のおにぎりを買って、ドライブしながら食べました。

本日はひたすらに西海岸を北上します。

朝の海に、雲の切れ間から、天使の梯子が降りてきて、水面をキラキラ照らしています。
雄大なその景色に胸をときめかしたものの、数十分後には私はナビ席で居眠りを始めました。
車窓の景色がいつまでたってもほとんど変化しないのです。
ドライバーの夫も眠気との攻防に苦戦していたようです。

左は海。
まっすぐの道。
右は緑の丘。

ドライブの大半は、その景色のまま。
北海道って本当に広いんだと、思い知りました。
それを、確かめに来たんだよね。


これは、初日のキャンプ場。道北の天塩という町の海辺です。
今日いちばんの1枚。


これは、フェリーのデッキから、小樽の夜景を臨んでいるところ。少しずつ空が白んで来ました。

朝ごはん。



北海道に上陸した私たちを、最初に出迎えてくれたのは海猫たちです。大型の猫ほどのサイズで、どこにでもいます。
そして、のべつ幼い子供がはしゃいでるみたいな鳴き声がします。


私たちは、増毛という街で車を降りました。
まだ街人が眠りから覚めていないほど朝早く。

目当ての酒蔵が、店を開けるまで、起伏のある街を散策することにしました。

増毛の駅は、かつて国鉄留萌線の終着駅だったのですが、とうに役目を終えて駅舎の跡と線路の跡がモニュメントのように街の片隅に遺されています。

そして、駅前の木造の建物には「風待食堂」の看板。
高倉健さん主演の映画「駅station」の舞台になったところのようです。

漁港に行って、漁船がけい留されているのを見るのも好きです。
食いしん坊の私たちは、美味しいものをもたらしてくれる船にもご挨拶しておかなければなりません。

大きな電球がずらりと並んだイカ釣り船。
カモメ避けでしょうか?ジャングルジムみたいな柵のついたエビ漁の船。
静かな港にも、海猫たちが集って寛いでいました。

増毛は、かつて相当な栄華を誇っていた痕跡があちこちに見受けられます。豪商の館や宿屋が、今も大通りに面して建っていますが、そこここに凝った意匠が見受けられます。
江戸時代、蝦夷警固というお役目があったようで、たくさんのおさむらいさんがこの街には住んでいたのです。







こちらは丘の上に建つ廃校になった小学校のです。
体育館も木造です。
ぐるりと回廊になった校舎の中庭には、高い樹木があちこちにあって、秘密基地にしたいような場所がいっぱいです。

鼻の奥がつんとするような郷愁。



「国稀」(くにまれ)という酒を醸す古い蔵は、日本最北端の酒蔵だそうです。

道内産の米を使った酒に限定しても数種類。あれこれ飲み比べて、キャンプ中のお供を1本選ぶことにしました。

そのあとは、シードル限定のワイナリーへも。

増毛は、果樹園が多くて、道すがら、幟に誘われて、朝もぎたてというさくらんぼも購入しました。

ワイナリーのエントランスのバレリーナ種というスマートな枝振りのリンゴの木にはたわわに実がなっていました。

これまた朝早すぎてワイナリーはまだ開店していません。
リンゴ畑をのそのそ歩く海猫たちを追いかけたいけど、それは我慢してトンボ狩り。


ほとんどがおさびしい海沿いの国道をひた走っていると、時折街が現れます。
ランチをとったのは羽幌(はぼろ)という街。

ガイドブックによると、ウニ丼をはじめとする海鮮グルメがすすめられていますが、どちらもたいそう長い行列です。

観光客目当ての店より、地元の人に愛される店を選びたくて丘から浜へ碁盤の目のように発展した街を走り、小さなイタリア料理店を見つけました。

ウニのスパゲッティと、甘エビのタリアテッレ、地元で採れた夏野菜のピッツァ。

どれも、なんて美味しいのでしょう。
帰省してきた家族や友人を誘ってやって来た地元のマダムたちがおしゃべりに興じるテーブルのどれにも、試したくなる皿が並んでいて、名店なのだとわかりました。


そろそろ今宵のねぐらを見つけるとしましょう。
温泉施設が近くて、海辺で、翌日目指す稚内にも、アクセス便利な天塩鏡沼公園キャンプ場。

風が強いので、避けられる斜面の下に、テントをちゃちゃっと張ったら、買い出しに。
そして、気持ちのよいお風呂。

今夜のメニューはジンギスカンです。
北海道に旅すると決めて以来、夫が憧れて専用の鍋まで買ったのです。大阪ではもっぱら豚肉を焼いていました。
スーパーマーケットに行ったら、安くて美味しそうなラム肉がふんだんに売られていました。モヤシ、カットされたキャベツ、えのき茸もたっぷり。専用のタレも手に入れました。

まだ早い時間ですがテーブルを広げてセッティング完了。
キャンプの夜は長く楽しまないと。

ビールで乾杯。
シンプルだけど満足度の高いディナーです。

多すぎるかと思っていたけど、ペロリと平らげ、腹ごなしに港まで散歩しました。


寒い。

海猫たちがいっぱい遊んでいます。

テントのそばに帰って飲み直そう。


するとどうでしょう。
すべての空を厚く覆っていた雲が、西の海の上辺りだけスッキリと晴れてきて、入り日の様子だけ、我々に見せてくれたのです。

増毛のフルーツワイナリーで仕入れたばかりのシードルをグラスに注いで、椅子をすっかり西に向けて、美しい絵のような夕焼け空を背景に、流れる雲たちがダンスする舞台を眺めていました。

そして、焚き火タイムの始まりです。

スマホと小さなスピーカーを繋いで、低い音で夫が好きな音楽を流してくれました。

綾戸智恵のゴスペルだとか、山下達郎の多重録音のアカペラだとか、「明日は会社を休みます♪」と唄うクレイジーケンバンドだとか…。


薪を少しずつくべながら、炎が変化していくのを飽きもせず見つめていました。
空は徐々に夜の色に染まり、西の端の海岸線もとうとう茜色を消した頃、雲が消えたのです。

見上げると、おびただしい数の星たちが瞬いています。

焚き火の明るさや、キャンプ場に集う人たちのランタンや街灯の光を遮るように目の回りを両手で隠して、空全体をぼーっと眺めるようにしていると、
「ヒラリっ!」
と流れ星が。

「ペルセウス流星群が来ていますね。こちらでも未明にいくつか見ることが出来ましたよ。」
と、京都府在住のお友達が教えてくれたのですが、北海道は曇っているからと、諦めていたのに。

椅子に腰かけたままだと首が痛くなり、テントの中からレジャーシートを取り出して、夫とふたり地面に寝転がって天体ショーを楽しみました。

ふたり揃って
「あっ!流れた」
「あっ!また」

と何度か流れる星を確認していたら、再びたちまちうっすらと雲が空を覆ってしまいました。
焚き火も消え果てたので、眠ることにしましょう。まだ8時半だけど。


3時45分。テントの中でブログを書いていたら、大きなうねりの波の音に混じり、海猫の鳴き交わす声がし始めました。
4時、東の空が茜に染まり始めました。

また、朝がやって来ます。

大自然の中だと、普段の生活より、朝も大きい気がします。