ヨガを伝えるという事 | 鈴の音

ヨガを伝えるという事

~ヨガを伝えるという事~

みんな色々な思いでヨガを伝えるという職業・・・つまり、ヨガインストラクターになりたいと思って目指している人がいます。私のところにもヨガのインストラクターになりたいという方から、質問を頂いたりします。きっと、みんなヨガが好きだから、ヨガを伝えたいと思う気持ちでインストラクターを目指すんだと思います。

自分がヨガに救われたとか、健康になった、とにかく楽しい!とか・・・心の感動があって、その道を目指すのでしょう。

私の場合はインストラクターになりたいというよりは、とにかくヨガをもっと学び深めたいという気持ちが大きかったのですが、もちろん将来的にはヨガを教えられたら、とは考えていました。でも、ヨガブームが来てさらにアシュタンガヨガの人気に火が付き、アシュタンガヨガの第一人者である、ケン先生の元でヨガの練習に励んでいた私は、幸運にも2年もたたない内から色々なところからクラスのオファーが来ていました。

しかし、知れば知るほど簡単に教えられるものではなく、アシュタンガを一生続けていくものと思っていたので、安易にクラスを持つことを躊躇していました。でも、ケン先生の代行をしたことがきっかけで、IYCでクラスを持つことになりました。その時に先生がおっしゃった言葉は今でも、胸に刻んであります。(先生は覚えていないかもしれないけど、いつもそれは心に留めてあります。)

「来てくれる生徒さんの3倍練習しなさい」
3倍の練習量いう意味ではないと思います。(少なくとも私はそう解釈しました)ヨガに向かう姿勢であったり、思い・・・・だって、それしか持ってなかったんです。すぐに3倍の経験なんてつめない。だからこそ、それぐらいヨガにかけて生活しました。朝から晩までヨガのためだけに生活しました。

「自分の出来るポーズしか教えてはいけない」
当たり前だけど、アシュタンガはカウントをすれば生徒さんは動いてくれる。でも、自分が出来ないものを誘導など出来ない。まして、アジャストなんて出来るわけがない。だから、私は今までなかったビギナークラスというのを作ってもらい、教えることにしたんです。

「小さな川を渡るより、大きな川を渡る努力をしなさい」
教え始めていつもクラスが終わると自分の未熟さを痛感していました。教えることを辞めてもっと練習に費やそうとした時に、先生が言ってくれた言葉です。なので、いつも自分の未熟さを埋めようと必死で練習に打ち込みました。


この3つを支えに教えてきました。当時は、ヨガブームでアシュタンガヨガをやっている人はほとんどいませんでした。アシュタンガヨガを教えるスタジオも私が知るかぎりIYCくらいしかありませんでした。なので、まったく初めての方に私でも少しは教えることが出来たのです。ちょっと前からかなり本気でやっている私(笑)そして、来てくださっている生徒さんと向き合いながら、一緒に学んできました。この感覚は今も同じですが・・・・

でも、今はアシュタンガヨガを伝えるというのは容易ではないです。アシュタンガヨガを練習する人も増えました。そして、ヨガを全くやったことがないという人に出会うことが、ヨガスタジオではあまりないです。ビギナーのクラスでさえ。たくさんのポーズをとることは難しくても、長年ビギナークラスでゆっくりとヨガを続けている方も多くいます。肉体的に多くのポーズはできなくても、決してヨガのビギナーではありません。それに引き換え、アシュタンガヨガの人口が増え身体が動ける人が増えました。ポーズがどんどん進めるので、それでヨガを教えられると思う人が多くいるように思います。それは、インストラクターとしての一つの可能性でしかないのです。私にはアシュタンガヨガの先輩が数人しかいませんでした。だから、たくさん思い悩みました。今はアシュタンガヨガを学びたいと求めればたくさんのことが学べるでしょう。でも、インストラクターとしてヨガを伝えるというのは、容易ではないと思います。

アシュタンガヨガで大切なのは継続です。日々の練習です。
それを積んでいくには、早朝のマイソールでの練習は不可欠だと思います。先生について何年も練習をするという事。アシュタンガを練習するすべての人とは言いませんが、教える立場であれば不可欠だと思います。早朝にいつも起きるという事は、生活を見直すことにもなるのです。そして、何よりも練習を優先せせるという生活が我々に変革をもたらします。そういう時期が何年かは必要です。ずっととは言いません。私も今は自分の練習よりも伝えるという事に移行しているので、自分がヨガを教える前に少し練習をして、時間がある時には出来るかぎるクラスに参加するというくらいです。
インドでは、週に4日がマイソールスタイル、2日がレッドクラスです。同じ練習をしてこないで、どうやってアシュタンガヨガを伝えられるのでしょう。自分の都合のいい時間に、出来る範囲で・・・・これは習いに来てる人の感覚ではないでしょうか。私もそのように伝えますし、本当にそれでいいと思っています。でも、伝える立場の人間が本来のアシュタンガヨガの練習をせず、何を伝えられるのでしょう。
特に、マイソールクラスの指導は深いヨガの知識と経験が必要です。自主練習のサポートなどという考えで教えるのは違います。本来のマイソールの練習を誤解させて、伝えることになります。我々インストラクターは、アシュタンガヨガというヨガの流派を伝える責任を担っています。
教えることは大変大きな学びになります。それは、還ってくるものが大きいからです。それは、決して心地よいものだけではないです。そのすべてを受け取る覚悟が必要であると私は思います。

どうぞ、アシュタンガヨガを大切に扱ってください。
我々を健康に導き、救ってくれたこのヨガの教えを大事にして下さい。

ナマステ