これほど狭い、これほど人口の多い、これほど地震と津波の確率が高い島国に、どうしてこれほどたくさんの原子力発電所を建てたのでしょう。そんな無茶な計画に参加して賛同した学識経験者とやらの神経を疑います。企業はどうせ欲に目がくらんだことによる発想を強引に押し進め、政治家や役人はそのおこぼれに与ろうとしただけなのでしょうが、その結果がこれです。このざまです。


 イメージのみの安全対策で世間をペテンにかけ、あとは想定外の災害ということにして逃げるつもりなのでしょう。そして結局は、太平洋戦争の場合と同様、重要な地位におさまり返っていた関係者の誰ひとりとして責任を取らず、国民一丸となってこの国難を乗り切ろうではないかという、そんな情緒的な、そんなまやかしの、無責任極まりないスローガンでごまかすつもりなのでしょう。


 そして東京電力は、被害者に支払うべき金を極力けちる算段をしているのでしょう。相手の数が多すぎて、とても支払いきれないという口実を設け、国家に払わせる魂胆なのでしょう。強欲なかれらは、まさにこういうときのために政治家や役人に金をばら蒔いていたのです。だから、そのあこぎなもくろみが成功しないはずはありません。つまり、国民が支払う税金によってかれらのお粗末な失敗のしりぬぐいをすることになります。


 リーマンショックの煽りを食らった銀行もそうやって救われたのですが、さて、今回も仕方がないのひと言で泣き寝入りしますか?


丸山健二のブログ

(c)Kenji Maruyama