「小平の風」に「世間学と日本語」と題して書きました | まるおの雑記帳  - 加藤薫(日本語・日本文化論)のブログ -

「小平の風」に「世間学と日本語」と題して書きました

勤務校のブログ「小平の風」に、今回は、世間学における主張と日本語のあり方の“符合性”について書きました。

こちら です。

そこでも触れましたが、上記テーマをめぐり、次の第28回日本世間学会研究大会で発表します。
学会に提出した発表の概要は次のようなものです。


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世間と日本語に通底するもの
-主体性と第三者的視点の欠如-

この国には、なぜ「個人」と「社会」が存在しないのか。この問いに対して、日本語論の立場から考察する。

日本語には、「長幼の序」、「贈与・互酬の関係」、「共通の時間意識」、「自己決定の不在」、「差別性・排他性」、「呪術性・神秘性」等々の「世間」の特徴とされる性質にぴたりと符合するといっても過言ではない諸々の文法的特徴が認められる。
「敬語」、「多様な人称詞」、「授受に関わる表現」、「終助詞『ね』」、「SVO的把握の希薄さ(ナル的把握の強さ)」、「自己密着的視点」、「二人称志向性の強さと三人称指向性の弱さ」などである。

これらの日本語の特徴は、欧米の言語に認められないというだけではなく、世界の多くの言語に認められないものである。「世間」の背景をキリスト教の影響の有無から考えることの妥当性についても少し触れてみたい。
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<「小平の風」の過去記事>
・神戸・京都・奈良研修 ~伝統文化と欧米の文化~

・This is a pen. を日本語にできるか?

・「好きです」に面くらったフランス人の日本文化論-主体=「創造主」不在の文化-

・日本語とPTA -「主体性と公共性」の希薄さをめぐって―

・日本世間学会

・「ネット」の力 ― 仙台市教育課題研究発表会に参加して