離婚と税金~非課税多いけど落とし穴あり!~ | 法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

法律を科学する!理系弁護士三平聡史←みずほ中央法律事務所代表

大学では資源工学科で熱力学などを学んでいました。
科学的分析で法律問題を解決!
多くのデータ(事情)収集→仮説定立(法的主張構成)→実証(立証)→定理化(判決)
※このブログはほぼ法的分析オウンリー。雑談はツイッタ(→方向)にて。

Q 離婚における財産分与や慰謝料は税金がかかるのですか。

敵は配偶者だけではないのです。
税務署も伏兵です!

誤解ありがち度 3(5段階)
***↓説明↑***
1 一般の方でもご存じの方が多い
2 ↑↓
3 知らない新人弁護士も多い
4 ↑↓
5 知る人ぞ知る

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A 非課税が多いです。ただ,落とし穴にも注意!

【財産分与に対する課税】
→基本的に,登記をした時に登録免許税,譲渡益が生じた場合の不動産譲渡所得税くらいです。

【贈与税】

→正常な範囲の財産分与であれば,課税されない。
財産分与では,代金などの「対価」がなく,所有権が移転します。
「対価なし」というところを考えると「贈与」に近いです。
しかし,そもそも財産分与というものは,次のような動きです。

「本来,実質的に妻に属するものだけど形式的に夫名義のもの」を妻名義に変更する

要は,実質的に考えると「所有権の移転」はなかったのと同じこと,となります。
そこで,贈与税の課税はされないのです。
ただ,これに着目して,悪用する例が流行りました。
つまり,「離婚した形にして」(ダミー離婚),財産をどかんと移転させて,それでいて贈与税を逃れる,というスキームです。
そこで,「バランスがおかしい」というケースについては例外的に課税されます(通達後掲)。

【通達;相基通9-8、所基通33-1の4】
 離婚により相手方から財産をもらった場合、通常、贈与税がかかることはありません。これは、相手方から贈与を受けたものではなく、夫婦の財産関係の清算や離婚後の生活保障のための財産分与請求権に基づき給付を受けたものと考えられるからです。
 ただし、次のいずれかに当てはまる場合には贈与税がかかります。

1 分与された財産の額が婚姻中の夫婦の協力によって得た財産の額やその他すべての事情を考慮してもなお多過ぎる場合
 この場合は、その多過ぎる部分に贈与税がかかることになります。
2 離婚が贈与税や相続税を免れるために行われたと認められる場合
 この場合は、離婚によってもらった財産すべてに贈与税がかかります。
 なお、土地や家屋などを分与したときには、分与した人が分与した財産を譲渡したこととなり、譲渡所得の課税対象となります。

【所得税(総合課税)】
→実務上非課税。
財産分与の性格は「形式的な名義を実質に合わせる」というものです。
つまり,利益・所得という概念とは無縁なのです。
そこで所得税は課せられません。

【不動産譲渡所得税】
→特例を使わないと課税される。ただし,「譲渡益」が生じている場合のみ。
最近の一般論としては,不動産は購入後,「値下がり」していることがほとんどです。
その意味では,「譲渡益」つまり「値上がり利益」はまずありません。
ですからあまり気にする必要はありません。
「値上がりしていない」ということをより明確にしておくために,離婚協議書などに「価格」(評価額)を記載しておくとより分かりやすいです。
ただし,その不動産を将来売却する際に「取得費」として扱われることになります。
極端に低いと「譲渡益」が大きく生じてしまう恐れもありましょう。

【不動産取得税】
→非課税
元々,不動産取得税は「所有権が移動した」ことについて課税されます。
財産分与は,実質的には,所有権の移動はない,という考え方です。
売買や贈与といった取引とは違うのです。
そこで,不動産取得税は課税されません。
ただし,「慰謝料として」不動産を譲渡した場合は,「実質的に所有権が移転」→課税される,ということになります。

【登録免許税】
→課税される
税率は,固定資産税評価額の2%です。
登録免許税は,非常に形式的なもので,登記をする,ということの対価です。
どんな理由でも,登記をした以上は課税される(印紙を貼付する)ことになります。

【慰謝料に対する課税】
→課税されません。
慰謝料とは,心身に加えられた損害(マイナス)を金銭で填補(穴埋め)するというものです。
つまり「利益」という概念がないのです。
そこで,例えば「所得税」の対象となることもないのです。

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