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年金アドバイザーが教える!楽しく学ぶ公的年金講座

知れば知るほど奥深い年金制度!
僕も日々勉強ですが、一人でも多くの方に年金の事を知って欲しいと思います。
年金は…正確に書くように努めてはいますが、少しでも年金の事を知っていただければ幸いであります。
一緒に年金について考えてみませんか?

こんにちは!

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
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1.国民年金の強制被保険者期間が65歳まで延長すると年金額は約1割引き上がる。
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国民年金って20歳から60歳前月までは強制的に加入してる状態であります。
 
では60歳以上になるとどうなるかというと、国民年金に加入する義務がなくなり、ようやく保険料支払いの負担から解放されます。
 
自営業や自由業、学生、主婦などの国民年金第1号被保険者の人は毎月16,520円(令和5年度保険料)も支払うので、ようやく負担しなくて良くなる事で少し安心されるようです。
 
 
しかし、60歳から65歳まで保険料納付期間を延長して行くという法改正が検討されておりますので、60歳から65歳までの取り扱いが近いうちに変わるかもしれません。
 
え?ようやく60歳から年金保険料払わなくて良くなるのに、さらに払わせようと改正されようとしているの?許せない!という声があったりします。
 
国の年金財源が足りないからさらに払ってもらうようにするんだろう!と言われたりしますが、本質はそこではありません。
 
もちろん延長によって年金財源に好影響は与えるというメリットがありますが、いちばんの目的は今の若い人の将来の年金を引き上げる事です。
 
 
保険料納付期間が伸びれば、基礎年金の今の満額の795,000円(月額66250円)より1割ほど増加するので、将来の人が老齢になった時の年金が増加し、貧困抑制に繋がるのです。
795,000円÷40年×45年=894,375円(月額74,531円)となって、いつもの満額より1.125倍になるという事になります。
 
ところで、過去の年金額において基礎年金の満額は長い事70万円台と変わりませんでした。
 
 
なんで基礎年金の満額はいつまでも70万円台なんだろうと疑問になるところではありますが、この基準額は平成16年の780,900円が元になっています。
 
その基準額を元に毎年度の賃金変動率や物価変動率を使って年金額を変動させています。
 
令和5年度は795,000円(67歳年度までの人)ですが、これは平成16年満額の780,900円に(令和4年度改定率0.996×令和5年度賃金変動率1.022=1.018)をかけて、794,956円≒795,000円(100円未満四捨五入)にしたものです。
 
このように毎年度賃金変動率や物価変動率によって年金額は変化します。
 
なお、68歳到達年度以降の人は物価変動率を使うので基礎年金満額は792600円になっています。
 
ちなみに基礎年金の満額の基準は昭和60年の年金大改正時に60万円(月額5万円。共通経費を除いた場合の額)で決められ、それ以降の物価や賃金の伸びに合わせて平成16年までの19年間の間に780900円まで上がってきました。
 
で、平成16年に一旦金額の基準を780,900円としようとして、これを基準にまた経済変動にスライドさせていこうという事になりました。
昭和60年から平成16年までの間に約18万円上がったのに、平成16年から令和5年現在までの20年で2万円ほどしか上がってませんね。
 
それは物価も賃金も上がらなかったからです。
 
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2.今の若い人が将来に年金受給者となった時の貧困を防がなければならない。
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そのような経済変動により年金額は引き上がったり、もしくは下がったりしますが、年金額を上げるならばその元の年金額である「780,900円」を引き上げてやれば簡単じゃない?と思いますよね。
 
いつまでもそんな78万円程度の年額じゃ月65000円程度にしかならないし。
 
でもその基準額780,900円は変更せずにきました。
 
 
どうして基礎年金の元の基準額はそのまま手を付けないのでしょうか。
 
 
それは基礎年金には2分の1の国庫負担(つまり税金)が投入されており、もしその基準額を引き上げるとすればそれはすなわち税金の問題になるからです。
 
 
なお、年金というのは基礎年金の国庫負担2分の1の部分(約12兆円)以外は社会保険料で支払っているので、国の一般会計には影響を及ぼしません。
 
社会保険料の変動は国の予算とは切り離して考える必要があります
 
 
国の財源に影響を与えるのは基礎年金の国庫負担分のところです。
 
よって、基礎年金の基準を上げる事は税金の調達の問題も出てくるので、そうなると増税の問題に繋がってくるので基礎年金の基準額を引き上げる事はなかなかできない事だったのです。
 
 
しかし、今、その基礎年金の基準額を保険料納付期間の延長により、上限突破しようとしています。
どうして税金調達という頭の痛い問題が増えるのに、基礎年金の基準額を増加させようとしているのか。
 
これは他の改正と考える必要があるのですが、今の年金を取り巻く中で「厚生年金への加入を促進」させたり、「マクロ経済スライドにより今の年金受給者の年金給付を抑制」したり、そして「国民年金保険料納付義務期間を20歳から60歳までではなく65歳まで延長しようとしている」のは、将来の若い人の年金を高い水準に持っていくためです。
 
 
バブル崩壊以来、非正規雇用者が爆発的に増え(昭和60年は650万にほどだった非正規雇用者が平成20年あたりから2000万人超え)、会社に雇用されてるのに厚生年金にも加入させられずに働き、さらに給料も安いから国民年金保険料を未納にしたり免除にしたりせざるを得ないというような悪影響が出ていました。
 
昭和60年から解禁された労働者派遣法も、平成11年に原則自由化され、平成16年には派遣期間が1年から3年に延長されてさらに製造業などにも解禁されました。
これにより労働環境の劣悪な日雇い派遣(平成24年に日雇い派遣は原則禁止)とか、ワーキングプアの問題もクローズアップされるようになりました。
 
その後、平成20年に起こったリーマンショックの時に大量の派遣社員は契約を打ち切られ、さらに住処も追い出されるような目にあいました。
当時、日比谷公園での年越し派遣村でボランティアの人達が、派遣切りに合った人たちへの支援を行いました。
 
 
このようにバブル崩壊以降、職が不安定な非正規雇用者が増加し、また派遣社員が増加した事で確かに会社側としてはコスト削減には便利になったかもしれません。
 
しかしながら、使い捨てのように扱われる労働者の生活そして将来への展望が拓けないような社会になっていきました。
 
生産性の低い会社にとっては生産性を上げようとせずにコストカットに集中するのでしょうが、生産性のない会社のために労働者が使い捨てのようにされる事は経済の成長にはマイナスになります。
 
一つ一つの会社にとってはコスト削減により生き延びれるでしょうが、社会全体としてはマイナスになります。
これは経済の世界ではよく合成の誤謬と言われたりするものですが、労働者が安く使い捨てられる世の中は社会全体が悪くなります。
 
なぜかというと、安く使い捨てられる労働者は当然の事ながらモノを買う力が弱いです。
 
だから、会社の商品を買えません。
 
そうすると会社は儲からないから、商品の値段を引き下げるしかありません。
 
という事はその会社の社員の給料も下がります。
給料が下がるから、社員もモノが買えません。
 
こういう事が続いたために長らく日本はデフレ状態により停滞していました。
 
 
収入の少ない、今を生きる事に精一杯の人が年金保険料など支払えるはずもなく、そうすると将来に老齢になった時に貧困に陥る危険性があります。
 
会社が生き延びるために労働者を安く使い倒し、コストカットした事が、今の若い人の将来の貧困に繋がります。
 
将来、貧困者が急増するという事はそれは社会の衰退を招きます。
 
貧困になるともちろん先ほどと同じ事で、モノが買えないからですね。
会社としても利益が少なくなって困る事になります。
 
将来の貧困者が溢れれば、最低限どの生活すらままならないなら生活保護受給者も当然増えるでしょう。
今の生産性のない会社を延命させるために、将来の人たちの税金で貧困者に生活保護を支払うというツケが回ってきます。
 
 
話を戻しますが、国民年金保険料を支払う事すらままならない人が非正規雇用者の中に多く存在するという事は、将来も貧困に苦しむという事になります(非正規雇用者2000万人のうち1000万人ほどが厚生年金に加入できていない)。
現役時代も格差に苦しみ、年金生活者になっても年金格差に苦しむ事になります。
 
 
よって、そのような非正規雇用者の年金を引き上げる事で貧困を防ぐ目的として、今急速に進められているのが厚生年金加入への促進です。
 
厚生年金へ加入できれば、基礎年金はキチンと支払ったものとなり、さらにその上に給料に比例した年金である老齢厚生年金を受け取る事ができます。
また、厚生年金は厚生年金保険料の半分を会社側も負担しなければならないので(健康保険なども)、個人の社会保険料負担としては下がる事にも繋がります。
 
将来の年金額が上がり、そうすると将来の貧困を大きく改善させる事ができるわけです。
 
続きは12月15日金曜日20時(予定)に有料メルマガ号外で発行します。
 
3.これらは将来の人の年金水準を増加させる。
4.大衆迎合な政策には気をつける必要がある。
 

(12月以降の予定)

12月13日の第324号.障害年金総合事例2つ

12月20日の第325号.遺族年金総合事例4つ

12月27日の第326号.老齢の年金総合事例4つ

1月3日の第327号.従来の年金制度の遺族年金受給とカラ期間、そして老後までの年金事例。

1月10日の第328号.今の新しい障害年金と昔の制度の障害年金受給者の年金記録の違いと事例比較(重要)。

1月17日の第329号. 老齢の年金の源泉徴収と還付申告時の税金計算と、社会保険料天引き時の半額ルール。


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おはようございます!

年金アドバイザーのhirokiです。
 
久しぶりにつぶやきです。
今年はブログもメルマガもあんまり更新できずに、なんとなくお知らせ記事に偏ってしまって申し訳ありませんでした^^;
有料メルマガのほうは滞りなく発行させていただいてます。
 

今年は「まさか」な事が立て続き、個人的にしんどかった年でした。

でもなんだかんだで「禍を転じて福となす」結果となった事で、やっぱり運が良かったなと感じています。
 

3ヶ月ほど前に時々参拝している氏神様の神社で、ちょっと疲れた自分が神様に弱音を吐いたりしました。
 
その時に何かこう強く聞いてもらってるような感覚になり、また風も無いのに1つだけしめ縄の紙垂(あの白く垂れてるやつ)が不自然に揺れまくってるのを見て、まるで子供が親に励まされてる感覚になりました。
 
誰もいない神社の空間の中だったので、しばらくずーっとその大きく1つだけ揺れ続ける紙垂を見ていました。
 
帰る途中に振り返った時もその紙垂は揺れ続けていて、とてもありがたいなあと元気をもらえました^^
不思議な光景でした。
 
 
では本題です。
 
少子化が進行していった事で、よく孫のいない人生を不幸だと嘆く高齢者の話が出たりします。
それを聞くと、どこまで行っても無いものねだりなんだなと感じました。
 
残念ながら世の中の多くの人はその欠乏感に苦しみながら生きている。
 
先ほどの高齢者の話であれば恋愛、結婚、そして子供を得たその経験ができただけで十分幸せじゃないかと。
 
結婚できた時、これ以上の幸せはないと感じたはずでしょう。
 
それなのに喉元過ぎれば熱さを忘れて、次は子供がいない自分は不幸だと思うようになる。
 
子供が出来て幸せの絶頂、もうこれ以上の事は要らないと思いきや、2人目3人目ができない自分は不幸だと思い込む。
あの人は2人3人と子供がいるのに私はなんで「1人」しかいないんだろうと憂鬱になる人もいる。
 
満足な人数の子供をもうけたとしても、今度は孫が居ない事に不幸を感じる。
 
 
まあ、人の幸せは相対的なものなので、そんな事で悩むなよって言っても本人にとっては重大な問題なのだろう。
 
 
結局は、足るを知らなければいつまでも幸せにはなれない。 
何かを手に入れなければ幸せにはならないという価値観の人は永久に欠乏感に苦しむ事になる。
 
これはまさに執着。
 
 
今ある当たり前の幸せに目を向けず、いつもどこか足りない部分を見てるからその欠乏感から抜け出せない。
 
例えば怪我して、まともに歩けないとか手が使えなくなった時、こんなに不自由なものなのか!と思ったはず。
そして回復してまともに体が動く事がこんなに素晴らしい事だったなんてと感動したはずですよね。
 
体が動くなんて当たり前だと思ったのに、一旦その当たり前を失うとその有り難みをしみじみと思い知らされる。
 
そういう事から学ぶはずなのに、時間が経てば感謝の気持ちを忘れてしまって、また無いものねだりの日常に傾いていってしまう。
 
 
自分は40歳になった時それまでの手に入れる人生から、余計なものを手放す人生へとシフトした事から、できるだけ持たない人生を選ぶようになった。
頭や精神や体に投資はし続けるけど、物質的な事は必要最低限にして、死ぬ時は手ぶらにしておきたいと思う。
 
 
世の中は持つモノや人との繋がりを増やせば増やすほど精神をすり減らされ、時間も奪われる事になる
 
周りにいろんなものがあればあるほど、何が大切なのかわからなくなり、本当に大切な事を大事に出来なくなる。
 
 
長年生きてきていろんなものだらけになってしまった人生から、手放す人生へと変わるととても身軽になる。
 
自分は自分の軸で生きる事になり、他人のための人生とお別れになる。
 
 
何かを手に入れなければ幸せにならないという考えに囚われ続けるという事は、つまりその外にある何かがあなたから無くなってしまえばすぐに不幸になるという事になる。
 
外に築いたたくさんの手に入れたものはあまりにも脆い。
 
 
自分のものだと信じて疑わない子供や孫でさえ彼らは一人の人格であり、決してあなたの思い通りにならない。
 
そして彼らが大人になればあなたから去っていき、配偶者もこの世から去りいずれあなたは一人になる時が来る。
 
手に入れる事でたくさんのものを手に入れる事が幸せだと感じている人は、いずれ来るその孤独に耐えられず、失意に嘆く事になる。
 
外に幸せを求めてる間は結局はいつまでも欠乏感に囚われる人生を送り、自分自身の内面を充実させて自分自身に満足している人はいつも幸せなんだろうなと思う。
そうすると、自分の周りに人が居ようが居まいが、モノがあろうが無かろうが大した問題ではなくなる。
 
 
どうしていつも群がらないと気が済まず、そして何か物を手に入れ続ける事に向かう人がいるのか。
それは自分の内面が乏しいから、その満ち足りない不幸な自分を幸せにしてくれるものを外に求め続けるからです。
 
内面が乏しい自分に耐えられないから自分自身と向き合わざるを得ない孤独という状況に耐えられず、外の喧騒でそんな自分を紛らわす。
 
多くの人は自分自身の内面の乏しさに向き合う苦しみより、他人との面倒臭い関わりや他人との悩みに苦しんだ方がラクなのであります。
 
 
その昔、人は自由を勝ち取ったものの、結局何をしていいかわからないから何か自分に目的を与えてくれるものに飛びつく。
 
それが善なのか悪なのかわからないけども、退屈という苦痛を紛らわすために。
だから昔の凶悪な独裁者の言葉巧みな言葉に易々と流されていった。
 
 
この世界は資本主義により何もかも豊かになり続けた。
しかし、心などの見えない世界は豊かにはならなかった。
 
あまりにも合理性を追求した結果ではあるけども…
 
 
足るを知り、自分に満足している人は誰かと居ても居なくても、なんとなく楽しそうで穏やかな表情をして落ち着いている。
 
自分自身に対する揺るぎない信頼がいつも自分を満たしてくれるのだろう。



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11月29日水曜日の第322号.未納が多いのに遺族年金が貰える場合と貰えない場合の重要事例。


(11月にすでに発行した記事は月の途中で登録された場合は即座に記事が送信されます)

11月1日の第318号.あの人の2倍給料貰ってたなら、自分の年金はあの人の2倍になるが、年金は低所得だった人ほど有利になっている。(発行済み)

11月8日の第319号.共済が厚年に統合される前から年金が貰える人と、統合後に年金が貰える人の大きな違い事例。(発行済み)

11月15日の第320号.昭和61年3月31日までに共済を貰う資格がある人は、昭和6年4月1日以前か2日以降生まれでは年金が全く違う(発行済み)

11月22日の第321号.障害年金受給者の年金受給終了までの一般的な流れと受給事例。(発行済み)

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(以降の予定)

11月29日の第322号.未納が多いのに遺族年金が貰える場合と貰えない場合の重要事例。

12月6日の第323号.父母が子の死亡による遺族年金を受給する場合の同居時と別居時、そして隠し子の存在。

12月13日の第324号.障害年金総合事例2つ

12月20日の第325号.遺族年金総合事例4つ

12月27日の第326号.老齢の年金総合事例4つ

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こんにちは!

年金アドバイザーのhirokiです。
 
 

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1.国民年金のみの加入中に初診日がある場合に受給できる障害基礎年金。

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20歳になると誰もが国民年金に強制加入となりますが、その加入中に病気や怪我で働けなくなるとか、日常生活に支障が出るような事になった場合は、国民年金から障害年金が出る場合があります。

 

もちろんそのような状態になったら自動で支給してもらえるわけではなく、必ず請求をしてもらわなければいけません。

 

そして請求する場合は、以下の条件を満たす必要があります。

 

 

まず初診日です。

 

初診日というのは、その病気や怪我で初めて病院に行った日となっています。

 

その初診日がわからないと障害年金は請求不可となるため、非常に重要な日となります。

 

この初診日を基準として、何の年金を出すのか、そしてその初診日という保険事故までに一定の年金保険料を納めてきたのか(もしくは免除だったのか)を確認しないといけないためこの初診日がわからないと先に進む事ができません。

 

 

よって、まずはこの初診日がどこなのかを探す事から全てが始まります。

 

 

初診日は病院のカルテに保存されてるので、病院に聞けばわかるでしょうと思われますが、通院しなくなってから5年を超えてしまうと保存義務がなくなってしまうので初診日の記録が残っていない場合があります(5年超えても保存してる場合もある)。

 

そういう場合は請求までの難易度が上がってしまいます。

 

 

特に慢性疾患などは、初診日から随分と時が経ってから重病化してくる事があるため、重病化した時に障害年金を請求しようとしても何十年も前の初診日を取る事ができなくて請求を諦めてしまうケースもあります。

 

 

糖尿病とかも血糖値のコントロールが悪いと10年、20年とか経った時に合併症などが出たりしますからね…

 

その時に糖尿病で初めて病院行った日の記録を取ろうとしても、記録がないというような事が起こりえます。

 

 

後々、悪化する可能性があるような傷病の場合はあらかじめ初診日の記録や客観的な資料を取っておくなどをしておくと安心です。

 

 

その初診日がわかると、次は保険料の納付要件を見ます。

 

 

年金は保険なので、初診日という保険事故が起こるまでに、自分の力である程度真面目に備えてきたかな?という事を確認するために、初診日までの納付記録を確認します。

 

 

過去に未納が多すぎたりすると、そこで障害年金は請求不可となったりします。

初診日の前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合は、その3分の2以上が納付済みもしくは免除でなければいけません。

 

 

それが満たせないなら特例として、初診日の前々月までの1年間に未納がなければそれでも構いません

まあ、基本的には手っ取り早く最初にこの1年間の方を見ます。

 

 

初診日は頑張って探すなどの努力をすれば何とかなる事もありますが、この保険料納付記録はもう変えようがないのでどんなに何とかしてくれと思っても厳しいところです。

 

 

よって、できるだけ未納にしない事が肝心です。

 

 

年金保険料はそれなりに高い(令和5年度は16,520円)ので、なかなか経済的に厳しいという場合もあると思います。

 

そういう時は保険料の免除申請をして、未納にしないという事が大切です。

 

 

保険料の全額免除だと全く保険料を納めないですが、そこは過去の保険料納付状況を見る時は未納扱いにしません。

 

障害年金を請求しようという時にはこの免除期間が本当に力を発揮するケースが多いものです。

 

 

なお、未納の問題が生じるのは国民年金のみに加入していて、自ら国民年金保険料を支払わなければならない人(自営業や自由業、失業者、フリーターなどの人)なのでサラリーマンや公務員のような厚生年金加入中の人には未納の問題は生じません。

 

 

厚生年金は給与から強制的に保険料を天引きするので、未納にはできません。

 

 

さて、初診日と保険料納付要件を満たすと早速、障害年金を請求したいと思うところですが、初診日から1年6ヶ月経たないと実際の請求はできません。

 

 

病気や怪我で日常生活に支障が出てるからってすぐ請求できるわけではないんですね。

 

 

その病気や怪我が一過性のものではない事を確認するために、1年6ヶ月という期間が設けられています。

 

ちなみに1年6ヶ月というのは健康保険からの給付が出たりするので、それと被らないようにしているというのも理由ではあります。

 

 

なお、この1年6ヶ月経った日を障害認定日といい、ここから3ヶ月以内の病状(現症という)の診断書を医師に書いてもらってその診断書により障害年金を出すかどうかを決めます。

(障害認定日時点で対象外だったとしても、その後に悪化した場合はその時点で請求して受給する事ができます

 

 

ようやく請求までこぎ着けても、診断書の内容いかんによっては障害年金が出ない事もあります。

 

 

このように障害年金は初診日を見つけたり、過去の保険料納付要件を見たり、医師に診断書を書いてもらったりと結構時間がかかってしまう年金です。

これ以外にも自分で病歴を書かなければならない書類もあります。

 

 

なので請求すると決めてから、実際の受給までは半年ほどかかるケースも珍しくはありません。

 

 

 

ザッと流れを書きましたが、今回は国民年金からの障害基礎年金受給と停止されるまでの流れを考えていきたいと思います。

 

 

ちなみに国民年金からの障害基礎年金を受給する人は、初診日が国民年金のみの加入中だった人となります。

 

他に年金加入前の20歳前から傷病があった人に支給する障害年金も障害基礎年金ではありますが、今回はそれは割愛します。

 

 

というわけで障害基礎年金を受給中の人の年金記録を見ていきましょう。

 

 

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2.国民年金のみ加入中の病気により障害基礎年金を受給。

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◯昭和53年8月5日生まれのA子さん(令和5年は45歳)

・1度マスターしてしまうと便利!(令和5年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法。

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12780334941.html

 

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方(令和5年版)

https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12782489170.html

 

 

20歳になる平成10年8月から平成13年3月までの32ヶ月間は大学生でしたが、平成12年3月までの20ヶ月は未納にして平成12年4月から平成13年3月までの12ヶ月は学生納付特例免除により国民年金保険料は全額免除にしていました。

 

なお、大学生とはいえ国民年金の強制加入になったため未納にしていると、催促状などが普通に届きます。

 

 

悪質な場合は財産差し押さえに発展する事もあります(所得が300万以上の人は特に)。

 

あまりに無視していたので、不安になり平成12年5月に市役所に行くと、免除申請をしてくださいとの事で免除申請をして平成12年4月以降の期間が免除となりました。

 

 

ところで今の令和時代の免除申請って、申請して承認されると過去2年1ヶ月と翌年6月まで一気に免除にしてもらえたりしますが(平成26年4月改正)、この当時は申請月の前月以降で翌年6月(学生は翌年3月)までが免除期間となりました。

 

平成13年4月になると非正規雇用者として就職し、厚生年金ではなく自ら国民年金保険料を納める必要がありました。

 

 

平成13年4月からはなんとか国民年金保険料を納めていましたが、体の異変を感じていたため平成14年11月11日(初診日)に行ったB内科で腎臓の病気の疑いを指摘され、紹介状を貰ってC総合病院にて平成14年12月8日からは通院治療を行う。

 

 

A子さんはそのまま働き続け、平成13年4月から平成20年6月までの87ヶ月間は働き続けました(6月末に退職)。

この間は国民年金保険料を納め続けました。

 

 

さて、A子さんの初診日は平成14年11月11日であり、1年6ヶ月経過した日である平成16年5月11日時点の病状は普通に働けていたので障害年金の請求はしませんでした。

 

もし国民年金の障害基礎年金を受給したい場合は、障害等級としては1級と2級がありますが、2級の目安としては働けないとか働くのが非常に困難というくらいが目安です。

 

 

そんなA子さんは平成19年あたりから急激に腎臓の数値が悪くなり会社も休みがちになったので、あらかじめ調べておいた障害年金の請求がしたいと考えていました

 

平成20年2月からは人工透析が必要となり、ちょうどその時に障害基礎年金の請求をする事になりました。

 

 

ちなみに、初診日はB内科(初診日は平成14年11月11日)ですが、問い合わせたところ初診日の記録が残っていないとの事だったので初診日証明が取れませんでしたが、現在通っているC総合病院のカルテにB内科からの紹介状にて初診日の記載があったのでそれで初診日は可能でした。

 

 

次に初診日の前々月までに国民年金の被保険者期間がある場合はその3分の1を超える未納があってはいけないという条件をみないといけません。

 

 

つまり20歳になる平成10年8月から初診日の前ん前月である平成14年9月までの48ヶ月のうち未納が3分の1(33.33%)を超えてはいけないという事ですね。

 

そうすると未納期間は20ヶ月あるので、未納割合は20÷48ヶ月=41.66%>33.33%。

 

 

という事は原則だと保険料の納付要件を満たさないので、特例を使います。

 

一般的には特例の方を先に見ます。

 

 

そうすると初診日の前々月までの1年間(平成13年10月から平成14年9月)に未納はないので、保険料納付要件は満たします。

 

 

医師に診断書を書いてもらい、障害年金の請求を平成20年3月6日にやり、4ヶ月後の平成20年7月に障害基礎年金2級の支給決定が下りて、請求月の翌月分(平成20年4月分)の年金から遡って受給できる事になりました(事後重症請求という)。

 

 

請求日である平成20年3月6日が受給権発生日である障害基礎年金2級→定額の795,000円(令和5年度価額。月額66,250円)

 

・令和元年10月分からは障害年金生活者支援給付金→月5140円(令和5年度額)

 

 

請求月の平成20年4月分から7月分までの4ヶ月分(66,250円×4ヶ月=265,000円)を8月15日に振り込み(8月ではなく9月15日にズレる事もあります)。

その後は偶数月に前2ヶ月分を支払う事になりました。

 

 

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3.障害基礎年金2級受給決定後の国民年金保険料と、受給の更新。

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障害基礎年金2級の受給権者になったので、受給権発生月の前月以降の国民年金保険料納付期間は法律上当然に全額免除期間となります(法定免除)。

 

よって、平成20年2月から平成20年6月まで納めた国民年金保険料は還付となります(受給権発生日である3月6日前に納めていたら還付にはならない。3月6日以降に納めていたとします)。

 

 

なので平成20年2月から平成20年6月までの5ヶ月間は法定免除となり、その後の平成20年7月からの平成23年9月までの39ヶ月も法定免除としました。

 

 

法定免除は平成21年3月までの期間は老齢基礎年金の3分の1に反映し、平成21年4月以降の期間は2分の1に反映します。

 

 

さて、A子さんは平成23年10月にサラリーマンの男性と婚姻し、年収も180万円未満(障害等級3級以上の人は130万ではなく180万)だったので国民年金第3号被保険者となり令和5年11月までの現在146ヶ月間は国民年金保険料を納めなくても納めたものとなりました。

 

なお、障害基礎年金受給者は法定免除になるのですが、サラリーマンの扶養に入って国民年金第3号日保険者になったり、厚生年金(国民年金第2号被保険者)に加入できた場合は法定免除とはなりません。

 

 

次にA子さんの障害基礎年金はずっと貰えるというものではなく、1~5年ごとの診断書の更新をしないといけません。

更新の時の病状によっては障害年金が停止されたり、逆に等級が上がって年金額が増える事もあります。

 

 

人工透析は大体5年更新ですね。

 

 

更新月はA子さんの誕生月によるため、8月更新となります。

令和元年以降の改正で更新診断書は誕生月の3ヶ月前の末ごろに送付されてきて、誕生月の末までに医師に書いてもらって提出します。

 

 

令和元年8月が更新月だったとし、その時のA子さんの状態は腎臓移植(平成30年中に腎臓移植手術を受ける事ができたとします)を受けていました。

 

 

経過としては順調でしたので障害年金は停止かな?と思われましたが、移植手術後の最初の更新は従前の等級のまま支給して、その後の経過も本当に順調であれば次回の更新時は障害年金が停止される場合が多いです。

目安としては移植術後1年間は従前の等級で支給するとなりますが、総合的に判断されます)。

 

 

令和元年8月更新後の次の更新は3年後の令和3年8月となったとします。

 

 

令和3年8月の時の更新は腎臓も順調であり問題はなかったので、等級が2級から3級にすら満たないものとなりました。

 

2級の年金は令和3年11月分までは受給する事ができ、12月分以降から停止となります。

(等級が下がる場合は更新月の4ヶ月後から変更。等級が上がる場合は更新月の翌月から)

 

 

よって令和3年12月分の年金からは停止となり、A子さんは障害年金の受給は無くなりました。

 

 

なお、受給はしていませんが障害基礎年金の受給権が消滅したわけではなく、最低でも65歳までは障害基礎年金の受給権者となります。

 

なので65歳までにもしまた病気が悪化した場合は、診断書を書いてもらって障害基礎年金の停止を解除してもらう手続きをしてもらいます。

 

 

その時はまた初診日とか納付要件とかそういうのは見ません^^;もう年金機構でわかってる事だからですね。

 

 

なお、障害基礎年金の等級が2級から3級にすら該当しない程の程度になったので、国民年金保険料はもうこれからは普通に納めなければならないかというとそうではありません。

 

 

令和3年12月に3級にすら該当しなくなって3年が経過した月(令和6年12月)までは法定免除を使う事ができます。

しかし、前述したように令和5年11月までは国民年金第3号被保険者だったとします。

 

 

なので、令和5年12月から令和6年12月までの13ヶ月はまた法定免除とします。

 

 

令和7年1月から60歳前月の令和20年7月までの163ヶ月はまた国民年金保険料納付とします。

 

 

ーーーー

4.A子さんの65歳からの年金総額。

ーーーー

まず年金記録をまとめます。

 

・未納→20ヶ月

・学生納付特例免除→12ヶ月(年金額に反映しない)

 

・国民年金保険料納付済み→82ヶ月+163ヶ月

・法定免除→44ヶ月(平成20年2月から平成21年3月までの14ヶ月は老齢基礎年金の3分の1に反映。それ以降は2分の1)+13ヶ月(2分の1に反映)

・国民年金第3号被保険者→146ヶ月

 

 

◯老齢基礎年金→795,000円÷480ヶ月×(納付245ヶ月+法免14ヶ月÷3+43ヶ月÷2+3号146ヶ月)=795,000円÷480ヶ月×417.167ヶ月(小数点3位まで)=690932.8436円≒690,933円(1円未満四捨五入)

 

◯老齢年金生活者支援給付金→5,140円(基準額)÷480ヶ月×(245ヶ月+146ヶ月)+11,041円(免除基準額)÷480ヶ月×(44ヶ月+13ヶ月)=4,187円+1311円=5,498円(年額65,976円)

 

 

このように、障害年金は病気や怪我が治って通常の日常生活に戻ると年金は停止し、その後の年金は自分が今まで加入した年金記録での老齢年金受給となります。

 

障害年金2級受給者の間は保険料が免除になって助かるのですが、将来の老齢基礎年金額が下がる事になるので、免除期間がある場合は10年間は遡って保険料を納める事ができるため(追納という)、追納しておいた方がいいですね。

 

 

また、平成26年4月からは障害年金2級受給者も申し出れば通常通り国民年金保険料を納めていく事ができるので、将来の年金の事が心配であればそれも利用していいのかなと思います。

 

なお、人によっては障害年金が終身で支給される場合がありますが、そういう人には無理に国民年金保険料を支払うように勧めません(多くは老齢基礎年金より障害基礎年金の方が有利だから)。

 

 

それでは本日はこの辺で。

 
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11月29日水曜日の第322号.未納が多いのに遺族年金が貰える場合と貰えない場合の重要事例。


(11月にすでに発行した記事は月の途中で登録された場合は即座に記事が送信されます)

11月1日の第318号.あの人の2倍給料貰ってたなら、自分の年金はあの人の2倍になるが、年金は低所得だった人ほど有利になっている。(発行済み)

11月8日の第319号.共済が厚年に統合される前から年金が貰える人と、統合後に年金が貰える人の大きな違い事例。(発行済み)

11月15日の第320号.昭和61年3月31日までに共済を貰う資格がある人は、昭和6年4月1日以前か2日以降生まれでは年金が全く違う(発行済み)

11月22日の第321号.障害年金受給者の年金受給終了までの一般的な流れと受給事例。(発行済み)

ーーーーーー
(以降の予定)

11月29日の第322号.未納が多いのに遺族年金が貰える場合と貰えない場合の重要事例。

12月6日の第323号.父母が子の死亡による遺族年金を受給する場合の同居時と別居時、そして隠し子の存在。

12月13日の第324号.障害年金総合事例2つ

12月20日の第325号.遺族年金総合事例4つ

12月27日の第326号.老齢の年金総合事例4つ


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おはようございます!
年金アドバイザーのhirokiです。


まず先に本日11月15日水曜日の20時の有料メルマガご案内です。

11月15日の第320号.昭和61年3月31日までに共済を貰う資格がある人は、昭和6年4月1日以前か2日以降生まれでは年金が全く違う(重要)

・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(月額770円税込み毎週水曜日20時にメルマガ発行)
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(はじめに)
今の年金は国民年金から65歳になると老齢基礎年金、厚生年金や共済年金からは老齢厚生年金が支給されるものであるというのが一般認識です。

その基準となるのは大正15年4月2日以降生まれの人がその年金を受給します。

しかしながら大正15年4月1日以前生まれの人(令和5年に97歳以上くらいの人)に限ってはそれらの年金をもらわずに、昭和61年3月31日までに存在した旧年金制度からの年金を受給しています。

大正15年4月1日以前生まれの人(大正14年度までの生まれ)は旧年金制度時代の昭和61年3月31日までに60歳に達するので、必ず旧年金制度の受給者となります。


大正15年4月2日以降生まれの人(昭和元年度以降生まれ)は新年金になった昭和61年4月1日以降に60歳を迎えるので、その人たちは現在の老齢基礎年金とか老齢厚生年金を受給します。

新か旧かの判断は大正15年4月1日以前生まれか、4月2日以降生まれかで判断するといいです。


しかし、本日20時に発行する有料メルマガは昭和6年4月1日までの生まれか、昭和6年4月2日生まれかで新旧を判断する事例になります。

これが関わってくる人は共済期間がある人になるのですが、昭和61年3月31日までに共済期間が20年以上を満たして退職すると昭和6年4月1日までの生まれの人は旧年金制度を受給し、昭和6年4月2日以降生まれの人は新年金制度を受給します。


ところが新年金制度の人も共済年金に限っては旧年金を受給して、国年や厚年は新年金を受給するという年金記録を持った人がいます。

どうして昭和6年度前後で分けるのか、どうして1人の人が新旧2つの年金を受給するという普通では考えられない事が起こっているのかを事例で考えていきます。

重要な部分ではありますが事例はあまり複雑にならないように、できるだけ標準的な内容にしています。

(本日の有料版ご案内はここまで)



では本題です。
(この無料メルマガで発行している記事内容は有料メルマガ記事の内容とは異なります)。

ーーーー
1.大正15年度前後生まれで全く年金の形が異なる。
ーーーー

現在の年金制度は65歳になると国民年金から加入期間に比例した年金である老齢基礎年金、そして厚生年金や共済年金に加入していた場合は老齢基礎年金の上に過去の報酬に比例した年金である老齢厚生年金を支給するという形がベースになっています。

昭和61年4月1日に新年金制度になって以降に60歳を迎えて年金を貰う人は全てその形となります。


しかしながら新年金制度になる前の従来の年金制度だった昭和61年3月31日までに60歳に到達した人などは今の年金の形とは全く違う年金を受給しています。

それは大正15年(1926年)4月1日以前生まれの人です(令和5年に主に97歳以上の人です)。


その人たちは昭和61年(1986年)3月31日までに60歳になるので、今の常識となっている年金の形とは全く違う年金を受給しています。

新年金制度前に60歳になってた人は今も従来の年金を受給しています。


昭和61年4月からは新しい年金に改正されたんだからそれに変更して支給するんじゃないの?と思われそうですが、年金というのは法律が変わってもその新しい法律になる前の制度での年金を受給できる人は、従来の制度で支払います。


これを経過措置と言いますが、これが年金を複雑にしている原因の一つでもあります。
法律が変わっても終わったはずの昔の法律が亡霊の如く存在し、しかも影響し続けるのであります。

よって年金というのは今の最新の仕組みだけを追いかけるわけにはいかず、必ず年金の歴史とセットになります。
なので僕の記事ではちょくちょく年金の歴史を混ぜて書く事が多いわけです。


なぜ新しい法律になっても、従来の古い法律に基づいた年金を支給したりするのか。


それは年金というのは老齢の年金であれば老後の生活保障をするものであり、あらかじめ決められた計算式で支給されるという期待を持ってそれまで保険料を支払ってきました。


そろそろその計算式に基づいた年金が支給されるよね!って思ってたら、急に法改正で計算式が変わってしかも低い金額になってしまったら生活設計が狂いかねないですよね。

年金は大切な生活資金なので、法改正されるたびにコロコロ変わられたらたまりません。


よって、古い法律の時にすでに年金を貰う条件を満たしていたなら、その後に法律が変わってもその年金を一生涯支給し続けるという事をします。

なお、そのような経過措置が用いられるのは多くは老齢の年金の方です。


遺族年金(500万人ほど)や障害年金(230万人ほど)は老齢の年金(4000万人ほど)に比べて受給者がかなり少ないので、影響が大きい老齢の年金の方に経過措置が用いられる事が多いです。

というわけで今回は大正15年4月1日までの人の年金と、大正15年4月2日以降の現在の年金を受給する人の年金を比べてみましょう。


年金の中身も全く違います。
なお、旧年金の計算式は無理に覚えなくて構いません。

もう終わった制度だからですね^^;僕は知っておかなきゃいけないですが…


ちなみに新年金制度が適用されるのは大正15年4月2日以降生まれの人ですが、この生年月日以降の人は昭和61年4月1日以降に60歳になるから新年金制度の人になるわけです。


ーーーー
2.現在の年金制度の人。
ーーーー
◯昭和20年7月5日生まれのA夫さん(令和5年は78歳)

・1度マスターしてしまうと便利!(令和5年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法。

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方(令和5年版)。


18歳年度末の翌月である昭和39年4月から昭和59年3月までの240ヶ月間は厚生年金に加入しました。
この間の平均標準報酬月額は35万円とします。
(20歳になる昭和40年7月から昭和59年3月までの225ヶ月間が老齢基礎年金に反映。20歳前の15ヶ月間は老齢基礎年金の計算の上ではカラ期間になります)


退職し、昭和59年4月からは国民年金に普通なら強制加入になりますが、厚生年金期間が240ヶ月以上の人は昭和61年3月までは国民年金に任意加入でした。

この24ヶ月間は任意加入しなかったため、期間としては未納ではなくカラ期間となります(カラ期間は老齢の年金を貰うための最低受給資格期間10年の期間に含みます。平成29年7月31日までの場合は25年必要)。


ちなみにこの24ヶ月に専業主婦などの配偶者がいた場合は、その妻も国民年金任意加入扱いになります。
サラリーマンの専業主婦だった期間も任意加入しなければもちろんカラ期間の扱い。



ちなみにどうして昭和61年3月までは厚年期間が20年以上ある人を国民年金に強制加入させなかったかというと、従来の法律は厚生年金20年以上あれば将来は厚生年金が受給できるので、わざわざ国民年金に強制加入させる必要はないと考えられていたから。


配偶者である妻も強制加入にしなかったのは、将来夫が受給する厚生年金から配偶者加給年金が支給されて妻の保障がなされるので国民年金に強制加入させる必要がないと考えられたからです。


さて、昭和61年4月になるとそのような人も全て国民年金の被保険者にするという形に変更され、60歳までは国民年金の強制加入となりました。

よって、A夫さんもその妻も国民年金の被保険者として強制加入となりました。



A夫さんは昭和61年4月から平成4年5月までの74ヶ月間は国民年金納付して、平成4年6月から60歳前月の平成17年6月までの157ヶ月間は未納にしました。

さて、A夫さんはいくらの年金を受給するでしょうか。


A夫さんの生年月日であれば、年金受給資格期間が25年以上あれば厚生年金は60歳から受給できます。
全体で25年に足りなくても、昭和27年4月1日以前生まれの人は厚年期間(共済も含めていい)が20年以上あればそれでも受給権が発生しました。



まず年金記録を整理します。


・厚年期間→240ヶ月
・カラ期間→24ヶ月+15ヶ月(20歳未満の厚年期間は老齢基礎年金においてはカラ期間)
・国民年金保険料納付→74ヶ月
・未納→157ヶ月

よって、全体の年金の受給資格期間は300ヶ月以上(25年以上)を満たしているので年金を受給できます。
なお、前述したように厚年で240ヶ月あるので、これのみでも満たしています。


60歳から特別支給の老齢厚生年金が受給できますが、それは省いて65歳からの年金額を計算していきましょう。
(久しぶりに計算は従前保障額にて計算しています。乗率が5%高い計算→いつもは7.125とか5.481でやっていますが5%高い7.5や5.769での計算です)


※厚生年金受給開始年齢(厚生労働省)


・老齢厚生年金(報酬比例部分)→35万円(平成6年再評価率を用いての額とします)×7.61(生年月日による乗率)÷1000×240ヶ月×従前保障額令和5年度改定率1.014=648,189円


・老齢厚生年金(差額加算)→1,652円(68歳以上の人)×1.032(生年月日による乗率)×240ヶ月ー792,600円(68歳以上の人の老齢基礎年金満額)÷480ヶ月×225ヶ月(昭和36年4月1日以降の20歳から60歳までの厚年期間)=409,167円ー371,531円=37,636円

・老齢基礎年金→792,600円÷480ヶ月×(20歳以上60歳までの国年同時加入の厚年225ヶ月+国年納付74ヶ月)=493,723円



ちなみに65歳時に65歳未満の生計維持している配偶者がいると、配偶者加給年金が付く場合がありますが、A夫さんの生年月日によると63歳時点で65歳未満の配偶者がいるかどうかを見ます(受給開始年齢の表のリンクを参考)。
A夫さんが65歳以降も妻は65歳未満だったとします。


よって、65歳以降の年金総額は老齢厚生年金(報酬比例部分648,189円+差額加算37,636円)+配偶者加給年金397,500円+老齢基礎年金493,723円=1,577,048円(月額131,420円)

なお、配偶者加給年金は原則として妻が65歳になるまで。


※参考
厚生年金の報酬比例部分の乗率はいつもなら7.5でありますが、昭和61年4月からの新年金制度以降にその乗率を20年かけて10から徐々に7.5まで引き下げていったので(大正15年度~昭和20年度生まれまでの20年間)、その最中にあるA夫さんは7.5より少し高い7.61になっています。

昭和21年4月2日以降生まれの人は全て7.5(平成15年4月以降は5.769)です。

この経過措置の数値は膨大なので表を見て確認します^^;暗記するところではないので(笑)


差額加算を計算する際の1.032という生年月日による乗率もその名残です。
昭和61年4月1日以降に大正15年度から昭和20年度までの生年月日20年かけて乗率を引き下げていく過程になるので、やや高い乗率になっています。

元々は乗率は1.875ありましたが1.000まで引き下げました(昭和21年4月2日以降生まれの人は全て1.000)。


ーーーー
3.大正15年4月1日までの旧年金制度の人の年金。
ーーーー
◯大正15年2月16日生まれのB男さん(令和5年は97歳)


20歳になる昭和21年2月は国民年金制度はまだ存在しておらず、また、会社勤めをしていなかったB男さんは何も年金には加入していませんでした。

昭和36年4月になると正式に国民年金制度が始まり、昭和37年3月までの12ヶ月間加入しました。


昭和37年4月から昭和57年3月までの240ヶ月間は厚生年金に加入。
なおこの間の平均標準報酬月額はA夫さんと同じく35万円とします。

厚年で20年以上あったので、昭和57年4月から60歳前月の昭和61年1月までの46ヶ月間は任意で国民年金に加入しました。


さて、いくらの年金を受給する事ができるでしょうか。


まず年金受給資格期間は厚年で20年以上あるのでそれで受給資格を満たします。
もし厚年単独で20年以上なければ国年や厚年、共済と合わせて全体で原則25年が必要ですが、B男さんは短縮措置あり(通算年金と言いますがこの記事では無視して話を進めます)。


・60歳からの厚生年金(報酬比例部分)→35万円×10(乗率)÷1000×240ヶ月×改定率1.016(←昭和13年4月1日以前生まれは少し高めの1.016)=853,440円

・60歳からの厚生年金(定額部分)→3099円(令和5年度旧厚生年金定額単価)×240ヶ月=743,760円

・65歳からの国民年金の老齢年金→2539円(令和5年度旧国民年金単価)×58ヶ月=147,262円

配偶者加給年金は228,700円。


よって年金総額は厚生年金(報酬比例部分853,440円+定額部分743,760円)+配偶者加給年金228,700円+国民年金147,262円=1,973,162円(月額164,430円)

この年金を終身受給します。
旧時代に老齢基礎年金とか老齢厚生年金というものはありません。


なお、配偶者加給年金は新年金制度よりも少ないですが、妻が65歳を超えても加算され続けます。
旧年金は妻がいる限り支給されるものでした。

妻が死亡するか、妻と離婚などしない限り加給年金は付き続けます。
新年金制度の加給年金は配偶者が65歳になると消滅しますが…


また、昭和61年3月31日までの制度は国民年金も厚生年金も共済も独立した存在だったので、原則25年の年金受給資格期間を満たした上で年金支給はそれぞれが加入した分での計算になります。

それに、年金加入期間は最低でも1年以上ないと受給できません。

例えば国民年金がこの場合は58ヶ月ありますが、もし12ヶ月未満の10ヶ月程度しかなければ10ヶ月分は掛け捨てとなります。



…このように新年金制度による年金を受給しているA夫さんと、旧年金制度を受給しているB男さんの年金の計算は全く違うものになります。


その影響が大きい理由はやはり昭和61年4月1日以降から60歳になっていく人からは乗率を20年かけて引き下げていったりしたので、引き下げる前に年金受給権を得られた人は高めの乗率になっている事が影響しています。

ちなみにB男さんの年金は旧年金制度であり昭和61年4月以降は廃止されてるので、計算式を無理に覚える必要はありません。

ただし、今97歳以上くらいの人は今もその年金を経過措置として終身で受給します。


それでは本日はこの辺で!
有料メルマガは今夜20時に発行します。

11月15日20時の第320号.昭和61年3月31日までに共済を貰う資格がある人は、昭和6年4月1日以前か2日以降生まれでは年金が全く違う(重要)


ーーーー
(11月以降の記事)

11月1日の第318号.あの人の2倍給料貰ってたなら、自分の年金はあの人の2倍になるが、年金は低所得だった人ほど有利になっている。(発行済み)

11月8日の第319号.共済が厚年に統合される前から年金が貰える人と、統合後に年金が貰える人の大きな違い事例。(発行済み)

11月15日の第320号.昭和61年3月31日までに共済を貰う資格がある人は、昭和6年4月1日以前か2日以降生まれでは年金が全く違う(重要)

11月22日の第321号.障害年金受給者の年金受給終了までの一般的な流れと受給事例。

11月29日の第322号.未納が多いのに遺族年金が貰える場合と貰えない場合の重要事例。

12月6日の第323号.父母が子の死亡による遺族年金を受給する場合の同居時と別居時、そして隠し子の存在。

12月13日の第324号.障害年金総合事例2つ

12月20日の第325号.遺族年金総合事例4つ

12月27日の第326号.老齢の年金総合事例4つ

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・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(過去記事改訂版)
月額440円(税込み)で第1~4日曜日20時発行です。

11月5日「Vol21.年金は物価や賃金に変動するが、数多くの社会の変動に悩まされ改正に追われた」を発行しました。

11月12日Vol22.マクロ経済スライドによる将来の高齢者の年金水準を高める事と、物価や賃金による年金額の改定。を発行しました。

(改訂版バックナンバー)


・まぐまぐ大賞2022(語学資格部門1位)

・まぐまぐ大賞2022(知識教養部門3位)
こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。

先日書いた記事に少し文言を書き足したので新しい記事としてアップしました^^


ーーーー
1.民間保険や金融商品を売るために公的年金に対する不安が煽られてしまいがち。
ーーーー

年金の話になると国の年金は当てにならないとか、どうせ将来は年金もらえないという憶測が飛び交う事があります。
そんな話はもう50年くらい前から言われてましたが、偶数月になると滞りなく支払われ続けてきました。


公的年金は当てにならないけど、民間保険には入らないと不安だよねって事で、民間保険会社や金融機関の商品を物色して頑張って保険や金融商品を探す。

あまりにも種類が多すぎて何が自分にとって最善なのかわからないけど、営業マンのおすすめに乗って加入したりする。

国民年金保険料は払わずに未納にするけど、民間保険は加入して滞納せずに一生懸命保険料を支払うというパターンの人も存在します。


果たしてこれは賢い選択なのか。


結論から言うと適切ではなく、力をいれる順番が間違っています。


まず国の年金をしっかり支払う事を優先した上で(払うのが厳しければ免除制度を利用する。なお、厚生年金保険料は免除不可)、余力があれば民間保険に入るのが正常な流れです。


そうしないと将来何か起きた時に後悔する事になりかねないです。


よく、保険会社とか金融機関の営業マンの営業トークで年金は当てにならないとか、年金だけでは生活できませんからねえというような不安を投げかけてきます。

ニュースで年金不安な事が流れると、それをネタに金融商品や保険商品を売ろうとします。


その方が商品売りやすいからですね。

どうしても公的年金に対しての不安を民間会社は語りがちです。


しかし、それにまんまとはまってしまうと将来後悔しかねないし、無駄に高い出費を強いられる事になりかねません。
そもそも本当に国の年金が立ち行かなくなるような社会になった時に、民間会社の保険商品や金融商品が大丈夫なんて事はないでしょう。


▼ 
さて、民間保険商品というのは何か起こったらいくら払いますという事を決めますよね。
最近は高齢者の有病者でも入れる保険の広告を見かけたりしますが、亡くなったら100万円とかそういうのが多いですね。

簡単な告知で入れてよさそうに見えますが、実際はいろんな注意書きがあるはずなのでしっかり確認しないと払われない事になりかねないので注意です。
重要な部分ほど小さな字でギュウギュウに何か書いてありますからね^^;あの大量の小文字はしんどい。


また、一定期間保険を使わなかったらお祝い給付金を支給とかいうのがありますが、払い戻しをするという事はそれだけ多くの保険料を納めてもらうという事になります。

何年か病気も怪我もしなかったら給付金もらえてお得だー!と錯覚しそうですが、その分高めの保険料を払う事でそこから給付金を出すだけの話です。

そんな給付金などいらないから、月々の保険料を安くした方がいいんじゃないかって思います。

基本的に民間保険は掛け捨てで十分です。


あと、民間の個人年金保険商品が人気ですが多くは終身ではありませんし保険料が高額です。


世の中には保険商品が多すぎて訳わかんないのが多いですが、基本はシンプルに掛け捨てでいいのではと僕は思っています。

そして、積立の保険商品は世の中の物価などが上がってもそれにスライドする事はありません。
例えば将来死亡したら2000万円貰うとか、満期を迎えたら2000万円という金額を決めていたとしても将来は物価が上がり、必ずしもその貨幣価値とは限りません。

例えばもし今後50年後に物価が10倍になれば、その2000万円は200万円の価値しかない事になります。
そうなると十分な保障にはならないかもしれないですね。


いやいや物価が10倍なんてそれは言い過ぎでしょう(笑)と思われそうですが、過去日本でも物価が200倍とか300倍になった事がありましたからね。
第二次世界大戦後ですが、昭和10年から昭和30年までの間に300倍になったりしました。

よって、その時に蓄えていた人のお金はただの紙切れ同然になりました。

戦前の昭和17年から始まった厚生年金も最初は積立方式の年金でしたが、ハイパーインフレでその価値を失いました。


あと、民間保険で老後保障ならその商品、死亡ならそのための商品や特約、障害ならその商品や特約などいろいろ付けないといけないでしょう。

把握するのが大変ですね。



まあ、民間の会社だから収益を出す事が最優先なのでさまざまな商品を出して買ってもらうようにするしかありません。
そのためには国の年金は当てにならないなどという不安が漂ってくれた方が彼らには都合がいい。

老後資金2000万円問題という馬鹿馬鹿しい話が以前ありましたが、もう金融商品売るための格好のネタでしたよね。
今もその文言が使われたりしますが。

その不安が漂ってる最中こそ彼らにとっては書き入れ時となります。

彼らが商品を売るためには公的年金は不安の種であって欲しいのです。
悲しい事ですが。


ーーーー
2.公的年金は毎月1つの保険料で3つの人生リスクをカバーする。
ーーーー

さて、そんなめんどくさい民間保険ですが、公的年金はどうかというと少なくとも20歳になると強制的に国民年金の被保険者になり、60歳前月までは保険料支払い義務が課されます。


自営業や農家、学生、自由業のように国民年金のみ加入の人は毎月16,520円(令和5年度)の国民年金保険料を自ら支払う必要があり、サラリーマンや公務員は厚生年金に加入してるので厚生年金保険料が毎月給料やボーナスから9.15%の保険料が天引きされます。
会社も同じだけ9.15%の保険料を負担します。


公的年金に強制的に入ってますが、多くの人はこれが約40年以上先の60歳台になってから貰う老齢の年金のためと思っています。

だからそんな先の想像も付かない将来のために保険料を払い続けるなんてダルいなあと思うのでしょう。


しかし、毎月国民年金保険料や厚生年金保険料を払うだけで、老後の年金だけでなく、死亡時、障害を負った時の3つをカバーしているのです。


民間保険だとあれこれ特約付けたり、他にそういう保障をする保険に入って別に保険料を払う羽目になるでしょうけど、公的年金は1つの保険料を払えば人生の3大リスクである老齢、死亡、障害に対応しているのです。


しかも国民年金保険料は約17000円程度でそれらを保障する(厚生年金保険料は給料が高い人ほど保険料高いですが、一番高い人で月59000円くらい払う)。

もちろん17000円という保険料はなかなかの負担ですけどね…


まず老齢の年金ですが、今から約40年前の昭和60年に女性の平均寿命が80歳に到達し、それから人生80年時代と言われ始めましたが、今の令和の時代を生きる人は人生90年どころか100年時代と言われる事が珍しくなくなりました。


今60代や70代の人であっても、その後20年とか30年を生きても全然珍しくない時代を生きています。


そうなるといつまで生きるかわかんないですよね。


若い時は「いやもう自分はそんな長生きするつもりないからさあ(笑)」と冗談混じりに話す人がいますが、そうは言っても寿命をコントロールなんてできないし将来は思いのほか長生きするかもしれません。


60代になって、そこから20年も生きる事はないだろうと勝手に予測して、民間保険で20年契約にしていた場合に、もしそれ以上長生きしたらどうするのでしょうか。

お金の心配が絶えない中で長生きしても毎日穏やかに暮らすなんてできません。

もちろん長生きは良い事だと思われますが、いつまで長生きするのかわからないというのはリスクでもあります。
生きている間は当然お金がかかります。

ではそのいつまで長生きするのかわからないという不確実性の中を生きる上で必要なのは終身の年金でしょう。

それが公的年金です。


いつまで長生きしようが、死ぬまで定期的に年金を支払続けます。

老齢の年金は必ず終身で支払います。


超高齢の現代において、終身で支払ってくれる公的年金は欠かす事はできません。


原則として有期支払か一時金払いである民間と、国が終身で支払う公的年金はどちらが心強いでしょうか。


公的年金は何かこう積立金か何かと勘違いされますが、いつまで長生きするかわかんないからもし思いのほか長生きした場合のための保険に入っているわけです。

保険なんだから、何歳まで生きたら元が取れるか?というよくある議論など意味がありません。
まあ、敢えていうなら貰い始めて10年くらい受給すれば元は取れますが、だからなんなんだって話です。

保険で最も重要なのは、安心感です。


例えば皆さんは車を買ったら必ず自動車保険に入りますよね。
任意保険も非常に重要です。

こういう事故はもし起こったらとんでもない事になるので、その万が一の事態が起こっても安心が欲しいからこれらの保険に入っている。

結局、何の事故も起こさなかったから保険料の払い損だね~、元が取れなかったね~なんて話はしませんよね。

年金もそれと同じです。


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3.経済変動しても実質価値を維持して、貧困を防ぐ機能を持つ。
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次に年金を受給し始めてもその金額が、将来の経済変動についていかなければとても貧相な給付になりかねません。

前述したように、物価が将来10倍になれば2000万円もらっても200万円の価値になります。


民間保険はその経済変動のリスクには対応できませんが、公的年金は物価変動率や賃金変動率にスライドするので、実質価値を維持する事ができます。

遠い昔、年金制度は積立の年金から始まりましたが、昭和30年以降の高度経済成長を迎え年率10%の賃金の伸び、物価は約5%の伸びが昭和50年ごろまで続きました。
物価は平成10年まではずっとプラスでした。


年金はまだ積立の年金だったから、将来は金額的には例えば昭和40年改正時に月1万円を支給しますと決めて、それを目指すための保険料を徴収しました。

ところが経済成長で現役世代の賃金は年が変わるたびに伸びていく事で、年金額と現役世代との給与の差が広がっていきました。


積立金というのは物価や賃金の伸びには連動せずに運用利回りなので、物価よりも運用利回りが低いとどうしても積立金の価値が下がってしまいます。

もし積立のままで年金は月1万円ですって頑なに変えなかったら、現代で大層貧相なものとなり、高齢者の貧困問題で大問題になっていたでしょう。


積立方式では貧困という問題に対応できないため、多くの国が年金の実質価値を維持するための賦課方式に早い段階で移行していきました。
日本も昭和48年改正の時から正式に物価や賃金にスライドする方式に移行しました。

これにより、現役世代の賃金の何%を維持するという形になったのです。


実質価値を維持する形にすれば、今後どれだけ経済成長で物価や現役世代の賃金が伸びても、それに合わせとけばいいですからね。

物価が将来10倍になっても100倍になっても、年金はそれに連動していく。

実質価値を維持するというのは公的年金ならではの強みです。

なお、賦課方式というのは働いてる人の給料から払う保険料を受給者に送る形の方式のため、もし働く人たちの給料(賃金)が上がれば年金も上がる事になります。

賃金が上がるというのはモノに対する需要が増える事になり、物価が伸びていく事にもつながりますが、現役世代の賃金が上がれば年金も上がるので物価の伸びに自動的に対応する事になります。


今の国民年金の満額(20歳から60歳までの480ヶ月間完璧に納めた場合)は795,000円(68歳以上は792,600円)ですが、将来の物価や賃金が変わればこれらももちろん変わってきます。

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4.死亡リスクや障害リスクにも対応する。
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最後に、死亡したり障害を負った時ですね。

民間保険だと特約やら、別に保険に入る事が必要になるかもしれませんが、公的年金は毎月払っている保険料でこれらもカバーします。

国民年金の遺族保障は18歳年度末未満の子(障害等級2級以上の子は20歳まで)がいた場合は遺族基礎年金という年金が保障されます。

例えば35歳時の令和5年7月16日に妊娠中に夫が死亡し、その後の9月4日に出産した場合はその翌月である10月分から遺族基礎年金795,000円+子の加算金228,700円=1,023,700円(月額85,308円)が支払われます。

最大18年間受給するとすれば(妻が53歳まで)、総額18,426,600円の受給となります。


あと、夫死亡時に夫が厚生年金加入中であり、その時の給与が43万円(男子平均収入)だったとします。
厚年加入期間は加入して間もなかったとして50ヶ月とします。

そうすると、上記の遺族基礎年金と一緒に遺族厚生年金が43万円×5.481÷1000×300ヶ月(最低保障月数。300月より多い場合はその月数で計算)÷4×3=530,286円となり、これは終身年金(再婚などしなければ)なのでもし35歳から女子の平均余命90歳くらいまで生きるとすれば、総額29,165,730円を受給します。

なお、18歳年度末を迎えた以降は遺族基礎年金は消滅しますが、その後は遺族厚生年金に中高齢寡婦加算596,300円が53歳から65歳までの12年間(7,155,600円)支払われるとします。

そうすると7,155,600円が上記の約3000万円にプラスとなります。


妻が65歳になると妻自身の老齢基礎年金と老齢厚生年金と遺族厚生年金を受給します。
なお、遺族厚生年金は妻の老齢厚生年金分が差し引き支給されるので、65歳以降は必ずしも遺族厚生年金年額530,286円になるとは限らないので注意。


で、最後に障害を負った時ですが、これは初めてその病気や怪我で病院に行った日(初診日)を基準として、1年6ヶ月経った日(障害認定日という)以降に診断書書いてもらって障害年金を請求して障害状態を確認し、障害年金の受給を決定します。

状態がそこまで悪くなければ障害年金の受給に繋がらない事もありますが、その後に悪化したというような時は受給可能になってきます。


例えば22歳の大学生の時にスポーツの練習に励んでいる時に脊椎を損傷してしまい、脚がうまく動かなくなってしまったとします。
脊椎損傷は障害が残ってしまう事が多いので、今後の生活や就労に対して大きな不安が生じます。

ですが、国民年金加入中の時に初診日があり、1年6ヶ月が経過すると障害年金が請求できるようになります。
原則は1年6ヶ月待ちますが、もうこれ以上治りようがないと医師が判断した場合は、1年6ヶ月経つ前から請求できたりします。

仮に初診日から3ヶ月で治らないと判断された場合は、そこから障害年金を請求できます。


ちなみに、初診日までに国民年金の被保険者期間がある場合は初診日の属する月の前々月までにその3分の1を超える未納、または前々月までの直近1年間に未納がない事が必要ですが、20歳から22歳まで学生免除(学生納付特例免除)により1円も保険料を払っていなかったとします。


障害年金は請求できるのか。


この場合は未納ではなく、免除制度を利用してたので問題なく障害年金を請求できます。

請求する障害年金は初診日が国民年金のみの加入中だったので、障害基礎年金のみとなります。
年金は2級と1級のみですが、2級は795,000円で1級は1.25倍の993,750円となります。


障害年金は病気や怪我が軽快してくると、年金が停止になる事がありますが(1~5年間隔で診断書を提出しないといけない)、障害が続く間は年金が支給され続けます。

脊椎損傷により半身不随となったため1級の993,750円を終身受給と認定(永久認定という)されました。

もしこの人が85歳まで生きたとしたら、約60年間受給するので総額約6000万円の障害基礎年金を受給します。
65歳以降は障害基礎年金と老齢厚生年金は併給可能。

 
このように毎月1つの公的年金の保険料を支払ってるだけで、これだけの保障が用意されているのです。

特に若い働き盛りの世代にとっては遺族年金や障害年金は非常に重要な年金であります。


民間保険がダメだというのではなく、あくまで公的年金をベースとして、その上に足りない部分を民間保険で補うような形で考えるのが正常な順番となります。

公的年金は当てにならないとか、将来はどうせ貰えない…という言葉に騙されて、下手に未納にしてしまうととんでもない損を被る事になりかねません。
特に遺族年金や障害年金は死亡日や初診日までの過去の保険料納付記録を見なければいけません(原則として過去に3分の1を超える未納があると請求不可)。


よって、民間保険などを考える時は公的年金の事も合わせてプランを考えてくれるような営業担当を選びましょう。




それでは今日はこの辺で。

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(11月以降の記事)

11月1日の第318号.あの人の2倍給料貰ってたなら、自分の年金はあの人の2倍になるが、年金は低所得だった人ほど有利になっている。(発行済み)

11月8日の第319号.共済が厚年に統合される前から年金が貰える人と、統合後に年金が貰える人の大きな違い事例。

11月15日の第320号.昭和61年3月31日までに共済を貰う資格がある人は、昭和6年4月1日以前か2日以降生まれでは年金が全く違う(重要)

11月22日の第321号.障害年金受給者の年金受給終了までの一般的な流れと受給事例。

11月29日の第322号.未納が多いのに遺族年金が貰える場合と貰えない場合の重要事例。

12月6日の第323号.父母が子の死亡による遺族年金を受給する場合の同居時と別居時、そして隠し子の存在。

12月13日の第324号.障害年金総合事例2つ



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こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。

久しぶりにただのつぶやき記事です^^;


会社や何かの集団の中にいるとどうしても馬の合わない人や、嫌な人というものは付きものです。

僕が嫌いな人は人が嫌がるような事を平気で言う人とか、陰口を言う人です。

世の中にはどうしても誰も幸せにならないような事を言って人が傷つく事を何とも思わない愚かな人間がいるものですが、昔はそういう人に対してまともに相手してしまい疲弊したりしていました。
残念な事にそういう奴ほどしぶとい。

今の自分はそういう人はサラッと流すか、半径2キロ以内に近づけないくらいの気持ちで二度と関わらないかですね。
精神年齢が小学生のいじめっ子レベルで止まってる人と何で自分が口を聞いてやらなければならないのか。

わざわざ不愉快を撒き散らしてくる人間と同じ空気など吸いたくはないです。

ただ、会社などではどうしても顔を合わせないといけないケースは多いので、とにかく流しつつ近寄らないでねというオーラで威圧感を与えましょう。

自分は優しいからそんな事できないよ!という人も多いかもしれませんが、人を傷つける事を何とも思わない人はその優しさに付け込み、更にあなたを苦しめてくるものです。

人に優しくある事はとても素晴らしい事であり、これからもその精神は忘れてはいけないですが、人の優しさに付け込んで余計に苦しめてくるような人間に優しくする必要はありません。

自分を苦しめるような嫌な人とも仲良くしなければという考えはあなたの人生に不幸をもたらします。
人生はみんなと仲良くする必要はなく、あなたを大切にしてくれる人と幸せになればいいんです。

清濁合わせ飲めば、たった一滴の毒で死んでしまうのと同じです。


あと、もう一つのケースとして陰口を言う人がいますが、そういう人は信用されません。


往々にして3人組にでもなればその場にいない人のウワサ、特に悪口などに花を咲かせてる場合はよくあるものです。

そのような集団は運気を下げるサゲマン集団なので、バッタリ出くわしてそのようなよくない話を振られてもサゲマン集団とは関わってはいけません。

決して同調してはいけません。

だから、ふーん…と流すのが一番です。
それかちょっと急いでるんだって感じでその場をすぐ離れるのがいいです。


陰口集団はあなた以外の人の陰口だけでなく、あなたがいない場所ではあなたの陰口も高確率で言ってるでしょう。
ついでに、悪口の運び屋もとんでもない悪質。

悪口の運び屋は、「あの人があなたに怒ってたよ」というふうにご丁寧に運んできますが、運び屋はあなたが心配したり困る顔を見たいから運ぶのです。

もし運ばれたら、「僕はあの人の事が好きなんですけどねー」と何らかのプラスの言葉を言ってやりましょう。
運び屋が困る事になります。


このように陰口を言ってると何も信用されない。


彼らは信用を失うだけなので、やがて自滅して孤立していく。

また、会社であれば昇進という場では圧倒的に不利になる。
もちろんずば抜けた実力があればどんなに性格悪くても部長くらいにまでは行くでしょうけど、役員となると口が固く信用されるような人でなければなれない。

なので、陰口を一切言わないというだけでもう絶大な信用を得る事ができる。

陰口を言う実力者より、実力はもう少しイマイチだけど口が固い人が選ばれる。


よって、あなたの信用を固める手っ取り早い方法は陰口を言わない事ですね。


なお、言っていい陰口があります。

それは陰で人の良い面を話したり、褒める事です。
陰口というのはどうしても本人に伝わるものなので、プラスの言葉を流してやると、聞いた本人は直接言われるより更に嬉しい気持ちになります。

きっとあなたはかなり好かれるはずです。


では本日はこの辺で。
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10月25日水曜日の20時に発行した有料メルマガご案内です。

10月25日の第317号はカラ期間が年金受給後に見つかった場合の年金の訂正と、漏れていた記録が見つかった場合の年金遡及事例。

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(最初の一部のみ)

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1.年金記録漏れの解決はまだまだ遠い。
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平成18年の時に誰のものかわからない年金記録が5000万件(厚生年金が4000万件、国民年金が1000万件)ある事が判明してから、当時は大々的なニュースになりました。


自分の年金記録は大丈夫なのか、国の管理は一体どうなってんだという事で国民の怒りや不安が爆発してしまい、さらに年金への不信感が大きくなってしまった事件でもありました。


記録漏れの経緯は過去に何度か記事にしたので、詳しい事はここでは割愛しますが、昭和61年4月になった時に20歳以上60歳までの人はどんな立場の人であれ国民年金の被保険者になりました(学生は平成3年4月から強制)。


それまでの昭和61年3月までの制度は厚生年金は厚生年金被保険者、国民年金は国民年金被保険者、共済は共済組合員というふうに別れていたものでありそれぞれが独立していました。


独立していたという事は、それぞれが独自の年金番号を持っていたという事であり、同じ被保険者であれば同じ番号で良いのですが、実際は転職などで制度を渡り歩いたりしたらその度に新しい番号が附されていました。


もうそういう煩雑になる弊害もあるし、昭和61年4月1日からは全て国民年金の被保険者になり、将来は共通の年金として基礎年金を受給すると統一されました。


その後、平成9年になると一生変わらない基礎年金番号というものが、1人に1つ与えられる事によりその番号を一生使う事になりました。


一つの番号に統一したので、今までバラバラだった各制度毎の番号を基礎年金番号に統一していこうと作業をしていたのですが、その時にあれ?この番号は誰のもの?というのが約5000万件も残っていた事が、平成18年になると公の知るところとなります。


平成16年の時に政治家の国民年金未納問題が大きな話題になっていく流れで、年金へ対する不信感が国民に広がるなかで、そういう宙に浮いた記録の判明するところとなっていきました。

政治家の記録が漏洩したりしたのは当時の社会保険庁の職員が漏洩していた事で、社会保険庁の個人情報管理の問題も浮き彫りとなりました。


さて、記録漏れは主に氏名や性別、生年月日などによって本人が特定できずに該当者不明のまま統合されずに残っていた事が判明しました。


統合されていった記録のうち、転職などで2つ以上の手帳を持っていたり、結婚前の旧姓のままの記録、氏名の読み方が違う、生年月日が違う記録で9割を占めていました。

記録を移す時にうっかり移し損ねたとか間違った情報で入力したとかミスも積み重なった事で、とんでもない大量の宙に浮いた記録が存在してしまったという事ですね。


よって、記録漏れの判明以降は記録を統合作業や探す作業が今も引き続き行われています。


5000万件のうち平成26年4月までに3000万件は見つかっていますが、それ以降は少しづつという感じですね。
特定するのが難しいのが残っているのでしょう。


さて、漏れていた記録が見つかるとすでに受給者の人は過去に年金記録が訂正される事で、年金額が増額したりします。

そうすると今まで払っていなかった低かった年金額と増額した年金額の差額を一括して支払います。


年金は過去に遡るとしても5年が限度というのが時効の関係ですが、記録漏れに関してはその時効は関係なく支払われます。


その記録が見つかった場合の事例を2つ考えてみます。

(引き続きの内容)

2.年金記録に繋がる期間を見つけたから受給権発生時から遡って受給。
3.過去のカラ期間があった事が判明し、16年前から年金受給権があった。
4.おかしかった記録を訂正し、受給権発生まで遡って年金を一括受給。




月の途中で登録してもその月に発行した分は登録後に即座に届きます。
(10月にすでに発行した記事)

10月4日の第314号.厚年期間が20年以上あるなら配偶者の加給年金を停止にする理由と、年金計算。

10月11日第315号.年金の繰下げ中に在職老齢年金による停止がかかる人の年金計算。

10月18日の第316号は年金受給資格期間を短縮しなくても昔から短縮措置があった理由と、低年金者の繰り下げの特異な例。


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(11月の予定)

11月1日の第318号.あの人の2倍給料貰ってたなら、自分の年金はあの人の2倍になるが、年金は低所得だった人ほど有利になっている。

11月8日の第319号.共済が厚年に統合される前から年金が貰える人と、統合後に年金が貰える人の大きな違い事例。

11月15日の第320号.昭和61年3月31日までに共済を貰う資格がある人は、昭和6年4月1日以前か2日以降生まれでは年金が全く違う(重要)

11月22日の第321号.障害年金受給者の年金受給終了までの一般的な流れと受給事例。

11月29日の第322号.未納が多いのに遺族年金が貰える場合と貰えない場合の重要事例。


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▼過去によく読まれたおすすめ記事バックナンバーご案内

・2018年12月バックナンバー(厚生年金計算はどうして2つの計算式が存在してどちらか多い方を支給するのか。従前保障額と本来水準額の違い)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2018/12



厚生年金計算する場合の計算式は1つだけではなく、実は2つあります。
その2つを計算してどちらか有利な方を支給するというやり方をとっています。

まあ、平成27年度になるまでは3つの計算があって面倒だったんですけどね^^;計算はパパッと年金機構のパソコンが正確にやってくれますが。。


今ほとんどの人が支給されてる計算式は本来水準額といい、ちょっと5%くらい有利だった計算を従前保障額といいます。
従前が5%高いなら、従前で年金払ったほうが高いでしょ!と思ってしまいますが、そうならないのが不思議なところなんですよね^^

2つに分かれたのは平成12年改正の時に遡らなければならないので、その2つの計算の違いとは何なのかという重要な経緯を解説しています。
キーとしては平成6年と平成12年であります。

その経緯を解説しています。


・2019年4月バックナンバー(平成の時代と年金)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2019/4



平成の前の昭和末期である昭和60年に年金を大幅に改正しました。

今後も進行が続く少子高齢化に対応するために、年金計算の中身を削って給付水準を大幅に削減する事(厚年であれば25%くらい下げる)で、将来の人の保険料負担を軽減するための改正でもありました。

しかし、平成に入ってバブル崩壊の後の失われた20年どころか30年のせいで、景気が停滞し続けた事、そして少子化高齢化が昭和60年の頃に見込んだものより悪化し続けたためにその後も年金を削っていく改正をやっていかざるを得なくなりました。

長いので2回の記事に分けて平成の頃の状況と改正についての流れを書いています。



・2021年1月バックナンバー(なぜ終わった法律がいつまでも付き纏う理由、年金は1種類しか貰ってはダメなのになぜ遺族厚年と障害基礎年金は例外があるのか)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2021/1



年金はよく複雑すぎると言われますが、その原因としては経過措置というものがあるからです。
それは何かというと、一般的には法改正すると以前の古い法律は終わりますが、いきなり終わらせないでそのままゾンビのように残り続けたりするんですね。

やはり、人の生活のお金に関わるものなので、急に変化すると生活が狂いかねないために急には終わらせないんですね。

例えば昭和61年4月からは新年金の今の形の年金になり、その前の年金は旧年金とされます。

旧年金はもう終わったんですが、実は現在も旧年金を受給してる人が普通にいます。
そんなところを解説しています。


また昭和61年4月以降は複数の年金(老齢、障害、遺族)を貰う権利があっても、1人1種類しかもらってはダメですよーという事になりました。

しかし、遺族厚生年金と障害基礎年金(平成18年4月から)に関しては老齢の年金と一緒に貰うという事が許されています。
なぜ一緒にもらえるのかの経緯と理由を解説しています。


・2022年12月バックナンバー(在職老齢年金の歴史)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2022/8



厚生年金に加入して働くと老齢厚生年金が停止されるという、よく嫌われている制度が存在します。

働いたら年金が停止されるなんておかしい!とよく言われますが、ちゃんと理由がありまして、本来なら働いてる最中は全額停止されるものでした。


ただ、昭和40年改正からは在職老齢年金制度が始まり、65歳以降働いてても年金を一部支給するという形になっていきました。

昭和時代は標準報酬月額によって、年金は例えば8割、5割、2割などの割合で支給するものでしたが、平成になってからは今のような標準報酬月額、賞与月額、年金月額を使った計算式を用いるようになりました。

令和5年4月からは在職老齢年金制度の大幅緩和により、年金停止される人はよっぽど給与が高い人でないと停止されなくなり、今から58年前の昭和40年からあった在職老齢年金がほぼ問題にならなくなりました。

縮小されていくまでの、その在職老齢年金の歴史の流れを解説しています。


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こんばんは!

年金アドバイザーのhirokiです。
 

自分が亡くなった場合の遺族年金は家族には支給されるのかと心配される事は多いですが、遺族年金は比較的貰えてる人が多いです。
 
病気や怪我で受給する障害年金はちょっと特殊なものであり壁は多いですけど、遺族年金はそこまで壁はないです。
 
 
まず遺族年金は本人死亡から始まりますが、死亡日がわからないという事はないし、その日が動いてしまう事は原則ありません。
 
死亡日を特定するのはそう難しくないとして、次に死亡日までの年金記録を見ます。
 
 
死亡日の前々月までの全体の年金記録の3分の1を超える未納があった場合は請求できない事はあります。
 
しかし、特例として65歳未満の死亡であれば死亡日の前々月までの1年間に未納がなければそれでも年金記録を満たす事はできます。
 
 
また、年金記録全体で25年以上ある人はそもそも上記の3分の1とか直近1年に未納がないという要件は見なくても構いません(年金が有利になる場合もあるので、過去の保険料納付要件を見る事もありますが)。
 
 
保険料の要件を満たしたら、後は請求できる遺族を特定すればいいです。
 
遺族の範囲は本人死亡当時生計を維持されていた遺族であり、その順位としては配偶者、子、父母、孫、祖父母の順で最も順位の高い人が請求者となります。
 
なお、生計維持されていたというのは遺族の前年収入が850万円未満(もしくは前年所得が655.5万円未満)であり、住民票が一緒のような場合(生計を同じくしていた)を言います。
別居の場合でも合理的な理由があればそれも生計維持がされていたとして認められます。

ちなみに、配偶者と子は同じ第1順位の人ですが、配偶者が優先されます。
場合によっては子が優先される事もありますが、基本的には配偶者が優先されます。
 
上の順位者が請求できるのであれば、下の順位者の請求権は消滅します。
 
請求者がいるなら請求して、遺族年金を受給するだけ。

 
ただし死亡者の年金保険料の納付要件を見る時に、あんまり未納が多いと請求不可の時もあります。
 
 
さて、死亡者に未納が多いと遺族年金が貰えない場合もあるのですが、未納が多すぎても貰える人もいます。
それが先ほどの直近1年以内に未納がなければという要件を満たしてる人などですね。
 
 
ちょっとどうなるか簡単に見てみましょう。
 
 
◯昭和45年6月23日生まれのA夫さん(今は53歳)
 
・1度マスターしてしまうと便利!(令和5年版)何年生まれ→何歳かを瞬時に判断する方法。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12780334941.html

 

・絶対マスターしておきたい年金加入月数の数え方(令和5年版)。
https://ameblo.jp/mattsu47/entry-12782489170.html

 
 
18歳年度末である平成元年6月から平成7年9月までの76ヶ月間は国家公務員共済組合(第2号厚生年金被保険者)。
この間の平均標準報酬月額は30万円とします。
 
平成7年10月から平成28年6月までの249ヶ月間は非正規雇用として働いていましたが厚年に加入できておらず、国民年金保険料は未納にしていました。
 
平成28年7月から令和元年6月までの36ヶ月は50歳未満の人が利用できる保険料納付猶予制度を利用(老齢基礎年金には反映しない)。
この納付猶予制度は本来は30歳までの人用でしたが、平成28年7月から50歳未満まで拡大されました。

一般の免除制度とは違って所得は本人と配偶者のみで見るので、世帯主の所得は審査対象外であり、将来の老齢基礎年金には反映しない。
 
令和元年7月から令和4年3月までの33ヶ月は未納。
 
令和4年4月から令和5年9月までの18ヶ月間は厚生年金に加入して働く。
この間の平均標準報酬額は16万円とします。
 
令和5年10月3日に急死。
 
死亡日時点で生計維持されていた遺族は45歳の妻(年収100万円)と、13歳の子。
 
なお、生計維持されていたというのは簡単に言うと住民票が一緒で、遺族が前年の年収850万円未満(または前年所得が655.5万円未満)の場合をいいます。
一時的な収入や所得は除きます。

 
次に死亡日時点の保険料納付要件を見ますが、全体の年金記録413ヶ月に対して未納が282ヶ月なので有効な年金記録は131ヶ月しかなく25年以上はありません。
 
では死亡日の前々月までの記録を見ますが、平成元年6月から死亡日の属する月である令和5年10月の前々月までの413ヶ月のうち未納が3分の1(33.33%)を超えてはいけません。
 
未納は282ヶ月なので、未納率は68.28%。
よってこれでは保険料の要件を満たしませんが、死亡日の前々月までの1年間(令和4年9月から令和5年8月まで)に未納がありませんので遺族年金を受給する事ができます。
 
また、死亡日が厚年加入中なので受給する年金は遺族厚生年金ですが、18歳年度末未満の子障害等級2級以上の場合は20歳までの子)がいれば遺族基礎年金と子の加算金が国民年金から支給されます。
 
 
受給できるのは妻であり、妻が受給中は子への遺族年金は停止となります。
 
・遺族厚生年金→(30万円÷1000×7.125×76ヶ月+16万円×5.481÷1000×18ヶ月)÷94ヶ月×300ヶ月(最低保障)÷4×3=(162,450円+15,785円)÷94ヶ月×300ヶ月÷4×3=426,626円
 
ちなみに平成27年10月1日以降の死亡は、厚年期間だけでなく国家公務員共済組合の期間も合わせて計算して、日本年金機構からまとめて支払います(死亡日が民間の厚年加入中にあるから)。
厚年加入中の死亡なので300ヶ月みなしで計算します。
 
・遺族基礎年金→795,000円+子の加算金228,700円=1,023,700円
 
・遺族年金生活者支援給付金→月額5140円(年額61,680円)
 
 
遺族年金総額は1,282,696円(月額106,891円)
 
 
ただし、子が18歳年度末を迎える時を令和10年3月31日としますと、令和10年4月分の年金からは遺族年金総額は遺族厚生年金426,626円のみとなります。
しかし遺族基礎年金の消滅後は中高齢寡婦加算596,300円の支給になります。
 
 
なので令和10年4月分以降の妻の遺族年金総額は1,022,926円(月額85,243円)となります。



なお、中高齢寡婦加算は65歳までの加算になり、65歳以降は妻の老齢の年金と遺族厚生年金の併給となります(老齢厚生年金が遺族厚年より多いと遺族厚年は支給されない場合もあります)。

例えば妻の65歳の年金が、老齢基礎年金60万円+老齢厚生年金20万円であれば、遺族厚生年金426,626円から妻の老齢厚生年金分20万円を引いた226,626円が遺族厚生年金となります。

 
というわけで、A夫さんはかなり未納期間がありましたが、死亡日の前々月までの1年間に未納がなかったので遺族厚生年金の受給に結びつきました。
 
過去の未納が多すぎる!という人は、死亡したと仮定してその前々月までの直近1年間を未納にしてなければと思います。
年金保険料の納付は時効内である直近2年1ヶ月まで可能です。

ちなみに未納がなければいいので、全額免除であっても構いません。
 
免除制度は申請日から2年まで遡ってくれるので、直近1年未納しかない!という場合も大丈夫です。
 
 
ただし、納付や免除申請日は死亡日の前日までにやっておく必要があります。
 
 
では本日はこの辺で。
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▼過去によく読まれたおすすめ記事バックナンバーご案内

・2018年12月バックナンバー(厚生年金計算はどうして2つの計算式が存在してどちらか多い方を支給するのか。従前保障額と本来水準額の違い)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2018/12

 

厚生年金計算する場合の計算式は1つだけではなく、実は2つあります。
その2つを計算してどちらか有利な方を支給するというやり方をとっています。

まあ、平成27年度になるまでは3つの計算があって面倒だったんですけどね^^;計算はパパッと年金機構のパソコンが正確にやってくれますが。。


今ほとんどの人が支給されてる計算式は本来水準額といい、ちょっと5%くらい有利だった計算を従前保障額といいます。
従前が5%高いなら、従前で年金払ったほうが高いでしょ!と思ってしまいますが、そうならないのが不思議なところなんですよね^^

2つに分かれたのは平成12年改正の時に遡らなければならないので、その2つの計算の違いとは何なのかという重要な経緯を解説しています。
キーとしては平成6年と平成12年であります。

その経緯を解説しています。


・2019年4月バックナンバー(平成の時代と年金)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2019/4

 

平成の前の昭和末期である昭和60年に年金を大幅に改正しました。

今後も進行が続く少子高齢化に対応するために、年金計算の中身を削って給付水準を大幅に削減する事(厚年であれば25%くらい下げる)で、将来の人の保険料負担を軽減するための改正でもありました。

しかし、平成に入ってバブル崩壊の後の失われた20年どころか30年のせいで、景気が停滞し続けた事、そして少子化高齢化が昭和60年の頃に見込んだものより悪化し続けたためにその後も年金を削っていく改正をやっていかざるを得なくなりました。

長いので2回の記事に分けて平成の頃の状況と改正についての流れを書いています。



・2021年1月バックナンバー(なぜ終わった法律がいつまでも付き纏う理由、年金は1種類しか貰ってはダメなのになぜ遺族厚年と障害基礎年金は例外があるのか)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2021/1

 

 

年金はよく複雑すぎると言われますが、その原因としては経過措置というものがあるからです。
それは何かというと、一般的には法改正すると以前の古い法律は終わりますが、いきなり終わらせないでそのままゾンビのように残り続けたりするんですね。

やはり、人の生活のお金に関わるものなので、急に変化すると生活が狂いかねないために急には終わらせないんですね。

例えば昭和61年4月からは新年金の今の形の年金になり、その前の年金は旧年金とされます。

旧年金はもう終わったんですが、実は現在も旧年金を受給してる人が普通にいます。
そんなところを解説しています。


また昭和61年4月以降は複数の年金(老齢、障害、遺族)を貰う権利があっても、1人1種類しかもらってはダメですよーという事になりました。

しかし、遺族厚生年金と障害基礎年金(平成18年4月から)に関しては老齢の年金と一緒に貰うという事が許されています。
なぜ一緒にもらえるのかの経緯と理由を解説しています。


・2022年12月バックナンバー(在職老齢年金の歴史)
https://www.mag2.com/archives/0001680886/2022/8

 

 

 

厚生年金に加入して働くと老齢厚生年金が停止されるという、よく嫌われている制度が存在します。

働いたら年金が停止されるなんておかしい!とよく言われますが、ちゃんと理由がありまして、本来なら働いてる最中は全額停止されるものでした。


ただ、昭和40年改正からは在職老齢年金制度が始まり、65歳以降働いてても年金を一部支給するという形になっていきました。

昭和時代は標準報酬月額によって、年金は例えば8割、5割、2割などの割合で支給するものでしたが、平成になってからは今のような標準報酬月額、賞与月額、年金月額を使った計算式を用いるようになりました。

令和5年4月からは在職老齢年金制度の大幅緩和により、年金停止される人はよっぽど給与が高い人でないと停止されなくなり、今から58年前の昭和40年からあった在職老齢年金がほぼ問題にならなくなりました。

縮小されていくまでの、その在職老齢年金の歴史の流れを解説しています。


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こんにちは!
年金アドバイザーのhirokiです。
 
 
友達は若いうちに作っておけよという考えを持った人がいます。
 
それはその人の考えなのでわざわざ違うというと角が立つので否定は禁物です。
 

何事もそうですが人それぞれの価値観は千差万別であり、自分軸の価値観で相手をジャッジすると必ず争いになり、そしてストレスや怒りに繋がるので自分の価値観を軸に相手の価値観を判断するのはやめましょう。
 
人は人を見る時は自分の文化で人を見ています。
 
 
これが極端だと、世界で遠い昔から続く宗教戦争や民族紛争なんかが典型的ですね。
 
 
自分こそ正しいという自文化中心主義になると、自分が正しくて相手は間違いであるという判断をしてしまいがちです。
 
例えば唯一絶対神なんていうのがあると、相手の神は認めないとなって戦争になるからですね。
 
 
さて、話が横道にそれましたが友達は若いうちに作っておかないと、それ以降に出会う人は友達になれないのでしょうか。
 

もちろんそんな事はなく、いつでもどんな年齢でも友達ができるし、いい大人になって刎頸の交わりのような親友に巡り会う事ができます。
 

素晴らしい出会いをするにはたくさんの人と出会う事が大切といわれますが、自分を磨いていない人がどれだけ人と会おうが出会う人のレベルは上がりません。
 
 
人は自分の成長に合った人としか付き合っていく事はできないからです。
 
 
よって、付き合い始めはいいけど時間が経つにつれてどうも合わなくなり、自分が離れるか相手が離れていきます。
夫婦や恋人関係などが3年くらいすればもう冷め切ってしまうのは成長がずれていくからというのが大きいと思う。
 

夫婦の一方が夢や目標を持ち続け、もう一方がダラダラとその日暮らしで十分と考えてるならいずれ別れる可能性は高いでしょう。
 
まあ、よく価値観の違いと言われますが、成長の違いですね。
 

人が去っていくというのは寂しいかもしれませんが、世の中そんなものなのです。
そして去る人は追ってはいけない。
 
自分が成長すれば、昔まで仲良かった人たちとの付き合いが苦痛になり、またその逆で相手がそう思う事ももちろんあります。
 
 
どうも昔の人と付き合うのが退屈だなあとか、自分のレベルを落とさなければならないと感じるのであれば、それはあなたが成長したという事。
 
 
ここで知っておきたい事は、生きていく中で旧友が恋しくなる事があります。
 
昔に戻りたいとか思ったりしますよね。
 
 
僕も昔のあの頃に戻りたいと思ったりする事もありましたが、もう随分そうは思わないです。
 
思い出や記憶としてはもちろんありますがそれはそれであり、懐かしいから遠い昔の人たちに会いたいという気持ちは全くないです。
 

ラインとかフェイスブックなどはそのような旧友がふと出てきたりしますよね。
そこからしばらくは久闊を叙する事もありましたが、やはり頭の中に引っかかる違和感が続くので離れました。
 
 
やはりその…昔のあの頃は良かった的な話が中心になるのは嫌です。

でも歴史の話は勉強になるので、勉強したり記事にしたりはしますけど(笑)
年金の話には歴史は絶対外せない要素だからですね。
 
 
過去は過去として、今そしてこれからをどう良くしていこうかの方が圧倒的に面白い話だし大事な事です。
まあ未来に囚われすぎて「今ここ」を見ないのはいけませんけどね。
 
 
だから、もしあの頃は良かった…とか、昔の旧友が恋しくなったらそれは運気の下降サインだなと認識しています。
 
あの頃は良かったというのはもう成長が止まってる状態だから湧き上がる感情です。
 
 
SNSが人気を博し気軽に昔の人と手当たり次第に繋がれますが、その人たちと繋がって心地いいなあと感じるならもしかしたらあなたは成長が止まっているかもしれません。
 
 
 
成長が止まってる人は過去の旧友と仲良くする事に違和感なく、むしろ楽しく感じるでしょう。
ただし、そんな旧友も同じく何かで成長してるなら素敵な再会になるかもしれない。
 
 
同じように今、これからに目を向け続ける人に出逢いたいのであれば、自分自身がそうならなければいけません。
 
自分が自分を何らかの分野で磨くから、同じように磨いてる人が引き寄せられる。
 
 
自分を磨こうとせずに、磨き続ける人の中に入ってしまっても雑魚の魚交じりとなってしまいます。
 
 
よって、よく以前から言ってきた事ですがくだらない群れの中にいても何も成長しないから、寂しさを紛らわせるだけの関係ならさっさとその群れから抜け出して、粛々と人それぞれ備わっている何らかの才能を磨いていきましょう。
 
それがいずれ質の良い本物の出会いへと繋がるはずです。
 



 
というわけで本日は久しぶりに単なるつぶやきでした^^
 

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厚生年金計算する場合の計算式は1つだけではなく、実は2つあります。
その2つを計算してどちらか有利な方を支給するというやり方をとっています。

まあ、平成27年度になるまでは3つの計算があって面倒だったんですけどね^^;計算はパパッと年金機構のパソコンが正確にやってくれますが。。


今ほとんどの人が支給されてる計算式は本来水準額といい、ちょっと5%くらい有利だった計算を従前保障額といいます。
従前が5%高いなら、従前で年金払ったほうが高いでしょ!と思ってしまいますが、そうならないのが不思議なところなんですよね^^

2つに分かれたのは平成12年改正の時に遡らなければならないので、その2つの計算の違いとは何なのかという重要な経緯を解説しています。
キーとしては平成6年と平成12年であります。

その経緯を解説しています。


・2019年4月バックナンバー(平成の時代と年金)
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平成の前の昭和末期である昭和60年に年金を大幅に改正しました。

今後も進行が続く少子高齢化に対応するために、年金計算の中身を削って給付水準を大幅に削減する事(厚年であれば25%くらい下げる)で、将来の人の保険料負担を軽減するための改正でもありました。

しかし、平成に入ってバブル崩壊の後の失われた20年どころか30年のせいで、景気が停滞し続けた事、そして少子化高齢化が昭和60年の頃に見込んだものより悪化し続けたためにその後も年金を削っていく改正をやっていかざるを得なくなりました。

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年金はよく複雑すぎると言われますが、その原因としては経過措置というものがあるからです。
それは何かというと、一般的には法改正すると以前の古い法律は終わりますが、いきなり終わらせないでそのままゾンビのように残り続けたりするんですね。

やはり、人の生活のお金に関わるものなので、急に変化すると生活が狂いかねないために急には終わらせないんですね。

例えば昭和61年4月からは新年金の今の形の年金になり、その前の年金は旧年金とされます。

旧年金はもう終わったんですが、実は現在も旧年金を受給してる人が普通にいます。
そんなところを解説しています。


また昭和61年4月以降は複数の年金(老齢、障害、遺族)を貰う権利があっても、1人1種類しかもらってはダメですよーという事になりました。

しかし、遺族厚生年金と障害基礎年金(平成18年4月から)に関しては老齢の年金と一緒に貰うという事が許されています。
なぜ一緒にもらえるのかの経緯と理由を解説しています。


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厚生年金に加入して働くと老齢厚生年金が停止されるという、よく嫌われている制度が存在します。

働いたら年金が停止されるなんておかしい!とよく言われますが、ちゃんと理由がありまして、本来なら働いてる最中は全額停止されるものでした。


ただ、昭和40年改正からは在職老齢年金制度が始まり、65歳以降働いてても年金を一部支給するという形になっていきました。

昭和時代は標準報酬月額によって、年金は例えば8割、5割、2割などの割合で支給するものでしたが、平成になってからは今のような標準報酬月額、賞与月額、年金月額を使った計算式を用いるようになりました。

令和5年4月からは在職老齢年金制度の大幅緩和により、年金停止される人はよっぽど給与が高い人でないと停止されなくなり、今から58年前の昭和40年からあった在職老齢年金がほぼ問題にならなくなりました。

縮小されていくまでの、その在職老齢年金の歴史の流れを解説しています。


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おはようございます!
年金アドバイザーのhirokiです。
 

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1.受給年金額が少なくなっても早く貰いたい人が一時期増加した。
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年金制度には通常の受給開始年齢よりも早く受給する事ができる年金の繰上げ制度というのが、約60年前の昭和36年4月から存在します。
昭和36年4月というのは見覚えがある人も多いかもしれませんが、国民年金が正式に始まって保険料を納め始めた日です。
 
年金の繰上げは、例えばこれからはほとんどの人は65歳支給開始になるのですが、本人に年金の受給権があって早く貰いたいと請求(繰上げ請求)すれば60歳から64歳11ヶ月の間で好きな時に請求して受給する事ができます。
 

ちなみに当時から国民年金は65歳から貰う年金で、厚生年金は男性は60歳で女性は55歳から受給する年金でした。

国民年金を受給する人の中には自分も厚生年金みたいに60歳から貰いたい!という人もいて、そのため65歳前からでも国民年金が貰える繰上げの制度を用意しました(昔は年単位の繰上げ)。
 

ただし、本来より早く受給するので年金額が減額されます。
 
1ヶ月早く受給するごとに0.5%減額になり、65歳から受給する年金を例えば最も早く受給する60歳からだと60ヶ月早く受給するので、60ヶ月×0.5%=30%減額となります。
 
65歳時に例えば80万円貰う予定だった人が60歳から受給すると、80万円×70%=56万円の年金になって60歳から受給するという事です。
 
一旦請求すると取り消せないので、年金56万円で一生過ごす事になります。
 
 
なお、令和4年4月からは減額率が0.5%から0.4%に緩和されました(昭和37年4月2日以降生まれの人から)。
 
 
緩和されたのですが、これはお情けで減額の痛みを緩和して、受給額を多くしようという目的でそうなったわけではなくて、平均余命が延びたからです。
 
繰上げというのは60歳から減額された年金を受給する人と、65歳から本来の金額で受給する人の平均余命まで生きた場合の総額がほぼ同じになるように設計されています。
 
65歳の人が平均余命まで生きた場合の年金総額がほぼ同じになるように、減額率を調整した結果0.5%とか0.4%になってるだけです。
 
 
余命が伸びればそれだけ、緩やかな減額で行く事ができます。
 
 
さて、年金を早めに受給する事はできるものの、減額された年金額が一生続くのであまりお勧めされる制度ではありません。
 
人によっては個人の理由によりそれを望む人もいるので、この繰上げ制度がデメリットしかないというわけではありません。
 
しかしながら、訳もわからず早く貰いたいからという理由を持ってやってしまうと、後々後悔する危険が高いです。
もちろん請求時は年金事務所からも入念に注意点を説明されますけどね。
 
職員が決める事じゃないのであとは本人次第です。
 
 
ところで、この繰上げ制度が一時期とても人気になった事がありました。
 
 
あれは平成20年前後だったと思うのですが、繰上げ請求を希望する人が増えた時期がありました。
 
年金というのは毎回そうなんですが、ニュースになるたびに繁忙期になります(笑)
 
ニュースが事実なら仕方ない事ですが、司会者や何かの専門家?のような権威ある人がふとコメントした事などが影響してしまう事もよくあるんですよね。
それが的を射た事ならまだしも、誤解も多いですからね。
 
その誤解に現場はまた翻弄されて不要な繁忙期に陥る^^;
通常業務に支障が出る。
 
 
ーーーー
2.年金不安を煽る話題は多いが、今までも淡々と偶数月に年金は支払われてきた。
ーーーー
 
で、話を戻しますが当時は60歳から年金もらえとか、破綻するから早く貰った方がいいというような話が一人歩きして、繰上げ請求が増加したりした訳です。
 

あれから20年近く経ちますが、別に年金は破綻寸前!みたいな事はないですし、相変わらず淡々と偶数月の15日に年金を振り込んでいます
 
平成になってからはバブル崩壊や金融危機や、リーマンショック、東日本大震災など社会全体が揺るがされるような出来事がありましたが年金は淡々と粛々と偶数月に決まった年金額を振り込んできました。
 

過去を振り返ってみて、年金が振り込まれなくなった!という事はなかったですよね(手続きが不備で振込不能という事は除いて)。
 
まあ、消えた年金問題はあれは痛恨の事態でしたが…(今も取組中)
 
 
年金はとても安定性と確実性が求められる給付だから、不況がだろうが有事だろうが淡々と支払われるわけです。
 
ただし、年金は物価変動や賃金変動にはスライドするので、その辺で変動は毎年度したりしますけどね。
それは昭和48年からやってる事です。
 
 
昔から年金はよく流言飛語があったものですが、今もピンピンしてますね。
破綻の話も50年くらい前からありましたが。
 
 
そんな中で平成20年あたりにもう60歳から貰う方がいいと煽られた人が年金の繰上げに走りました。
 
 
なぜそんな話になっていったのか。
 
 
あの当時は旧民主党が年金をよく政争の具にして年金不安を煽りに煽っていた頃でした。
 
年金を政争の具にするという事は、国民の怒りを社会保障に向けさせる事になります。
 
 
政権を担っていた自民党に対して、現制度の年金に対して散々不安を煽りに煽った上に、自分たち民主党には新しい年金制度がある!月7万円の最低保障付きだ!といえば多くの人は現年金制度に対して怒りを抱き、国民は民主党のその内容はわからんけど良さそうな年金案に飛びつく。
 
現年金を叩きつつ、ウチには凄い年金案があるんだぞ(具体的な事はまだ知らんけどっ)って事を匂わせ続けて、国民を騙した事が功を奏して政権交代が起こりました。
 
 
散々年金を叩き、不安を煽って政権を勝ち取ったのです。
 
しかし、その新年金案の具体内容は平成16年から8年間ほど公にはされませんでした。
平成23年あたりに民主党のその新年金の試算というのがリークされ、その内容があまりにも非現実的である事が知られる事になります。
 
よって民主党の年金案というのは全く実現不可能という事がバレました。
増税ばかりされて現年金制度よりも遥かに不利な年金になる事がわかりました。
 

 
いろいろマニフェスト掲げてましたけど、国民から見放され政権を失う事になります。
年金関係に関して本当にグチャグチャに翻弄された悪夢のような民主党時代でした。
 

まあ、そういう年金不安を煽りに煽られて、さらにそれに乗っかった学者や専門家がまたいい加減な事を言うから、それを信じた人が前述した年金の繰上げに走った事で痛い目を見てしまう結果になってしまいました。
 
大体は大学の先生とか、経済学者とかは年金制度や制度の歴史もよく知らないけど、経済学的には〜みたいな事でなんとなく耳に聞こえのいい事を言いますからね。
中身をよく知らんのに経済学的にもクソもないんですよ。
 
無駄に権威があるというのはこういう時に罪ですね。
 
 
もう年金は貰えなくなるから早く貰った方がいいというような話だけでなく、年金は積立方式にすべきとか、未納が増えると年金は破綻に向かうとか、政府は年金は100年安心と言った等いうような事を言い出したらわかりやすいバカ発見器といえます。
 
後は平成28年の時だったか「年金カット法案」とか声高に言ってた政治家ですね。
政治家やめた方がいいんじゃない?って思いましたねあの頃は。

そんな的外れな批判をするというのは、またあの時のように政争の具にして現年金憎しの感情を国民に与えて支持を得ようとする常套作戦ですよね。


このように、年金を政争の具にしてくる政治家や、年金の事なんてよく知らないのに権威を盾にしてもっともらしい詭弁を力説してくるのがいるのでこれからも気をつける必要があります。
 
旧民主党から流れてきた政治家はいつだって年金を政争の具にしようとしてきますからね。
 
 
昔の政権交代時の成功がまた上手くいくと思っているかもしれないですが、柳の下のドジョウであります。
 


 
さて、ちょっと年金の繰上げが一時期人気になった時の事を少し話しましたが、9月24日の有料メルマガ(過去記事改訂版)では年金の繰上げの2つのパターンを使って年金計算します。
 
 
今現在はもう全部繰上げという、老齢厚生年金と老齢基礎年金全部を繰上げるやり方を取りますが、5年ほど前までは一部繰上げというちょっと変わった方法もありました。
 
 
男子は昭和24年4月1日以前生まれ、女子は昭和29年4月1日以前生まれの人がその年金の一部繰上げというのをやったりする事があったのですが、この年代の人に共通するのは厚生年金の定額部分が65歳前に発生する人です。
 
定額部分があると、年金全てを繰上げせずに一部だけを繰上げするという事も選択可能でした。
 
 
今現在は障害者特例や44年特例、坑内員船員特例などの人以外は一部繰上げはやらないですが、9月24日の改訂版では全部繰上げ年金計算と、一部繰上げ年金計算をやって年金額を示します。
 
今は新規で一部繰上げは例外を除いてやらないですが、繰上げするとそれは一生続くので「どうして私はこの年金額なの?」という時に、一部繰上げの知識が必要なんですよね。
65歳以降も一部繰上げの年金を支払うので。
 
 
よって、繰上げの年金計算では65歳前と65歳以降の違いが特に重要なので考えてみましょう。
 
 
それでは今日はこの辺で!
 
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※9月24日日曜日の20時の有料メルマガ過去記事改訂版(2017年1月3日第14号記事の改訂)のご案内。
 
「9月24日Vol16.年金が一生減額される年金の繰上げの2つの種類」
 
月額440円(税込み)で第1~4日曜日20時発行です。
・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(過去記事改訂版)
(発行当初の2017年10月以降の記事を順次改訂して第1、第2、第3、第4日曜日20時に発行していきます)
 
なお、月の途中で登録してもその月に発行した分は登録後に即座に届きます。
 
(既に発行した9月分)
9月3日Vol13.年金受給資格が10年に短縮されて安心だったはずがまさかの落とし穴!でもコレに家族は救われた。
 
9月10日Vol14.障害厚生年金3級受給者死亡による遺族年金と、亡くなった年金受給者の年金の行方。
 
9月17日Vol15.この職業だった人の年金額はとっても優遇されてこんなに違う。
 
※月額440円(税込み)で第1~4日曜日20時発行です。
・事例と仕組みから学ぶ公的年金講座(過去記事改訂版)
(改訂版バックナンバー)
・まぐまぐ大賞2022(語学資格部門1位)
・まぐまぐ大賞2022(知識教養部門3位)
こんばんは!
年金アドバイザーのhirokiです。

 

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1.昭和36年4月1日からそれぞれの年金制度が手を繋ぎ始めた。
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年金を考える時は昭和36年4月の拠出制(保険料払うタイプの)国民年金が始まった年と、20歳から60歳までのすべての人が国民年金の被保険者になり、65歳になるとすべての人が老齢基礎年金を受給する事になった昭和61年4月が非常に重要な年月日となります。
 
年金にはいろんな年や生年月日が出てきて訳がわからなくなりますが、この2つの年を基準に考えると混沌とした年金制度もちゃんと意味があるんだなという事がわかったりします。
 
 
ちなみに、昭和61年3月31日までを旧法の年金と呼び、昭和61年4月以降を新法と言います。
 
年金の仕組みがガラッと変わってしまった年が昭和61年4月1日であります。
 
それまでの旧法は終わり、新しい年金制度がスタートしました。
 
 
誰であろうと国民年金の被保険者になってしまいました。
 
 
じゃあそれまでの旧法(昭和61年3月31日)まではどうだったかというと、厚年は厚年、国年は国年、公務員は共済とそれぞれが独立していました。
 
 
昭和36年4月1日から国民年金が正式に始まりましたが、この時は厚年や共済に加入していなかった自営業者や農業などの人を中心に加入するのが国民年金でした。
 
 
当時の就業者4000万人のうち、1200万人が厚年や共済に加入していましたが、それ以外は何も年金には加入していなかったのでそういう人たちは将来は無年金となってしまうために、国民年金を作って網を張る必要があったのです。
 
また、国民がみんな年金制度に加入して年金を受給するという目的を達成するためには、各年金制度との期間を通算する必要がありました。
例えば国年(最低でも25年以上の加入が必要)の自営業から、厚年や共済(最低でも20年加入が必要)へと制度が変わった時などですね。
 
国年で15年加入してた人が、サラリーマンの厚年に移ったらそこでさらに20年加入しないと年金出さないよって事になると国年で25年を満たせないし、厚年でも20年満たせなければどちらからも年金が貰えないという事態になる欠陥がありました。
 
よって、昭和36年4月の国民年金開始の時に、それぞれの制度の期間を通算して25年あればそれぞれが加入した期間分の年金を出すという事になりました。
 
例えば国年7年、厚年9年、共済9年であれば合計25年以上になりそれぞれから年金を加入分は出すという事になったんですね。
 
通算するまでは一つの制度で20年とか25年は満たさなければ年金は出ない仕組みでしたので、昭和36年4月からは国民年金の始まりと共に年金がかなり貰いやすくなった時でもありました。
 
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2.戦後の時代の変化と共に年金が必要になってきた。
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それにしても、別に年金なんて必要ないでしょって言われる事がありますが(保険料負担が嫌だから?)、昔は長男が家を相続する代わりに高齢の親を扶養するのが普通の時代でした。
 
 
ところが、戦後に工業化が進むにつれて子供は都会に出ていってしまい、核家族化が進行していきました。
 
残された親は老後はどうしたらよいのか…という問題にぶち当たり、世論の強い要望により昭和33年の岸内閣の時の総選挙時(自民党と社会党の2大政党)に国民年金創設が最大の目標となり、戦後最大の投票率ほぼ80%となりました。
 
子供が親の面倒を見てくれないなら国が年金制度を整備して、老後の資金の面倒を見るしかないからですね。
 
年金が無いもしくは、制度が縮小したら子供がなんとかして親に仕送るしかありません。
 
若い人が自分の事だけ考えて親を放っておけるのも、年金があるからとも言えます。
年金が高齢の親に支給されなかったら、ただ盆や年末年始に顔を見せに帰るだけとか電話するだけとはいかないでしょう。
 
 
年金だけでなく、介護に関しても家族が自分たち(ほとんどは嫁が介護していた)でやらなければならなかったけれども、家族の力は核家族化でバラバラになり、地域全体で高齢者を介護する必要があるから介護保険が2000年に施行されて、整備されていったわけです。
 
 
介護保険があるから、介護が必要になった時に家族が介護離職をするという事態を防ぐとか、家族のみでやらなければならないという介護(昔は介護地獄という言葉がよく聞かれた)の大きな負担が軽減されてるわけです。
 
介護保険がないなら、家族で全てなんとかしてねとなります。
 

 

 

 
このように時代の変化が戦後の昭和からどんどん進んでいったので、それまで私的にやらなければならなかったものが、社会的なものに置き換わっていったのです。
 
 
昔は子供の稼いできた給料で高齢の親や祖父母を扶養していたわけですが、自分たち家族の間で扶養しなくなったのであれば社会的な扶養である年金制度をやるために保険料を負担してもらうしかない。
 
結局は自分たちの自腹でやるか、保険料を支払って社会的な扶養に任せるかの違いでしかないです。
 
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3.昭和30年代から乱立していった共済組合。
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…話を戻しますが、昭和61年3月までは年金制度はそれぞれが独立したものであり(昭和36年4月から期間通算の仕組みにはなったが)、特に共済に関しては様々な共済が乱立していました。
 
 
戦争からの復興が進み、昭和29年に厚生年金が大改正され、ほぼ壊滅状態で機能停止していた厚生年金が蘇りました。
戦後は老齢の年金を凍結し(まだ受給者は存在せず)、遺族年金と障害年金のみが機能していました。
 
ですが、厚生年金が昭和17年から始まって以来、昭和29年になると老齢年金の受給者が出始めるタイミングだったため大改正をして、厚生年金を建て直す必要がありました。
 
 
核家族化も進む中でこれからは年金を整備していかなければならないという問題がありましたが、毎回それを邪魔していたのが経済界でした。
 
 
保険料を半分負担しないといけなかったし、会社独自の退職金もあったので厚生年金と役割が重複しているという不満を常に抱えていました。
 
よって年金を整備していくために保険料を上げていく必要があったのですが、度重なる経済界からの抵抗により、年金制度は昭和40年になるまではとても老後保障とは呼べない貧弱なものとなってしまいました。
 
 
そのため、国の年金は低すぎるよ!となって、いくつかの産業が独自に共済組合を設立していく動きが加速していきます。
 
もう自分たちで共済組合を作って自分たちは高い年金を貰おうぜ!って事ですね。
経済界の抵抗のせいで国の年金の整備が遅れてしまった。
 
だから昭和30年台から年金制度がどんどん増えていく訳ですが、結局その共済組合も昭和50年代あたりから不況に転落した事で年金の官民格差(厚年と共済で給付に差があった)に対する批判が強くなったり、共済の中には産業の衰退で破綻寸前になってきたり(一番危機的だったのは国鉄共済)、他の共済も年金を続けていくのが厳しくなってきました。
 
そこで、もう乱立しまくった年金制度は統一すべきであるという声が強くなっていきました。
 
 
共済というのは特定の産業が独自に年金をやるわけですが、未来永劫その産業が存続するとは限りません。
例えば戦後は石炭産業が大卒の人気企業でしたが、エネルギーが石油に置き換わっていってからは急激に衰退していきました。
 
 
就職する時は安定性を第一に大企業志向がありますが、その産業が斜陽化して消えていく事なんて珍しい事ではありません。
 
結婚にしても高収入高学歴高身長というのがバブルの頃に流行ったりしましたが、その高収入の夫が病気になったり職を失った場合はどうするのでしょうか。
 
今だけの条件を見るっていうのは短絡的ですよね。
 
 
ちょっと話はそれましたが、共済を乱立させる事は良い事ではなく、昭和の高度経済成長に浮かれていたのか調子が悪くなった場合はどうするのかという事は想定していなかったのでしょう。
 
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4.年金制度統一の第1段階としての基礎年金導入。
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それが昭和61年4月のどんな人であれ国民年金の被保険者として統一するという話に繋がっていき、共通した基礎的な部分は統一しようという事で基礎年金制度が昭和61年4月の新年金制度から開始となります。
 
どんな職業の人であれ国民年金に加入し、基礎的な部分は負担も給付もみんな統一したものにする。
 
その上にサラリーマンや公務員などの過去の報酬比例で負担した厚生年金保険料に対応する部分は報酬比例の年金(老齢厚生年金)として受給するというものになりました。
 
 
共済年金は旧法では報酬比例部分一本の年金でしたが、加入に比例した年金である国民年金(老齢基礎年金)を受給しつつその上に報酬に比例した年金を受給するという厚生年金と同じ2階建ての形に統一しました。
 
その報酬比例部分の年金は共済は退職共済年金として、厚生年金は老齢厚生年金として支給する事になりました。
 
 
昭和61年3月までの共済と厚年では両者は違う計算をしていましたが、昭和61年4月以降は共済の年金計算も厚生年金に統一する事で、年金水準が一応統一される事になりました。
 
ただし、年金計算を統一するまでは共済年金の方が20%ほど厚年よりも高かったので、その20%高い部分は職域加算として共済独自に支払う事になります(平成27年10月に職域加算は原則廃止)。
 
 
…まとめると昭和36年3月まではそれぞれの年金制度が独立していたものが、国年の始まりである昭和36年4月に期間くらいは通算して年金をもらいやすくしました。
 
 
その後、乱立しまくっていた年金制度(特に共済)を国年や厚年に統一していくために、昭和61年4月からはまず基礎的な部分を統一しようと20歳から60歳までの人をどんな産業の人であれ国民年金に加入させて、65歳からは平等に老齢基礎年金を受給するという面で統一しました。
 
また、もうみんなが国民年金の被保険者になったため、独立していた制度の期間を通算するという考えは不要となり、通算の制度は廃止となりました。
 
 
昭和61年4月以降は基礎的な部分は国民年金で統一しつつ、共済と厚年も年金水準としては同じものになったのですが共済と厚年にはまだ細々とした法律上の違いがありました。
 
 
共済の方が年金のもらい方において厚年より有利な事が多かったので、その辺は平成27年10月の被用者年金一元化により厚生年金に合わせ、さらに共済組合員も厚生年金の加入となりました。
 
そのため、共済からは退職共済年金として報酬比例の年金を支給していたものが、共済からも厚年と同じく「老齢厚生年金」と名を同じにする事になりました。
 
 
一元化により年金制度が国民年金と厚生年金へとようやくまとまったわけですね。
 
まあ、いろいろ制度があると複雑になってわけわかんなくなるので、統一してもらった方がわかりやすくはなりますけどね^^;
 
 
ではこの辺で。
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(9月分以降の予定)
 
9月6日の第310号は、昭和61年4月前までは年金制度が乱立してしまった原因と、共通して受給する基礎年金計算事例3つ。を発行しました。
 
9月13日の第311号.振替加算に使う金額が異なる令和5年度と振替加算が存在する理由、そして65歳以降も働いてようやく加給年金を加算したその後。を発行しました。
 
9月20日の第312号. 妻が受給する場合とは違う夫の遺族年金の性質と役割。

9月27日の第313号. 遺族年金が手厚い厚生年金加入中の死亡ではなくても、初診の病気で5年経過前に亡くなると手厚くなる。

10月4日の第314号.厚年期間が20年以上あるなら配偶者の加給年金を停止にする理由と、年金計算。

10月11日第315号.年金の繰下げ中に在職老齢年金による停止がかかる人の年金計算。

10月18日の第316号は年金受給資格期間を短縮しなくても昔から短縮措置があった理由と、低年金者の繰り下げの特異な例。

10月25日の第317号はカラ期間が年金受給後に見つかった場合の年金の訂正と、漏れていた記録が見つかった場合の年金遡及事例。

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https://www.mag2.com/events/mag2year/2022/list.html?cid=knowledge&aid=162