至極の黙示録~東京女子プロレス観戦 その3~ | 団塊Jrのプロレスファン列伝

至極の黙示録~東京女子プロレス観戦 その3~

その2からの続きです。

 

ということで、ここからは特典会へ突入です。

 

その1でも書きましたが、特典会は試合が早く終わった順から各レスラーが特典会場に立ち、そこにファンが並び行われていく流れなんだそうです。間もなく最初に特典会を行う選手名がアナウンスされ、並ぶように指示が入りました。

 

ボクが並ぶのはKazuさんの推しである角田奈穂選手です。どんなレスラーなのか、ちょっとご紹介しましょう。

 

角田奈穂こと奈穂さん(と呼ばれるのがご本人いいそうです)は1987年3月20日、千葉県は、あのMi-Keの名曲"想い出の九十九里浜"も程近い東金市出身。出身中学校、高校は不明ですが最終学歴は専門学校のようで、なんと最初の職業は公務員で保育士さん。先生をやっていたということなんですね。

 

取得資格は保育士、幼稚園教諭2種免許、社会福祉主事任用資格、英検準2級、レクリエーションインストラクター、キャンプインストラクターと保育関係に特化したものが並ぶ。ご両親も公務員にして、幼き頃から習い事や塾も多くやっていたという、まさしくエリート。インテリジェンス・ガールだった

 

しかし就業先の人間関係において、強烈な"いじめ"にあってしまい約2ヶ月で保育士を退職。フリーターをしながら自己啓発をと習い事を探すと、ピンと来たのがなんと殺陣(たて:剣や体を使って行う格闘シーンの立ち回り)だったそうです。こうしてこの殺陣を習いだすと、そこでアイドル関連を扱っていた事務所に声をかけられ、2008年末に芸能の道に活路を見い出しアイドルとしてデビュー。2009年からはアイドル活動と併用し舞台に出演。舞台女優として踏み出すことになります。ですが職業としての安定度は乏しく、年齢のことも考え表舞台からは身を引き、制作へ回ることを決意します。

 

こうして裏方として再スタートを切りますが、女優への思いはどこか絶ち切れず・・・モヤモヤとしていたある日「女優のプロレス」をコンセプトとしたアクトレスガールズという団体ができることを知ります。女優をしながらプロレスを行えば視野が広がり糧にもなる。きっと現状打破になる!こうして2015年5月31日、1期生として新木場1st RINGで本間多恵という選手を相手にプロレスデビューすると同年は女優業にも復帰。再び活動を継続していくことになります。

 

しかしプロレスラーにはなったものの、それまでプロレスのことをまったく知らなかったという奈穂さんは、練習や自身への評価において厳しい"プロレスの洗礼"を受けることになります。まさに艱難辛苦、汗馬之労(かんなんしんく かんばのろう)。しかし諦めることなく続けアクトレスガールズで約5年半、様々な団体に上がりながらプロレスを行っていくと厳しくつらい中にも"楽しさ"を感じ始めます。こうして2020年10月に同団体を退団してフリーとなり同年11月から東京女子プロレスへ参戦。現在も舞台女優、プロレスラーとして活躍していると、いうことなんですね。


ということでですね、ちょっと説明がなつかしのルックルックこんにちはの「ドキュメント女ののど自慢」みたいになってしまいましたが、まあこう、あれですね~。プロレスラーになってからもそうなんですが、それ以前のですね、アイドル、女優へ転身するとなった頃ですよね。その頃にはご家族ともいろいろあったでしょうし、いざなったらなったで最初は予想外の仕事をさせられたりと、だいぶ苦労されたのではないかなと察します。大変な人生を歩んできたんだろうなぁ~と、そんなことをしみじみと感じました。


さて、お話を戻します。列をなしテール・トゥ・ノーズで体勢を整えるボクとKazuさん。本人の前に立つ寸前まで特典会のレクチャーを受け気持ちを引き締めます。なるほどなるほど・・・話し方はこんな感じで、こんな風に接すればいいのですね~。会話があんまり長かったり変なこと言ったりするとドラゴンストップばりに止められると、なるほどぉ・・・


やがて、並ぶこと数分。いよいよ順番が回ってきました。目の当たりにした奈穂さん。これがKazuさんを甦らせた人か・・・


その第一印象は"優しい"の一言。なんでプロレスを・・・?とすら思ってしまうほどでした。

 

お疲れ様です。実はKazuさんに教えてもらい初めて観に来ました。と、サインと共に入れてもらう名前の用紙を渡すと・・・

 

「あ~。Kazuさんがニューカマー連れてくるって言っていた方ですね~。ありがとうございます。お名前は、ええと・・・流星仮免二世さん?」

 

そうです。よろしくお願いし・・・ま!?


か、かりめん!?

 

ほよ!?

 

そ、そうか。用紙、変に下に詰めて書いてしまったので読みづらかったですね~。申し訳ないです。流星仮面二世なんですよ~、ははは・・・

 

「あ!あああ!!流星仮面二世さんですね」

 

すいませんね~。ちなみにかなり昔に本検までは終わっておりますです。なはは・・・

 

そんなやり取りのあと、笑顔でサラサラとサインを入れてくれました。


実のところ昨今のこういうイベントって知らなかったので、テレビで見るアイドルのそれのような、もっとテンション高めというか大げさでわざとらしい対応でやるものなのかと思っていたんです。いや、他の選手のことはわかりませんよ。でも、少なくともこの奈穂さんはトーンがすごい落ち着いていて自然なので、心地いいんですね。ファンの方がずっと話していたいってなるのも頷けると思いました。

 

そして、サインもいただいたので、お礼言って立ち去ろうとしたそのときでした。

 

「あ、撮影・・・1回できますので・・・」

 

ああ、撮影!!そうか、すっかり飛んでいてしまった・・・とスマホを出します。こうして撮影し自分の番は終わったのですが、そのときあの日の光景が頭をよぎったのでした。そう、あれは33年前。1991年初頭の茨城県の阿見町民体育館でブル様(ブル中野)にサインをもらったときのことです(女子プロレス列伝~愛しのブル様~)

 

そうあのとき、立ち去ろうとしたら「あの~握手を・・・」と、向こうから言ってくれたのがブル様でした。そして時を隔て今日は撮影をと・・・最後がこんな似てるなんて、なんか奇妙な、不思議なものを感じずにはいられませんでした。


ひとつの世界にして、あまりにもジャンルが細分化されているプロレス。そんなこともあり、自分の趣向とはかけ離れてしまっていて興味すらわかなかった東京女子プロレスという団体の角田奈穂というレスラー。Kazuさんが好きにならなければ一生知ることができなかった存在です。明日知らぬ世、定めなき世・・・だからプロレスはおもしろいんだと、しみじみ思いました。

 

こうして自分の番が終わると、どん尻に控えしはKazuさんです。ボクは後ろに下がり、ふたりが向かい合ったそのシーンを眺めました。


ああ、話してるなぁ・・・なんか、いいなぁ~。

 

ここで思うことは、お体のことでした。自分なんかはほんのわずかなのですが、これまでにKazuさんと同じようなご病気になった方を何回か見ています。そして、自分の祖母もそうでした。なので今のKazuさんのお姿は、みなさん本当にうれしかったんじゃないのかな・・・Kazuさんはそんなことないって言うかもしれませんけど、ひとりの人間を通して肉体も精神もここまで回復したという現実は、うれしく受け止めていると思います。楽しそう。本当に楽しそうで、よかった。本当に今日はいい経験、いいものを見ることができました。ありがとう。

 

こうして特典会が終わると、Kazuさん、ノリさんと反省会という名のミニ打ち上げ会を行うため両国駅前のサイゼリアへと足を運びました。

 

しかしその間、ノリさんは購入した遠藤選手のポートレートのやり場に困ります。素で手で持っては痛んでしまうし、プロレス会場出てから回りに見えてるのがどうも・・・という感じ。確かにこのまま電車乗って帰るのは大変そうです。そこでコンビニで封筒を購入。それに入れ持ち運ぶ事態となりました。


なるほどなぁ・・・改めてこういう現実を目にすると、最初にKazuさんからもらったケースは保存や持ち運びのグッズとしてかなり優秀だ。これはかなりの意味がある。利益云々差し置いても商品化してほしいと思いました。(って、ファンの金銭的負担が増えちゃうから、やっぱり言わない方がいいのかしら?)

 

ということでサイゼリアで打ち上げです。20代、30代、50代。世代を超越した長身の男3人ですが、それぞれが今日の達成感に満たされていて食事をはさみながらの会話は弾みます。Kazuさんの柴田の行ってたサイゼリア探したっけなぁ~からプロレス話は進み、趣味でレスラーのイラストを描いているというノリさんの作品を見せてもらったり。で、そのイラスト。これが生業にできるんじゃないかというくらいのうまさで・・・


ノリさんが描いた「ふたりはプリキュア遠藤・鈴芽バージョン」は、このクオリティ。素晴らしい!!


その後、話題はまもなくこの日の試合と特典会のお話になり、今日どんなこと話したの?見てこの撮らせてもらった画像。かわいいよなぁ~。花、よかったなぁ~。次、東京女子行くときは、いや行ける?いやぁ行くんでしょ~?次は何話す?もし推しのレスラーと仲良くなれたらどうする~?コクる?いや、マジいけそうじゃねぇ?と、まさに現場は修学旅行の夜のような盛り上がり。楽しい。聞いてるだけで顔がほころんでしまいます。カリオストロの城の庭師のおじさん風に言えば「なんて気持ちのいい連中なんだろう」です。

 

こうして楽しい時間はあっという間に過ぎ、お別れとなりました。


ご存知のとおり、ボクは古いプロレスファン。今のプロレスには知らないこと、わからないことがたくさんあります。だから、こんなプロレスがあって、こんな世界が展開されているんだなと思うと、プロレスの"楽しさ"は人の数だけ、まさに無限大なんだなとあらためて学ばさせてもらいました。いいトシしたおっさんですけど、またいつかご一緒させてくださいね~。


楽しい1日を、ありがとうございました。