『悪の法則』感想。人間、悪い事はしちゃぁいかんよ。 | まじさんの映画自由研究帳

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「あく」ではなく「ワル」と読むとしっくり来る。


『ワルの法則』


かつてハリウッドは映画でワルをカッコ良く描いて来た。だが、この作品では彼らをリアルに描き、気取ってはいるものの、ちっともクールではない。ワルへの憧れを一切排除している。

コレはリドリーが仕掛けた告発と警鐘である。


蛇の道は蛇。ワルの世界に一度足を踏み入れたら、二度と元の道にには戻れない。後悔や改心は通用しない。欲と引き換えに、いつ訪れるか分からない、理由のない死と隣り合わせに生きていく事になる。金欲しさにワルの道に入った弁護士が、身に覚えのない事件を機に、命を狙われるという不条理なストーリーだが、ストーリーに意味はない。


彼らが交わす言葉こそ、この映画の本質なのだ。忠告、助言、警告、そして日常の会話、全てが裏の世界の異常な哲学なのである。陽気に話している2人でも、均衡が崩れたら、一瞬で2人は殺し合うような緊張感が、作品全体を覆う。

ファスベンダーの絶望に涙する演技が素晴らしい。そして、キャメロン・ディアスの見事な悪女っぷりに、背筋が凍る。


この映画を通してリドリーは、聖者や善人になれとは言わないが、ワルにはなるなと言っているのである。もしワルの道への分岐点に立たされたら、引き返す事の出来ない選択をする前に、この映画を思い出せばいいのだ。