国家と国家が総力を挙げて大殺戮を演じる戦争という名の狂気の沙汰において、日本はこてんぱんにやっつけられ、無条件降伏という屈辱を味わいましたが、そのおよそ六十年後の今、経済戦争に挑んでふたたび敗北の憂き目を見たのです。


 そしてこのふたつの戦争には共通点があります。片や、原爆によって、片や、原発によって止めを刺されたのです。今回の大震災を受けて天皇がテレビ出演をしたとき、玉音放送を思い浮かべずにはいられませんでした。思えば、あのバブルの崩壊はさしずめミッドウェイ海戦に例えられるかもしれません。


 このふたつの戦争の敗因は、誰の目にも明らかなはずです。つまり、『身のほど知らず』以外の何物でもありません。相当な貧乏国家であったにもかかわらず、無理に無理を重ね、背伸びに背伸びを重ねて、少ない予算の大半を軍事費に当て、資源たっぷりの、資金たっぷりの大国相手に喧嘩を売ったのです。敵を知らず、おのれも知らないという、孫子の兵法に著しく反する選択がどんな結果を招いてしまうかは自明の理でした。


 経済戦争においては、資源なしの状態でどう頑張ってみたところで、いつかばったりと倒れてしまうことは火を見るよりも明らかというものでしょう。


 身のほどを弁えない生き方は、田舎者の特徴にほかなりません。この国はいつまで愚鈍な田舎者でありつづけるのでしょうか。





丸山健二のブログ

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