至極の黙示録~東京女子プロレス観戦 その2~ | 団塊Jrのプロレスファン列伝

至極の黙示録~東京女子プロレス観戦 その2~

その1からの続きです。


味わったことのない会場の空気に壊滅寸前に追い込まれた我が精神。まさかこの先、試合中もこうなのか!?ええぃ、もはや毒を食らわば皿までよ!!なんでもきやがレェー!!


それでは試合です。


第1試合 15分1本勝負

宮本もかvs鈴木志乃

宮本(5分59秒 羅生門)鈴木


まずはオープニングマッチ。目を引いたのは宮本選手です。この選手は矢絣(やがすり)着物を模したコスチュームで、しかも空手の突き(伝統空手のようです)や合気の技?(これははっきりわかりませんでした)なんでしょうか?こう、武道の技を使うんですね。このあたり、令和の大正デモクラシー、現在の大正ロマンといった感じで相成り印象に残りました。ちなみにフィニッシュはミドルポジションのコブラツイストかと思いきや、足のフックを内側からするという独特なものでした。この個性はいいですね。女子プロレス界に文明開化の音を、ゼヒとも鳴り響かせてほしいと思いました。


一方の鈴木選手はまだキャリアが浅いようで、動きも、ん?というところはあったのですが、とにかく何かをやろうとしている姿がよかったです。試合ではスリーパーホールドを必要に見せましたが、相手にがむしゃらに食らいつく必死さですね。こういうあたりからものすごい熱意が伝わってきて、応援したくなりました。こういう子は伸びますよね~。何年後に化けるかもしれません。がんばってください!!


第2試合 15分1本勝負

上福ゆきvs凍雅

上福(6分9秒 片エビ固め)凍雅


これはですね、上福選手ですね。とにかく色っぽいです。フェロモン・ルネッサンス、背徳のお蝶夫人といった様相ですが、一転して試合は終始支配。むしろ凍雅選手をリードするような立ち回りだったのかなと、そんな気がしました。その凍雅選手は、ちょっとですね、何がしたいのか?どんなプロレスをやろうとしているのかが伝わってきませんでした。まだキャリアが浅いのかもしれませんね。体かあるので思いきったファイト、名前ある技なんていいので、まずは相手に体ごとぶつかっていくくらいのですね、そういう戦いに期待したいところですね。


第3試合 6人タッグマッチ 20分1本勝負

乃蒼ヒカリ、角田奈穂、上原わかなvs桐生真弥、風城ハル、大久保琉那

角田(9分5秒 肩固め)風城


さあ第3試合、ここでKazuさんの女神様、孤高の局地戦闘機といわれる角田奈穂選手の登場です。


この日は6人タッグということで戦いをじっくりは見れなかったのですが、フィニッシュにドラマがありました。ボクは会場の南側の後方にいたのでちょっと上から会場を見下ろすような形だったのですが、角田選手のフィニッシュがですね、Kazuさんのいるリングサイド側、もう目の前ですね。ここでKazuさんの方を向いて展開されたんですよ。この2ヶ月前、自身を連合軍と化し東京女子プロレスにひとりノルマンディ上陸作戦を敢行。その侵攻は功を奏し、今やご本人にまで認識されるようになったKazuさんへの、これは角田選手からのプレゼントだったのではなかったのかなと、ボクには思えました。


で、気になった選手なんですが、この肩固めに敗れた風城ハルという選手ですね。この子はまだデビューして間もない、年齢も15歳なんだそうですが体の使い方が非常に上手でしたね。技をするときのウェートの乗せ方がうまく、当てに行くタイミングも上手でした。この子はいい選手になりますよ~。これから楽しみです。


最後に、あれ?と思ったのが上原選手。その表情から女子プロレス界の相田翔子といった感が漂いますが、実はボクは釣りも好きで釣りの動画もよく見るんですけどね、この選手、先日釣り動画のお勧めの中に出てきてまして、あ~!となりました。アイドル、女優、釣りガールと、この団体は選手が他にもいろいろやっているのがひとつの特色なのかもしれないですね。


第4試合 15分1本勝負

ハイパーミサヲvsHIMAWARI

ハイパー(9分14秒 体固め)HIMAWARI


これはですね、ハイパーミサヲ選手ですね。ミサヲなだけに入場曲は殿さまキングスのなみだの操・・・ではなく、なんと甲斐バンドのヒーロー。いやはや、なつかしいです。そしてその身なりは緑を基調としたフェイスマスク、コスチュームに唐草模様のマントという出で立ち。リング上で展開される饒舌(じょうぜつ)も然り、まさに戦う東京ぼん太といった佇まいです。と、昭和を感じさせるフレーバーたくさんですが、それはおそらくボクが感じただけですかね。失礼しました。


ちなみにKazuさんから教えていただいたところ、このミサヲ選手は茨城県出身、鹿嶋市の出で、なんと団体唯一の既婚者なんだそうです。おおお、それはなかなかツボるなぁ・・・って、まったくプロレスの話してないですね。すいませんっ。


第5試合 タッグマッチ 20分1本勝負

瑞希、鈴芽vs中島翔子、鳥喰かや

瑞希(11分29秒 片エビ固め)鳥喰


さあこちら、流星仮面二世の推し(ということになっている)鈴芽選手です。


ということで調べてみましたらですね、なんとウチの娘と同い年。で、この選手も茨城県出身なんですね。しかも誕生日がブルース・リー先生と同じ11月27日というですね、なんとも素晴らしい事態となっております。そしてリングネームなんですが、これはスズメバチのイメージから、なんだそうなんですね。そのためリングコスチュームもハチを模したものになっているようです。


しかしながら24歳には見えない童顔とツインテール、体の細さからくるかわいらしさがどうしても優先してしまい、スズメバチというよりはミツバチ的な印象。ですがそのファイトは切れ味があります。機敏で何するにも無駄かない動きをする感じですね。そこからの攻めがいいですが、やられっぷりがまたいいです。まさに殺戮のみつばちマーヤ、ひとり熱殺蜂球といった感じが伺えます。


で、瑞希選手。この選手はもはやプロレスやる筋肉すらないのではないかと思わせるほどの体の細さなんですが、いざ試合が始まると迫力と力強さのある攻めで驚きました。軽量なんですけど、動きに合わせ体を活かせてるので軽量というのを感じさせませんね。で!!最も驚いたのはフォールされたときブリッジしてですね、そのまま相手をすり抜けながら立ち上がるという、そういう動きを見せたんですよ。これですね、ジャガー横田が昔よくやった動きなんですよ。なかなかできる動きじゃなんですよ。こういうのを知って取り入れているというのがいいですね~。ボクは古いファンなんでたとえが古くなっちゃうんですけど、今回見た選手の中では一番全女を彷彿させる選手だったな~と思いました。


最後に中島選手。これはいい選手ですね~。ボクはこの団体初めて見たのですが、序盤の細かな攻防から大きな動きまで全選手の中で一番キチッとしていて、トータルバランスが一番いい選手だと思いました。かなり小柄ですが、その分ものすごい努力しているんだと思います。この日はタッグだったので見せてない技がまだあるかもしれません。シングルも見てみたいですね~。


第6試合 6人タッグマッチ 20分1本勝負

辰巳リカ、渡辺未詩、遠藤有栖vs愛野ユキ、らく、原宿ぽむ

遠藤(時間切れ引き分け)愛野


この試合は遠藤選手がよかったですね。得意技がですね、キャメルクラッチなんですよ。これをフィニッシュにするという技のチョイスがすでに素晴らしいんですが、この入り方がよかったですね~。キャメルクラッチは背後から相手の両腕を足にのせてアゴをこう、やりますよね。これがですね、ピョンと一度に両腕取らないで、片方の腕だけかけて、ちょっとアゴを決めながらもう片方の腕をジワーッと、こう引き寄せてのせて入るんですよ。片方かけて、まだ技の完成度が70パーセント、もう片方かければ完璧だ、どうだ、相手も踏ん張る、させない、どうだ、お、でものせた!!入った!!というですね、決まるまでに攻防というドラマがある、実に素晴らしい入り方でした。同じ技でも入り方でファンの感情がまったく変わってくるわけですよね。リングで何を、どう表現するか?何を見る人に伝えるか?これは大事なところですよね。そういう意味でこれはよかったと思いました。


それと愛野選手。この選手はショルダーアタックが得意で、これを出しながら試合するんですが、まず純粋にショルダーアタックがうまいというのと、この技を活かした試合が現在のプロレスで見れたということにうれしさがこみ上げました。それとフェイバリット・ホールドがサイド・スープレックスのようなんですが、この投げ方がですね、ハーリー・レイスやテリー・ファンクのそれを彷彿させましたね。こう滞空時間かけてゆっくり大きく投げるんですよ。今のプロレスで見れなくなってしまった技がフィニッシュに用いられていたというのは、これはうれしかったですね~。


最後に渡辺未詩選手です。この選手、例のアップアップガールズで最初に出てきて踊ってたんですけど、そのときは大丈夫なのかな・・・と正直思ったのですが、とんでもない。パワーがですね、すごいんですよ。なんとボディスラムはワンハンド。そしてカナディアン・バックブリーカーを使うんですが、この日、確か2回目のカナディアン・バックブリーカーを愛野選手にかけたときだったと思うんですが、その上げ方がすごかったです。愛野選手はこの団体で見る限り体重ある方だと思うんですけど、こう・・・こういうのは言っちゃいけないかもしれませんが、持ち上げるときですね、ほぼ相手に跳んでもらってないんですよ。はじめからグワーっと、フルで持ち上げたんですね。で、カナディアン・バックブリーカーって上げたあと後ろに重心いくんですが、上げきった瞬間も下半身ブレませんでしたね。これはたいしたもんですよ。ザ・パワーステーションって感じでした。恐れ入りました。


ということで総括しますと・・・まず気づいた点ですが、違和感を感じたのはフォールされたときの返し方ですね。これ、ワン、ツーで体を跳ね上げて返すのではなく、体を横にして片方の肩を上げるだけ、だったんですね。ほぼ全選手です。これはですね、どうなのかなと・・・試合も終盤に差し掛かり、もう体力も限界点。というときにこの返し方ならわかるんですが、はじめから終わりまで常にこれというのは、ちょっと不思議な感じがしました。


一方、感心したのが試合の組み立て方でした。何かというと、他のプロレス団体のような派手な技や大技がですね、とにかく出ないんですよ。出た大技といえばサイド・スープレックス、水車落とし、ブレーンバスター、サイドバスター、河津落とし、カナディアン・バックブリーカーで、しかもこれらは試合の後半戦からで前半はというとボディスラムくらいしか出ていません。で、飛び技はドロップキックは全試合ほぼ平均して出ていましたが、あと使用されたのはフライングボディアタックのみです。ロープに振ってのカウンターもトップロープからも場外へも、使用された飛び技はフライングボディアタックだけでした。なのに、試合内容が薄いかといえば、まったくそんなことはないんですよ。細かな技や動きを軸に試合を構成しフィニッシュへと持っていくのでオーソドックスな技でも光るんですね。現在では当たり前となってしまった派手な技や大技を使わないで試合を成り立せる。これはなかなかできませんよ。この団体のカラー、スタイル、素晴らしいですね。本当にすごいことだと思います。


ただ、すべての試合がその限りとは言えませんでした。キャリアという点では仕方ないのかもしれませんが、選手によっては首をかしげざるをえない状況も多々ありました。


それはそう、たとえば指導者がいて、で、実戦練習したり技の練習したりすると思います。で、それらを試合で発揮していくわけですが、そこで問いたいのは「教わったことをやる」のと「教わったことを理解してやる」このちがいとは何なのか?というところなんですよ。


たとえばこの日、全体通して使われていたのですが、ロックアップですね。ロックアップはなぜするのか?なんですよ。教わったから、ただやってるのか?それとも教わり、やってみて自分のやっている姿を映像で見てみて、組んだ瞬間の形はどうなのか?腕の位置、足の位置、体重のかけ方は合っているのか?わからなければどうするのか?という、そういうところだと思うんですね。


選手によって動きに大きなちがいが見られることがありましたが、その差こそ、こういった点なのではないかなと思います。細かな技や動きを軸に試合を構成しフィニッシュへと持っていくからオーソドックスな技でも光るんです。だからロックアップやヘッドロック、バックを取る動きが大切なんです。と、ボクは思ったのですが、みなさんはいかが思われますでしょうかね?


若くてかわいい子が多いし、それぞれが他に類を見ないような個性を持っています。なので見た人へ与える印象はかなり強いと思うんですよ。人の記憶に残るというのはプロレスラーとしての真骨頂、いいことです。でも、それなら・・・プロレスラーなら、やっぱり「プロレスリング」で印象に残りたいじゃないですか。お、かわいいレスラーだな。コスチュームも個性的でいいなぁ。と思ったら、おお!?プロレスもうまい!!できるじゃないか。この子、すごいなぁ~。この団体は若手からちゃんとしているな!!ってなったら・・・最高じゃないですか。ね?


選手の一生懸命がこれほど伝わってくる団体は、そうありません。ここは、もっとおもしろくなる可能性を秘めていますよ。今後も楽しみにしたいと思います。勉強になりました。ありがとうごさいました。


ということで、このあと特典会に並びます。


その3へ続きます。